紅茶を鍋で淹れる不思議(古川先生の紅茶講座付)
いつもはコーヒーが多いし、嘉隆くんと付き合う様になって、彼がうちに来る様になると積極的に豆を挽いてコーヒーを淹れてくれる。しかし、その日は違った。事務所から、紅茶を頂いた。ちょっと、良いお茶で、いつもの様に、適当に淹れたら、お茶好きの古川くんや、絵美に叱られると思ったので、プロを呼んだ。プロと言っても、古川くんだけど。頂いたお茶はアッサムだった。
「牛乳ある?」
「アッサムと言えば、定番はやっぱり、ミルクティーですかね!」
「そうそう、それと小さい鍋も」
「鍋?」
「鍋で作る」
へ? 想像付かなかった。ミルクティーを鍋で作る事が意外すぎて、驚いた。普段、お茶は飲まないし、紅茶の淹れ方さえ曖昧なのだ。その工程を知っているわけがない。鍋に牛乳を入れて沸騰させない程度に温めて、その中に分量を測った紅茶の茶葉を入れた。砂糖なんて、入れていないのにふんわりと甘い様な香りが漂った。ミルクティーの香りだ。沸騰する前に火を止めて、温めていたカップに茶漉しでミルクティーを注いで完成だ。ちなみに茶漉しは、緑茶用の茶漉しが取り外して使えるものだったので、それを利用した。
「ロイヤルミルクティー?」
「どうなんだろう、紅茶にミルクを注ぐのが、ミルクティーで、ミルクに紅茶を入れるのが、ロイヤルミルクティーって言う話も聞くけど、そこまでは詳しくはないな」
「そうなんだ」
「でさ、淹れたの悪いんだが、嘉の分は、コーヒーか、ストレートのお茶で」
「え? 嘉隆くん、ミルクティーまさか、ダメな人?」
たまに、紅茶を飲む機会があったけれど、その時はミルクも砂糖も入れていなかったのを思い出した。「嫌がらせか」と嘉隆くん、ぼやいている。いつもとは反応が、逆なのが面白い。いつもだったら、嘉隆くんがコーヒー淹れて、古川くんにぼやかれてるからね。
CTCの茶葉なので、ストレートで淹れる場合は、茶葉を少なめにして、蒸らし時間を短めにすると良いよ、と古川くんに教えてもらった。
「CTCってこの丸い加工の事? どういう意味なの?」
「Crush, Tear and Curl=茶葉を砕き、裂いて丸めたタイプの製法で、さっと入れてもコクと甘味が出るって言う特徴がある」
「なるほど」
綺麗な英語の発音。お茶の説明もばっちりだ。準備したティーポットには、古川くんが嘉隆くんのために美味しいアッサムティーを淹れてくれました。今日のお茶菓子は、古川くんがチーズケーキをお土産に持って来てくれました。ミルクティーもチーズケーキも美味しかったです。
2024/11/01 活動報告掲載