scene3 号泣しながら帰還
人間界から魔界へ帰還したツヴァイは、
城門をくぐるなり、その場に崩れ落ちた。
目は真っ赤、鼻はぐずぐず、
涙でぐしゃぐしゃの顔は原形を留めていない。
同僚魔族
「ツヴァイ!? どうしたんだその顔!!
誰にやられ――いや、殴られたってレベルじゃないぞ!?」
駆け寄ってくる同僚たち。
ツヴァイは涙をこぼしながら、震える声で叫んだ。
ツヴァイ
「ひ、人間どもに……き、聞いたんだ……!
おそろしい……おそろしい噂を……!!」
同僚魔族
「落ち着け! 一回深呼吸しろ! な?
“おそろしい噂”って、なんの話だ?」
だがツヴァイは深呼吸できる状態ではない。
ツヴァイ
「ア、アザル様が……ゆ、ゆ、勇者に……!!」
同僚魔族
「勇者に? どうした? 倒されたのか?
捕まったのか?」
ツヴァイ
「こき使われて……家事をさせられて……
精神を追い詰められて……
も、もしかしたら尻に敷かれてぇぇぇぇ!!」
同僚魔族
「情報がカオスすぎて余計分からん!!」
周囲の魔族たちがざわめく。
魔族A
「ツヴァイ、また妄想暴走したのか……?」
魔族B
「いや今回の泣き方、ガチだぞ。
たぶん奴の脳内ではアザル様が
勇者に皿洗いさせられてる」
魔族C
「それはそれで見てみたい気も……」
魔族A
「やめろ!」
ツヴァイは胸に手を当て、
涙で潤んだ瞳をギラリと光らせる。
ツヴァイ
「絶対助けに行く……!
アザル様の尊厳は、私が守る……!!」
同僚魔族
「だからまず落ち着けって!!」
こうしてツヴァイは、
“想像力が豊かすぎて危険な人物”として
魔族軍の中でますます一目置かれるようになったのだった。




