scene4 他メンバーの反応
ミナが尋常ではない速度で荷物を詰め込み、救急箱・回復薬・毛布・着替え・謎のアロマポットまで抱え込んで準備を進める一方、勇者パーティの他メンバーは、ただその勢いに巻き込まれていた。
剣士ガルドは腰に剣を下げながら、半ば呆れ、だが半ば本気で心配した顔をしている。
「……まあ、放っとけねぇか。リオのやつ、妙に危なっかしいしな」
彼はミナの暴走に慣れているつもりだったが、今日は明らかに“別ベクトル”だ。
ミナは鋭い目でガルドを見つめた。
「そうよ! 危なっかしいに決まってるわ!
魔王の城で、ひとりで、どうしてるか……! 泣いてるかもしれないのよ!?」
ガルドは口を開きかけて――閉じた。
(泣かないタイプだろ、あいつ……)
そう思ったが、ミナの今のテンションで言えば火に油だと判断し、口を噤んだ。
一方、魔術師ルーナは冷静なまま、しかしその冷静さを維持するのに必死だった。
積み上がっていく荷物の山を見て、こめかみに指を当てる。
「……噂だけで動くのは非合理ですが……
聖女様のあの顔、止められませんね……」
ミナは両腕に救命具を抱えたまま、ルーナへ振り向く。
「あなたたちも急いで! 早く! 早く魔王城に行くのよ!!
リオが“泣いてる”かもしれないじゃない!」
ガルドは耐え切れず小声で突っ込む。
「いや、あいつ泣かないタイプだろ……」
ルーナは妙に具体的な想像をしてしまい、腕を組んだまま淡々と言う。
「泣くとしても……魔王の膝で寝ながら、くらいでは?」
(※事実に近い)
「だから余計に危険でしょうが!!」
ミナの怒号が空気を震わせた。
意味は不明。
理屈も不明。
だが、勢いだけは真実そのもの。
こうして勇者パーティは、完全にミナの暴走に押し切られる形で――
“リオ救出(?)作戦”へと突入していくのだった。




