オープン戦とホーム開幕戦
特定のスポーツ団体名、選手名出て来ます。
試合結果を見ていた嘉くんが笑っている。今回の試合結果を聞くと嘉くんは「今日は絵美から連絡があるかもね」と言われた。同点で終わったようだ。
『オープン戦:楽天-広島』
広島ドラフト2位の佐藤柳之介投手(22=富士大)がオープン戦初登板で先発し、3回1失点と踏ん張った。激化する開幕ローテーション争いに必死に食らいついている。
初回に四球、盗塁から1点を失ったが、2回は注目ルーキーの宗山塁内野手(22=明大)を三邪飛に仕留めた。尻上がりにリズムに乗り、3回は3者凡退。最後は辰己涼介外野手(28)を140キロの速球で空振り三振に切った。
学生時代からの課題という立ち上がりの不安定さが出た。直球の制球にも納得できず「前回からの課題を詰められていなかった。2回同じことを繰り返してはダメ」と猛省した。調子が悪くてもカーブ、カットボールなどを駆使して、試合を壊すことはなかった。
同じ左腕の楽天早川隆久(26)と先発で投げ合い、発見も多かった。
「力感や緩急。自分が投げたい球種を全て投げていて、レベルも1つ、2つ…もっと上。先発をする上で球数を少なく、テンポよく投げることは必須。すごく参考になりました」
宮城県出身で、大学も岩手県。楽天は最も身近な球団だ。「知っている選手しかいないし(アマ時代は)いち観客として見ていたので、戦っていても楽しかった。応援歌も知っていました。地元のチームと戦うのは不思議な感覚だったけど、勝負なので、そこは割り切ってできたかなと思います」と、中身の詰まった3イニングを振り返った。
「これは、広島の方のニュースだよね」
「うん、そうだね、なんか、おかしかった?」
「ううん、流石だなって思った。やっぱり、見るニュースは広島なんだなって」
「ああ、どうしても気にしちゃうからかな」
今日の試合、ここまで、広島と宮城の話題を取り上げられていたら、嬉しくなるな。すると、絵美からやっぱり、着信があった。早川くんが、宗山くんがと、テンションかなり高めだ。うん、知ってた。佐藤くんも頑張ったからね?
「絵美、相変わらずだね」
「はは、通常運転だ。広島側のニュースの事言ったら?」
「うん、URL送ろうか」
「で、今日もごめんね」
「俺も楽しいから良いよ」
絵美、夜なんだし、もう少し抑えなよ、そう言う私の言葉、聞いているか怪しい。
『えー、だって、聞いて欲しかったんだもん。一緒に盛り上がってくれるのって、よっちゃんしかいないだもん」
「うちの、嘉くんを巻き込まないでくれ」
そして、やっぱり、一緒に野球の話をしてくれる人が近くにいないのか。悠兄は、きっと、絵美のテンションに耐えきれずに逃げたな。このままだと、そのうち、嘉くんにも逃げられるよ?
「麻衣、麻衣、ごめん。こっち、頼んで良い?」
「どうしたの?」
「愛夢から、正確には荘太郎からの通話だけど。麻衣に掛けたけど、繋がらなかったってさ」
「何かあったの?」
「いや、絵美と同じ様な理由」
あー、なるほど。
ベガルタ仙台は大分トリニータと対戦し、2対0で快勝しました。
ユアスタの改修工事に伴い、16年ぶりにキューアンドエースタジアムみやぎで行われたホーム開幕戦。
1万1437人が足を運びました。
試合は前半8分。
エロン選手の今シーズン初得点で、ベガルタが幸先よく先制します。
さらに前半23分。相良選手がシュート。 利き足ではない左足で鮮やかに決め、2点目を奪います。
後半も攻撃の手を緩めなかったベガルタは大分に2対0で快勝。
3年連続でホーム開幕戦勝利です。
ご丁寧に通話と一緒に送られて来た、URLに、愛夢ちゃんの嬉しそうな声が飛んで来た。今日は、ホーム開幕試合で、仙台に行ってたんだよね。仙台の実家に一泊して帰って来るらしい。
『マリ姐、通話中でした?』
「いや、主にしゃべってるのは、嘉くんだね」
『なして、スマホ、お互いの使って違う人としゃべっているの?』
「言われれば確かにそうだね。一応、私たちに気を使って、私に掛けて来たんじゃないかなって、思ったんだけど、考え直したら違うかもしれない」
『何ですか、それ』
通話の向こうの愛夢ちゃんはおかしそうに笑う。確かに、私のスマホで嘉くんがしゃべって、嘉くんのスマホで私が愛夢ちゃんとしゃべっている。何だか、不思議な感じだ。それと、絵美は気を使ってそうしたわけではないと言い切れる。
「ベガルタ、ホーム開幕勝利おめでとう」
『ありがとうございます!』
「三年連続ってすごいね」
『ですよね、それも快勝で嬉しいです。お土産買って帰りますね』
「明後日、愛夢ちゃんも中山くんも事務所だよね」
『今日は土曜日なので、問題ありません!』
「あはは、気を付けて帰って来てね」
『はい、ありがとうございます』
まだ、テンション高めだ、そのまま、通話を終わらせて、隣りを見ると嘉くんと絵美はまだ、通話中だ。今年の野球について、話し込んでいるようだ。二人とも楽しそうなら、それで良い。
私は二人の会話を聞きながら、嘉くんが淹れてくれたコーヒーを飲むのだった。
2025/03/02 活動報告掲載