表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/155

scene4 村長オットーの一言で空気崩壊


オットー


「おや?

今日はずいぶんお客が多いねぇ。

みんな……知り合いなのかね? 仲良しだねぇ」


→ 全員、言葉を失う 小説化


了解です。では第四幕・④ 村長オットーの一言で空気崩壊を、小説調で描きます。


④ 村長オットーの一言で空気崩壊


 その声は、あまりにも場違いで、あまりにも穏やかだった。


「おや?」


 広場の端、畑道の方から、のんびりした足取りで一人の老人が現れる。

 土の付いた長靴、肩に担いだ鍬、籠には収穫したばかりの野菜。


 村長オットーだった。


 彼は、広場に集まった異様な光景をひとつ眺め、

 次に、勇者救出隊を見て、

 さらに、魔王救出隊を見て――


 首をかしげた。


「今日はずいぶんお客が多いねぇ」


 その一言で、張り詰めていた空気が、ぴしりと音を立てて歪む。


 ガルドの斧が、わずかに下がる。

 ラトの耳が、ぴくりと動く。


 オットーは気にも留めず、続けた。


「みんな……知り合いなのかね?」


 全員の視線が、無言で交差する。


 知り合い?

 誰が?

 どこと、どこが?


 理解が追いつかない。


 オットーは、にこにこと笑ったまま、最後の一言を投げた。


「仲良しだねぇ」


 ――沈黙。


 風が吹き、広場の旗が、ぱたんと鳴った。


 ミナの聖女オーラが、ふっと消える。

 ガルドは、構えた斧を完全に下ろした。


「……は?」


 それは、誰の口からこぼれたのか、もはや分からない。


 ラトは、怒るべきか、否定すべきか分からず、言葉を失う。


「……な、仲……?」


 ウーナは、鍋を抱えたまま、肩をすくめた。


「そう見えるなら、そうなんだろうねぇ」


 シアンは、無言でノートを閉じた。

 これ以上書いても、現実の方が先に暴走している。


 そして、広場の奥――

 並んで立つ勇者リオと魔王アザルが、同時に小さく息を吐いた。


 この一言で、

 剣も、魔法も、覚悟も、

 すべてが“肩透かし”を食らった。


 戦争を終わらせる言葉が、

 宣言でも、剣でもなく、


 ただの畑帰りの老人の、

 世間話だったことを――


 その場の誰もが、まだ理解できずにいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ