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scene3 旅の目的、完全に観光へ
地図の上に、完全に“観光しか写っていない”ガイドブックを重ねたミナが、ぱんっと手を叩いた。
「ということで!
魔王城観光をメインに、道中は温泉とスイーツ巡りでいきましょう!
旅の醍醐味っていえば、やっぱりそこだよね!」
その宣言は、勇者パーティー会議にも関わらず、誰一人として異議を唱える者はいなかった。
ガルドは腕をぐるぐる回し、やる気だけは満々だ。
(※戦う方向のやる気ではない)
「俺は土産があればもう満足だぞ。
あと、ついでにこの辺りの街で記念試合とかあれば参加していい?
そっちのほうが稼げるし」
ミナはにこにこ。
「いいんじゃない? そういうのって旅感あって好き!」
シルフィは……もう、視線が完全に遠い。
「……帰れるなら……なんでもいいです……
(弟子の顔が浮かぶ……)」
そして、勇者本人であるリオは肩をすくめた。
「……魔王もあんまり戦う気ないって噂だし、まあいいか……」
その一言を合図に、全員の声が揃う。
「賛成!」
こうして会議は終了した。
名目は“魔王討伐の旅程確認”。
実態は――ただの旅行計画である。
勇者パーティーの世界平和は、今日もゆるく、のどかに進行していくのだった。




