scene2 脳筋式推理開始
ガルドは武具屋を出ると同時に、斧の柄をぐっと握りしめた。
歩きながら、脳内では“脳筋式推理”が高速で始まる。
「勝ったなら帰る。
帰らねぇなら……帰れねぇ理由がある!」
まず最初に浮かんだのは――
脳内推理①
(魔王が“死んだふり”して油断させて、逆に襲ってきた……?)
※完全に違う。
眉間にシワが寄る。
「魔王の野郎……そんな姑息な真似……いや、あり得る!」
だが、すぐに別の可能性が浮かぶ。
脳内推理②
(いや待て……リオが怪我して歩けねぇのか?)
※正解に近いが、今は魔王の膝で昼寝中。
ガルドは真剣な眼差しで遠くを見つめた。
「リオのやつ……すぐ無茶しやがるからな……!
うっかり腕の一本でも置いてきたのか……!?」
※そんなことはない。
次にたどり着いたのは、最も脳筋らしいが、なぜか核心に近い推理。
脳内推理③
(あるいは――“魔王に気に入られて”捕まってる!!)
ガルドの足が止まり、目が見開かれる。
「………………いや、あるぞ!?
ありえるどころか一番怪しい!!」
※図星。
リオが妙に人懐っこく、困っている相手を放っておけない性格であることを、ガルドは誰より知っている。
そして、魔王アザルが“妙にリオにだけ甘い”気配を数度の戦いで察していた。
(あの魔王……リオだけ狙って捕まえるなんて十分やりそうだ……!)
ガルドは胸の奥に、戦士特有の燃えるような怒りを抱いた。
「……やっぱり怪しい!!
リオを取り戻す!!」
その叫びと同時に、彼は斧を背負い直し、一直線に魔王城の方向へ歩き出した。
脳筋なのに、勘だけは異様に鋭い。
そのせいで余計に混乱は深まっていくのだった。




