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scene4 任命の剣授与(ろくに使われていない)
国王は胸を張り、
両手で豪奢な勇者剣を掲げた。
陽光を受けた刃はキラリと輝く——
輝くのだが、どう見ても“未使用新品”のツヤだ。
そもそも持った瞬間、まったく重さを感じない。
(……これ、絶対に戦ってない剣だ)
リオの脳裏に浮かぶ感想はそれだけだった。
従者が差し出した剣ベルトを腰へ巻こうとするが、
明らかにサイズが合っておらず、ぶかぶかだ。
リオが試しに剣を少し抜こうとしただけで——
ズルッ。
剣が落ちかけた。
慌てて押さえるリオを一切見ていない国王は、
大仰な声で宣言を続ける。
「この聖剣をもって、魔王を討伐し——」
その背後に、最適なタイミングで宰相がすっと近づく。
(きた)
リオの直感は当たっていた。
宰相(小声)
「一応、森の入口まで持っていけば儀式としては十分です」
リオ(同じく小声)
「それ、剣いります?」
宰相は少しもためらわずに答える。
「写真に写すためだけですので」
リオは一拍置いて、心の中で溜息をついた。
(……それなら木の棒とかでよくない?)
だが儀式は粛々と続き、
聖剣は今日も“たいして使われないまま”
勇者の腰でぷらぷら揺れていた。




