表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/155

scene7 宰相から“勇者業務マニュアル”が渡される

派手な火花ひとつで終わった任命式の裏で、

 リオはそっとステージ脇へ誘導された。


 宰相がすでに待っており、

 手には妙に薄い冊子を一冊。


「勇者殿、今年のマニュアルです」


 差し出されたそれは——

 薄い。ありえないほど薄い。

 ページ数は……10。


 表紙には金文字でこう書かれていた。


『勇者活動報告のつけ方

 〜旅に出たフリを極める〜』


 リオは冊子を持ったまま固まる。


「タイトルがもう隠す気ゼロ……」


 宰相はむしろ誇らしげにうなずいた。


「はい。透明性のある行政を心がけておりますので」


「透明すぎません?」


 宰相は気にせず、

 真顔のままページをめくりながら説明を続ける。


「明日の午後までに、

 “森の入口で記念写真”だけお願いします。

 それで、年間の勇者活動としては完了です」


 リオは思わず冊子を二度見した。


「仕事、軽っ」


「魔王軍も、毎年“倒されたフリ”のスケジュールがありますので。

 双方が無理なく継続できることが重要なんです。

 お互いに、持続可能な平和を目指しているわけです」


 宰相はやさしく微笑む。

 それは、戦いを避けたい者同士の、

 静かな共感を滲ませる笑みだった。


 リオは手にした薄い冊子を見つめ、

 ゆっくり息を吐く。


「……世界、実は優しいのかもしれない」


 任命式の喧騒から少し離れたその場所で、

 勇者はほんの少しだけ心が軽くなるのを感じた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ