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何もしたくない魔王と勇者のスローライフ やる気のない世界の中心で  作者: 南蛇井


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scene4 第四幕へのバトンタッチ

村の灯りが、少しずつ大きくなっていく。


 最初は星のようだった点が、

 家々の窓になり、

 通りに並ぶ灯火になり、

 人の営みの輪郭を帯び始める。


 道はいつの間にか一本に収束していた。

 森も、丘も、言い訳の余地を残さず、

 「ここへ行け」と示すかのように。


 勇者救出隊は、村の東側から。


 ミナは胸の奥で、

 **「間に合ってほしい」**と祈っている。


 ガルドは斧の重みを確かめ、

 **「殴る相手がいるなら、それでいい」**と思っている。


 シアンはノートを閉じ、

 **「観測対象が逃げ場を失った」**と結論づける。


 魔王救出隊は、数分遅れて南側から。


 ラトは尻尾を強張らせ、

 **「囲まれているなら、引き剥がす」**と覚悟を決めている。


 ウーナは鍋を抱き直し、

 **「冷める前に食べさせないと」**と歩調を早める。


 誰も急ぎすぎてはいない。

 だが、誰も立ち止まらない。


 村人たちはまだ知らない。

 この夜、自分たちの平穏な村に、


 ・噂に踊らされた救出隊が二組

 ・誤解の塊のような善意

 ・そして、当事者不在の正義感


 それらが一気に流れ込もうとしていることを。


 勇者と魔王は、今日も変わらず過ごしている。

 畑を手伝い、食事を分け合い、

 特別でも劇的でもない一日を、静かに終えようとしている。


 ——その平穏のすぐ外側で。


 こうして彼らは、

 同じ想いを胸に、

 正反対の誤解を抱えたまま、

 静かな村へ足を踏み入れようとしていた。


 ――嵐が始まるのは、次の瞬間である。

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