恋人の日
聖アントニオは、1193年に死去した聖者であり、欧米諸国では縁結びの神、女性の守護神として人気が高く、あがめられています。 その前日にあたる12日には、恋人同士や夫婦間でこの日が祝われお互いに贈り物をする風習があり、その日が「恋人の日」と命名されたものです。
それを教えてくれたのは、聖良ちゃんしかいない。日本じゃ馴染みがないからね。でも、日本でも最近お菓子メーカーがお菓子の売り上げを伸ばすために宣伝しているようだ。
「麻衣はバレンタインデーもホワイトデーも興味が無いよね」
「うん、そうだね。貰うからお返しはするけれど、基本的に外国のイベントはパスだね」
「でも、SNSにはイラストあげるつもりでしょ」
「それ、半分お仕事かなー。たまにそう言ったものあげるとみんな喜んでくれるからね。前のイースターは遥くんに止められたけど」
「あれ、俺は良いと思ったけど?」
「いやいや、ダメなやつでしょ」
卵を抱えたウサギはダメなやつだ。今回は、まぁ問題にならないと思うので、嘉くんをイメージした灰色のオオカミと並べようと思っていたら、後ろから嘉くんからリクエストがあった。タブレットを抱え込んで、リビングのソファでイラストを作成中で、その後ろから嘉くんが私を抱えて、私の肩に顎を乗せてタブレットを覗いている。少し、描きづらい。
「それ、左側って俺だよね?」
「うん、そうだね」
「オオカミじゃなくて犬が良い」
「ああ、シュナウザーか」
「うん」
「いいよ、文香みたいに上手に描けるか自信ないけど描いてみる」
「ありがとう」
前に文香に結婚のお祝いにって、イラストをもらった。黒ウサギと灰色シュナウザーが寄り添っているイラストだ。あれ、嘉くんがすごく気に入ってくれた。なので、今回はそれにしよう。でも、シュナウザーは描いた事がないから上手に描けるか謎だ。
「文香さんの色紙持って来る?」
「大丈夫。スマホ見る」
シュナウザーちょっと難しいな。デフォルメしてちょっと誤魔化そう。でも、それもあってか可愛く描けた。いっぱい描いて慣れよう。だって、これからずっと描く事になると思うからね。
「麻衣、ありがとう」
「いえいえ、みんなも気に入ってくれると良いね」
その後、SNSにあげたイラストは好評を得たのだった。遥くんにも可愛いと褒められた。きっと、これから、イベントがある度に描いて行くのだろう。
2025/06/12 活動報告掲載




