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scene2国王の大仰すぎる登場
録音ファンファーレが不安定に鳴り続ける中、
大聖堂の奥から、ずるり……と音を立てて巨大なマントが引きずられた。
国王の登場である。
だが、その荘厳さを支えている従者たちは必死だった。
国王のマントは豪奢な金糸と宝石で飾られ、無駄に重い。
引っ張る従者が明らかに腰をいわせそうな体勢になっている。
(……あの人たちのほうが“勇者っぽい苦労”してない?)
リオは心の中でそっとつっこんだ。
国王は玉座から勢いよく立ち上がった。
マントが一瞬遅れて揺れ、従者が慌ててバランスを取る。
「勇者リオよ!!」
国王はこれでもかと胸を張り、
片腕を高く掲げてから――
芝居がかった速さでリオをビシッと指差した。
「世界の命運をそなたに託す!!
さぁ、旅立つがよい!!」
ものすごい言い切りだった。
広場に反響するような声……の“はず”だが、
録音ファンファーレがバックでパパパッ……と音飛びしていて締まらない。
観客席のほうから、
小声で「今年も始まったねぇ」「また旅立つフリだろ」
と、やる気のない感想が漏れる。
リオは静かに頭をかき、
(……ああ、はいはい、毎年恒例の大芝居……)
と苦笑するしかなかった。




