scene4 村長オットーの一言で空気崩壊
オットー
「おや?
今日はずいぶんお客が多いねぇ。
みんな……知り合いなのかね? 仲良しだねぇ」
→ 全員、言葉を失う 小説化
了解です。では第四幕・④ 村長オットーの一言で空気崩壊を、小説調で描きます。
④ 村長オットーの一言で空気崩壊
その声は、あまりにも場違いで、あまりにも穏やかだった。
「おや?」
広場の端、畑道の方から、のんびりした足取りで一人の老人が現れる。
土の付いた長靴、肩に担いだ鍬、籠には収穫したばかりの野菜。
村長オットーだった。
彼は、広場に集まった異様な光景をひとつ眺め、
次に、勇者救出隊を見て、
さらに、魔王救出隊を見て――
首をかしげた。
「今日はずいぶんお客が多いねぇ」
その一言で、張り詰めていた空気が、ぴしりと音を立てて歪む。
ガルドの斧が、わずかに下がる。
ラトの耳が、ぴくりと動く。
オットーは気にも留めず、続けた。
「みんな……知り合いなのかね?」
全員の視線が、無言で交差する。
知り合い?
誰が?
どこと、どこが?
理解が追いつかない。
オットーは、にこにこと笑ったまま、最後の一言を投げた。
「仲良しだねぇ」
――沈黙。
風が吹き、広場の旗が、ぱたんと鳴った。
ミナの聖女オーラが、ふっと消える。
ガルドは、構えた斧を完全に下ろした。
「……は?」
それは、誰の口からこぼれたのか、もはや分からない。
ラトは、怒るべきか、否定すべきか分からず、言葉を失う。
「……な、仲……?」
ウーナは、鍋を抱えたまま、肩をすくめた。
「そう見えるなら、そうなんだろうねぇ」
シアンは、無言でノートを閉じた。
これ以上書いても、現実の方が先に暴走している。
そして、広場の奥――
並んで立つ勇者リオと魔王アザルが、同時に小さく息を吐いた。
この一言で、
剣も、魔法も、覚悟も、
すべてが“肩透かし”を食らった。
戦争を終わらせる言葉が、
宣言でも、剣でもなく、
ただの畑帰りの老人の、
世間話だったことを――
その場の誰もが、まだ理解できずにいた。




