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あいつが虎ぶる

作者: Kyo ASAHINA

近くの動物園にベンガル虎がきた!っつっても特に興味の無い俺は実に普通の日曜を過ごしていた。

暇なのでテレビを点けると、アメリカ合衆国のテレビ番組がやっており、主人公と思われるブライアンと言うハイスクールの生徒が「今夜はパーティーだからお洒落しなきゃね」とかなんとか言ってるとブライアンの部屋のドアがコンコンとなった。

「キャサリンか。もう着いたのか」

ブライアンはドアのほうに向かう。ブライアンがドアノブに手をかけようとしたちょうどその時、俺の部屋のドアがコンコンなった。

開けると、歯の抜けた、安そうな服を着た中年の男が両手に洗濯洗剤を抱えて、「ねえ、洗剤上げるよ、洗剤、欲しいでしょ」と洗剤を俺に渡そうとする。

俺はしかし「粉の洗剤」は使わない主義。だってたまに洗濯の後、服に白いのが残っちゃってやなんだよね。てな事をお伝え申し上げると、「じゃそれはいいから新聞とって、新聞」としつこい。

「新聞読まないんですよ」と言っても「新聞とってくれないとノルマ困っちゃうんだよ。お願い」とか客に向かって敬語もつかえねーのかこの馬鹿は、と思いつつも「じゃあ取りたくなったら連絡しますよ」と言ったら、「そんなひとは新聞なんて読まないほうがいいよ!」とよくわからない捨て台詞を残し去って行った。

俺は「そろそろ昼飯にでもしよう」と思い昨日スーパーで買ってきたスペアリブをレンジで温めた。

「コンコン」とまたドアが鳴った。

ドアは開けずにのぞき穴(って言うのか)から見るとまたさっきの新聞の勧誘である。

しつこいやつだ、と思ってると、異常におびえた顔をしてる。

「助けて、助けて、食われるッ」と男はガタガタ震えてる。

見ると男の後ろから虎が迫って来ているではないか!

「なぜ虎が東京の住宅地に?」と思うわけだがここで善人ヅラしてドアを開けてしまうと、俺も巻き添えを食ってしまい、虎の食事になってしまう。ってことで空けずにいた。

すると虎はその貧乏くさい男に襲いかかり、足をかじった。

「ぎゃあああああ」男は叫ぶ。でも虎は容赦しない。男の体のあちこちにかじり付き、あっちゅう間にかわいそうな勧誘員、骨と肉片になってしまった。

家の前に死体があるのもアレなので一応警察に通報した。

翌日のニュースを見ると、虎は動物園から脱走したものだったらしい。

俺も片付けたいことがいろいろあるんだけど、一段落したら動物園にでも行こうかと思うよ。

(おわり)

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