scene5 観察ノートが止まらない
魔界へ向かう道に一歩踏み出した瞬間、
シアンはすでにペンを走らせていた。
歩きながら、振動すら気にせず魔法紙に文字を書き込み続ける。
メモ
・聖女ミナ:過剰反応。勇者依存度“極めて”高い。
・戦士ガルド:脳筋。判断基準は「怪しい→殴る」。
・噂の発生源:未特定。情報の伝播速度は異常、連鎖反応の疑い。
・勇者リオ:魔王との関係性、要精査。魔王側の心理状況も観察対象。
ペンの走る音が止まらない。
ミナ(眉をひそめて)
「あの……シアン? ちゃんと戦う準備はしてるのよね?」
シアン
「もちろん。戦闘魔法の詠唱は3秒で済む。
だが、まず観察だ。
記録こそ真実への最短経路だからね」
ミナ
「……そう、なの?(不安)」
ガルドはというと、二人の会話も聞かず大股で先を歩いている。
ガルド
「難しいことはどうでもいい!
とにかく急ぐぞ!!
リオがどんな状態でも連れ帰る!!」
シアン(メモを付け足し)
・戦士ガルド:視野の狭さ、もはや才能。
ミナ
「ちょっと! 走らないで! 荷物が落ちるでしょう!」
シアンはそんな二人を見て、さらにペンを走らせる。
メモ追加
・このパーティ、統率ほぼゼロ。
・しかし行動力だけは異常。
・……観察し甲斐がありすぎる。
シアン
「ふむ……面白い旅になりそうだね」
こうして、
好奇心の化身シアンの観察ノートを軸に、
勇者救出隊は騒がしく魔界へ向かって進んでいくのだった。




