新刊とハードカバー
私は滅多に本屋には行かない。最近では、ネットで読む事も出来るけれど、学生時代に図書室に通った身としては、紙の媒体の方が好きだ。でも、ハードカバーは大きいし重いし場所を取るして、文庫派だ。伊坂幸太郎さんの本にハマった嘉くんはたまに持っていない本を買ってくる。興味のある事に関しては、本当に全力だ。
「新刊、読みたいけど、ハードカバーなんだよね」
「そうだね、ハードカバーで出てしばらく経ってから文庫になるケースが多いね。もしかして、新刊出てたの?」
「うん、正確には、遥から聞いた。本屋に用事があって、見つけたらしいよ」
「遥くん、買わなかったんだ」
「遥も文庫派だからね」
「そっか、じゃあ、文庫待ちだね」
「残念だけど、そうなるね」
嘉くん、本当に残念そうだ。私の方はそれほどでも無いから、別に文庫待ちしても構わないんだけどね。なので、読みたければ買ってくれば? と提案した。
「ハードカバーでも気にしなければだけど、どうせ、遥くんやみんなのところ回るんでしょ?」
「麻衣は読む?」
「あったら、読むけど、持ち歩きたくはないかな」
「家で読むと良いよ」
「そう言えばさ、前の新刊出た時、買うのは見送ったんだけど、仙台の本屋さん通りかかった時に平積みされていて、そのすべてがサイン本だった。流石にサインは直筆じゃないだろうけど、すごいなって」
「こっちのはどうだったんだろう。そこまでは聞いていないかな」
「だよね。一日待ってもらえたら、明日、仙台で仕事あるけど、買ってくる?」
「持ち歩きたくなかったんじゃないの?」
「荷物に突っ込んで持ち歩くのと、意味が違うでしょ。買ってくるよ。一つくらいサイン本あっても良いよね」
「うん、じゃあ、お願いします」
あ、やっぱり、嬉しそうだ。明日、地元のTV局で仕事があるので、その時に駅ナカの本屋さんで買って来ようと決めた。
2025/06/03 活動報告掲載




