猫の日と女子会
猫を飼っているって言う、聖良ちゃんに遊びに来ませんか、ってお誘いを受けた。嘉くんからは、しっかり可愛い格好で行ってね、とだけ言われた。うん、聖良ちゃん、付き合っている人もいないし、かなり人気のある歌手なので、マスコミを心配しての発言だ。
白のセーターに紺色のスカート、ベージュのダッフルコートにした。白の毛糸の帽子、足元はブーツと少しは可愛い格好になっただろうか。まず、可愛い服は似合わないので、持っているのが、少ないって言うのもある。
それと、今回は、愛夢ちゃんも一緒だ。女子会しましょう、って言われた。私がいても女子会って言うのかちょっと、謎だ。女の子扱いしてくれるのは嬉しい。
「どう?」
「ん、可愛いよ」
「じゃあ、行って来るね」
「気を付けてね」
「ありがとう」
嘉くんにも、可愛いと言われたので、こんなもので良いかな。出掛けに、行ってらっしゃいのキス、やっぱり、まだ必要何ですか。赤面して、嘉くんの胸元を押して、逃げる様に私は部屋を出ると、ドアの向こうで嘉くんは楽しそうに笑っていた。
お土産のケーキの箱でも持てば更に可愛く見えるかな。途中のケーキ屋さんで、三人分のケーキを調達する。聖良ちゃんのマンションの最寄駅で、愛夢ちゃんと合流して、開口一番、「それ、浅生さんチョイスですか?」って言われた。挨拶最初にしようね。
愛夢ちゃんはピンクの丈の短いボアコートにチュール素材の黒のミニスカートに黒のロングブーツだ。いつものお仕事の時に比べるとカッコいい寄りの服装だ。
「あ、マリ姐はケーキにしたんですね」
「愛夢ちゃんは?」
「私は、実家から、送ってもらった喜久福です!」
「おお、前に貰った時に食べたけれど、美味しかった。遥くんが絶賛していた」
「あは、古川さんらしいですね!」
仙台の有名なお茶屋さんのお菓子は前に愛夢ちゃんに貰って食べた事あるけれど、とても美味しかった。いっぱい、貰ったので、遥くんが来た時にお茶請けにしたんだけど、ここのクリーム大福が一番上手いって絶賛していたんだよね。
聖良ちゃんのマンション、実は前に家族で住んでいた。聖良ちゃんは、小学生の頃までドイツに住んでいて、その後、日本に移り住んだ。でも、五年前にお父さんがドイツに赴任する事になって、お母さんも着いて行ったらしい。歌手の仕事もあるので、聖良ちゃんは一人、日本に残った。
マンションも親が購入したものなので、維持と言う形で管理するために済んでいる。お父さんが日本に戻って来るのはまだ、先になりそうだって言ってた。一人っ子なので、広いマンションに一人は寂しそうだが、もう慣れたって言ってる。年に一度、ドイツに帰る事もあるらしい。東京はマンションを借りるにも、家賃が高いので助かってるって言っていた。
「マリ姐、愛夢さん、いらっしゃい!」
「こんにちは、今日はお招きありがとう」
「いえいえ、どうぞ」
「猫は逃げるから別室?」
「はい、まだ子猫なので、その心配少ないんですけどね、一応。こないだやっとママから猫飼って良いって、言われたんです」
「マンションは大変だからね。賃貸じゃ飼えないよね」
手を洗ってうがいをして、リビングに案内されると、子猫は籠の中で眠っていた。小さくてかわいい。お土産のケーキの箱を渡すと「ありがとうございます」と言う言葉と共に受け取ってくれた。
「名前は決めてあるの?」
「はい、ありきたりだけど、『ヴァイス』って言います』
「ヴァイちゃん」
「おお、可愛くなった」
『ヴァイス』はドイツ語で白を意味する単語だ。この子は白いのでありきたりって、聖良ちゃんは言ったんだろう。猫は私たちが来ても起きる事も無く眠っている。結構、神経図太いな。眺めていてもいつ起きるのか分からないので、コーヒータイムになった。ケーキはコーヒーに合うんだけど、意外にクリームを使っているためなのか、喜久福とコーヒーも合う事を知った。いつもなら、緑茶なんだけど、聖良ちゃんのうちにはなかったので、謝られた。気にしなくて良いのに。
「愛夢ちゃんのところはペット飼ってるの?」
「うちは、飼っていないけれど、荘くんの実家には、犬がいるよ」
「犬種は?」
「残念ながらシュナウザーではなくて、柴犬です」
聖良ちゃんの嘉くんがシュナウザーみたいだ、発言は愛夢ちゃんにも届いていた様だ。うん、あの時、ペットの話をした後に、愛夢ちゃん仕事でうちの事務所に来たから、私が席を外したタイミングで、聖良ちゃんとその話題になった様だ。
「遥くんの実家に行った事あるけれど、中山くんの実家には行った事ないな。遥くん家から近いの?」
「一番近いのは、佑くんのお家ですね。古川さんのお家と近いのは、内田さんだと思います。二人とも浅草だって言ってるので。でも、四人とも近所といえば近所ですかね。同じ台東区なので」
「そっか、私の幼馴染みね、隣りに住んでいたんだけど、田畑があって隣りって言っても、かなり離れていたんだよね」
「うわ、田舎あるあるですね」
愛夢ちゃんの実家は、泉区役所の近くらしいので、田舎でもないし、色んな施設が近くて便利だっただろうな。ふと、鳴き声がして、籠を覗くと起きた様だ。まだ、子猫なので鳴き声すら小さい、やばいな、これ可愛い過ぎる生き物だ。
猫可愛いけれど、こうして、飼っている人のところに行くで十分かな。その後、人懐こい子猫だったので、ミルクをあげたり、一緒に遊んであげたりしました。うん、私の紺色のスカート、ヴァイスちゃんの毛で大変な事になった。毛が長い動物は、どうしても毛が抜けちゃって掃除が大変だよね。
それから、たまに聖良ちゃんのところに遊びに行く事にした。あと、中山くんの実家に行く機会にも恵まれた。柴犬も可愛いね。ペットは見ているだけで癒された。今日は、呼んでくれて楽しかったよ。
2025/02/22 活動報告掲載




