13/155
第三話王都の“形式的すぎる勇者任命式” scene1壮大なファンファーレ(→実は録音)
朝の光が大聖堂の尖塔に反射し、広場へ眩しく降り注いでいた。
荘厳な雰囲気――になるはずだったが、現実はだいぶ違う。
スピーカーから、やたら平たい音のファンファーレが鳴り響いていた。
……いや、鳴り響いている“つもり”だった。
──パパパッ……パ……パァ……(音飛び)
広場に集められた国民たちは、予定通りに拍手を始める。
けれどその何人かは拍手をしながら目を閉じたまま、
完全に寝ていた。
中にはあくびを隠しもせず、「今年も始まったなぁ」とつぶやく老人もいる。
勇者リオは最前列で待機しながら、
流れてくる不自然なファンファーレに眉を寄せた。
(……録音、音飛びしてる……)
空気の緊張感のなさに反比例し、
大聖堂の装飾だけは妙に豪華だ。
色鮮やかな旗が風に揺れ、兵士たちがきっちり整列している。
しかし兵士たちの目もまた半分とろんとしているのが見える。
リオはため息をのみ込み、
「今日も形だけか」と心の中でつぶやいた。
――こうして、勇者任命式という名の“朝の儀式ごっこ”が、
今年もゆるく幕を開けた。




