ポッキーの日2025 (十一月十一日)
今年は流石に莉子さんにお菓子は休憩室で自分たちだけで食べる様に言われていた。それを、見た美月さんが笑っている。「それくらい大目に見てあげれば良いじゃないの」って言っている。それに対して、莉子さんは更に「これでも、十分、譲歩しているわよ」と返していた。去年、一緒にその悪巧みに与した聖良ちゃんも莉子さんに注意されていた。
なんで、今回こうして、注意されたか。今年も来月のクリスマスコンサートの打ち合わせがあるからだ。レーゲンボーゲンの事務所と交互に打ち合わせをする理由には、社長の多田さんがこの時期忙しいからだ。打ち合わせ中もちょっとだけ顔を出して他の仕事に行ってしまう。それを、何度か繰り返している。打ち合わせの内容を理解して、間違わないなんてすごいな。
「私は、ポッキーよりも、プリッツの方が好きかな」
「珍しいわね」
「プリッツのサラダ味は、お酒に合うから」
「麻衣らしい」
私のその一言に、莉子さんは呆れて、美月さんには笑われた。え、だって、しょっぱい方がお酒に合うよね? でも、買ってまでは食べないけどさ。どちらかと言うと、って話だ。
「うまい棒の日でもあるのね」
「その形状ならなんでも良いの?」
美月さん、スマホを見ながら呟くと、冷静な莉子さんのツッコミ、今日も冴えてるな。と言うか十一月十一日の記念日多すぎる。
「ポッキーって、買ってまで食べないよね」
「うん、プリッツもそう」
「俺、去年ここで食べたのが十年振りとかだった」
そんなになるのか。サポートメンバーも持ち寄るものにポテチとかはあるけど、ポッキーは無かった様だ。自分でお菓子を買ってまで食べないな。だって、実家から送られてくるお菓子ですら持て余すのだ。
「もしもやるなら、帰ってからにしてね」
「いえ、やりません」
私の一言に美月さんが吹き出した。え、やりませんよ。去年だってやらないって私言いましたよね。結局、やらされたけど。
でも、お菓子の差し入れはもらってしまった。いらない、って言ったんだけど嬉しそうに受け取っていたのは遥くんしかいない。
「食う分には良いっすよね」
「プリッツちょうだい」
あ、受け取った、プリッツはバター味だった。サラダ味じゃ無いのか、残念。ふと、嘉くんがポッキーを口に咥える。私やりませんって。
「遥やる?」
その一言に、みんなが固まった。美月さんと聖良ちゃんから黄色い声があがった。そう言えば、去年嘉くんは僕と遥? って聖良ちゃんに聞いていたものね。で、遥くんに一蹴されていた。
「誰がやるか。麻衣ちゃん、喜んでも、嫉妬なんて妬かないと思うよ」
「だめかー」
うん、まぁ、嫉妬はしないかな。流石にやってはくれなかった。
2025/11/11 活動報告掲載




