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絵美の運が無い話



 絵美は先日、仙台であった、推しのライブに行って来たらしい。楽天の試合では無く、ちゃんと、アーティストのライブだ。楽しんで来た様だ。しかし、送られて来た戦利品の写メに付いた、泣き顔の猫のスタンプ。何があった。

 (よし)くんは、そんな、私の後ろで、うちの実家から、送られた荷物を開封している。冷蔵のものが多いので直ぐに野菜室に入れてくれるらしい。絵美のメッセージは無視して、手伝おうとしたら、嘉くんが笑い出した。



「あははは、絵美おもろ」

「どうしたの?」

「これ、絵美から」



 そう言って、目立つ様に透明な袋に入っていたのは、今、話題になっていた、アーティストのアクスタだった。絵美の写メを見ると二人が写っているものが四つある。何が泣く要因だったのか想像付かない。



「なんで、泣いてるの?」

『推しが出なかった』

「え、いるじゃん?」

『単品があるの。5個までしか買えなくて、シークレット出たんだけど、推しが出なかった(泣)』



 だから、写真には四つしか写っていないのか。運が良いのか悪いのか分からない。そして、何故、これを送ってくる。最後の一つは絵美が私に実家の野菜と共に送って寄越した。いや、嬉しいけれど、うちどこにも飾りませんが?



「麻衣、それ持ってランチ行くの?」

「いや、行かないって。引き篭もりの私がどこにそれを持って行くって言うんだ」

「ファンはそれ持って、一緒にご飯写メ撮る様だよ?」

「絵美が良くやってる、誕生日のケーキと一緒の様なやつね。私はやらないよ。まぁ、私のファンの子たちのはSNSでやっているの見た事あるけれど」



 私の場合、無事に発売された、『Fluss』のぬいぐるみで撮られているのが見る限り多い。嘉くんのも見た事ある。そっちは、ぬいぐるみは発売されていないので、アクスタと一緒だ。



「あれって何が楽しいんだろう」

「あ、それ、一番言っちゃだめなやつ。遥くんは、喜んでるよ」

「遥はなぁ、あれは、俺と一緒なのが好きなファンよりは、そっちの方がマシだって考えてるだけ」

「うわ、知らなければ良かった情報だ」



 さて、このアクスタどうしよう。せっかくもらったんだけど、困る。クローゼットのダンボール行きか? 絵美の戦利品画像は続いている。タオルとかTシャツなどの定番のものから色々と買って来た様だ。あ、今気付いたけれど、私に送ってきたの、アクスタだけじゃなかった。青い名前入りのコインケースも入っていた。あ、これ本気で私のためか。


 実家から送られて来た野菜を片付け終わった、嘉くんがいつの間にかいない。すると、クローゼットのある部屋から戻って来た。手には何か持っている。あー、結構前にあった、レーゲンボーゲンのツアーグッズだ。やっぱり、クローゼットのダンボールにしまったままだった様だ。嘉くんが描いたコーヒーカップは私専用で使われているんだけど、コーヒーを淹れてくれる度に苦笑している。



「それ、レーゲンボーゲンのアクスタだ」

「全部揃っているけど、単品のだけ持って来た」

「おお、嘉くんと遥くんだー」

「麻衣のは、イラスト以外のは無いの?」

「あるけど」

「けど? なんか、まずいの?」

「いや、可愛い方が良いじゃん」

「カッコいいのも俺は良いと思うけど?」



 私もクローゼットのダンボール箱の中から、アクスタを取り出す。複数あるんだけど、一個でいいや。みんな立ちポーズなので、それを選んだ。きっと、並べるつもりなんだろう。一人いないけどさ。



「少しの間、飾っておいて、それからしまおうか」

「わざわざ、ありがとう」

「いや、心が狭くてごめん」

「なんで、謝るの?」

「だって、これだけで飾れば良いのに、俺たちと麻衣のも並べている」

「ああ、私だったら、嘉くんのと二個並べておくでも良いんだよ?」

「いや、それは俺が嫌だ」



 四つ並べて、写メを撮ると、絵美に送っておいた。反応は直ぐに帰って来た。ずるいって言われた。何がずるいのか聞いたら、この遥くんのアクスタは持っていない様だ。ああ、出なかったのか。三つしか渡してないもんね。



「絵美って地味に運悪い?」

「どうなんだろう。シークレットの引きは良いけれど、推しの引きは悪いね」

「これ、送ってあげたら?」

「うん、そうする」



 並べた、アクスタ、遥くんの減っちゃって、私の推しと嘉くんに挟まれる私の三つだけになっちゃった。後日、遊びに来た遥くんには、私の趣味か、って突っ込まれた。いやいや、そう言うわけではないって。その様子を見て、嘉くんは大爆笑。それ、最初に言って。なんで、黙ってたのですか。面白いから、気付くまで、黙っていたって言われた。



2025/03/05 活動報告掲載

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