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ストロベリームーン(六月十一日)



 梅雨入りしちゃった。昨日は、広島で梅雨入り。宮城南部はまだ、入ってはいないけれど、時間の問題かな。朝の散歩の機会が減る事と、事務所に行くのが少し面倒くさい。


 明日は、満月だって言うけれど、ここでは見えるか分からない。今日意識したのは、六月の満月が『ストロベリームーン』って言われるからだ。

 今日は遥くんがお菓子を持って来てくれた。いつも、(よし)くんが常備菜を渡すので、そのお礼だって言ってた。今日も、色々と持って帰ってもらおうと思う。



「六月の満月に「ストロベリー」という言葉がつくのは、そのピンクがかった独特の色合いだけではなく、アメリカ北東部に住んでいたネイティブアメリカンの民族にとっては、いちごは『六月の実り』に由来する」

「日本と時期が違うんだね」

「日本のいちごって、旬は四月から五月って言われているけれど、最近は、ハウス栽培や品種改良で、冬から食べられるから、はっきりとした旬がどこかって言われると難しいね」

「麻衣のところ、いちご栽培する様になったんだっけ。俺言ってないよね?」

「うん、嘉くんがいちご好きな事は言ってない。でも、そうじゃないかなって言ってた」



  嘉くんがいちごが好きだから。なので、それを話題にしてみた。満月はタイミングが悪いと見れないからね。子供の頃はよく、外に出て満月を見たんだけどね。

 遥くんは、嘉くんがいちご好きだって言うのは、知らなかった様だ。偏食で、好きなものしか食べない嘉くん、でも、いちごは食べていた方だったかもしれない、って言ってた。

 普段、外食が多いといちごなんて意識して食べないよね。それに、お惣菜持って来てくれるけど、いちごは持って来てはくれなさそうだ。だから、遥くんも知らなかったんだろう。



「え、俺、遥んちの苺大福好きだったよ?」

「ああ、あれは食ってたか」



 苺大福、嘉くん好きそうだ。果物って積極的に食べようとしないと、あまり食べないよね。そして、いちごは特にお菓子以外の普段の料理にあまり使わないだろう。ストロベリーソースとか、なんかフランス料理とかでありそうだ。



「日本だと、『水無月』だっけ。梅雨の時期なのに不思議だなって覚えていた」

「水あるのに無いなんて確かに不思議で覚えやすいね」


 

 そして、遥くんからツッコミが入った。すみません、覚えたかもしれないけど、すっかり忘れていました。



「水の月って言う意味だろ。なので、古語の「無」は、強調の働きをもつ「の」を意味する表音文字で、つまり、水無月は「水の月」という意味。 昔は、田植えや稲刈りは最も重要な作業だった。それ、麻衣ちゃん知ってるんじゃないの? そこで、「田んぼに水を引く月」ということで、六月を「水の月=水無月」と呼ぶようになった」

「さすはる」

「愛夢ちゃん語がうつってるじゃねぇか。ほれ、『水無月』持って来た」

「お菓子?」

「白いういろうの上に甘く煮た小豆をのせた、三角形に切った和菓子。毎年六月三十日に行われる「夏越のなごしのはらえ」に合わせて食べられるらしいけど、六月いっぱいうちでは売ってる」

「夏越の祓えって?」

「一年の半分が過ぎて、その先も無病息災で過ごせる様に食べる」



 ああ、そんな事習った様な気がする。そっか、田んぼに水をはる月だね、確かに。旧暦の話なんだろうけど、田植えの時期は五月だからね。だって、田植えの仕方とか必要な事は覚えたよ? 水無月の意味までは、覚えても仕方が無いじゃん、ってその時は思っていたのかもしれない。



「お茶淹れるー」

「ああ。ありがとう」



 無病息災を願って、かなり早いけれど私たちは遥くんが持って来てくれたお菓子を食べるのだった。



2025/06/11 活動報告掲載

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