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遥先生の紅茶の日講座+本の日



『その由来は、1791年(寛政3年)の11月1日に、伊勢の国(現・三重県)出身の船頭・大黒屋光太夫という人物が、ロシアの女帝・エカテリーナ2世のお茶会に招かれ、日本人として初めて外国での正式な茶会で本格的な紅茶を飲んだ、という逸話からきているらしい』



 紅茶の日なんで紅茶を飲みに行かないかって誘われた。今日のデートは遥くんと一緒だ。と言うと(よし)くんがはぶてるので言わない。うん、六花(りっか)ちゃんもいるけど。六花ちゃんを紅茶の美味しい喫茶店に誘ってくれたのは、遥くんだ。流石に姪っ子とはいえ、若い女の子と一緒な事に気が引けたのか、私が誘われた。

 いつもなら、みどりさんや遥くんのお母さんが一緒なんだけど、忙しいらしい。それと、六花ちゃんが私と一緒にお茶を飲みたいと言ってくれた様だ。嘉くんは残念ながら、土曜日で普段なら休みなのに、今日は手が離せないソロの仕事があるらしく、本当に残念そうだ。それを見た、遥くんは楽しそうだった。



「遥、恨んでやる」

「なんでだよ。その仕事前々から決まっていたんじゃねーか」



 それでも、諦め切れない嘉くんは、私を遥くんたちと待ち合わせした駅まで、送ってくれた。六花ちゃんは秋色のカーディガンと赤いロングスカートで今日は遥くん色だ。遥くんも、秋色のセーターで、色は違うけど、六花ちゃんと雰囲気が合っている。



「ジェラピケのルームウェア、ありがとうございます! 聞いたら、(あん)お姉ちゃんとイロチだって言っていて嬉しかったです」

「実は、あれ、(りん)ちゃん用にも頼んであるよ」

「わぁ、そうなんですね! 三人でオソロなんて嬉しい」

「喜んでもらえて良かった。それで、遥くんは?」

「えへへ、おじさんからは、欲しい本があって、それを買ってもらうつもりでいます」

「そうなんだね」



 なので、喫茶店の前に本屋に寄って行く事にした。お目当ての本を見つけて、六花ちゃんは嬉しそうだ。ふと、通りすがりの児童書コーナーで見た事のある絵が目を引いた。これ、嘉くんの好きな『銀河鉄道の夜』だ。仕掛け絵本になっていて、子供だけじゃ無くて大人でも楽しめそうだ。



「嘉、好きそうじゃん」

「そう思う?」

「誕プレとかに良いんじゃね?」

「うん、良いかも」



 遥くんも絶賛してくれた。すごく、綺麗な絵で目でも仕掛けでも楽しませてくれる。俺は、こっちかな、と言って遥くんが手に取ったのは、謎解きの本(?)のようなものだった。色々な種類があって、宮沢賢治繋がりで『注文の多い料理店』があった。それ、小学校の教科書に載っていたね。理不尽だけど、コメディタッチで面白かった。


 六花ちゃんお目当ての本は、綺麗なお城の写真集だった。日本のお城では無く海外のお城だ。小さいのは、幾つか持っているのだが、大きいのが欲しかったらしい。でも、大きいのは、それなりに値段も張って高い。六花ちゃんは海外のお城や教会の景色が好きらしい。大人になったら、ドイツの有名なノイスヴァンシュタイン城に行きたいって言ってた。あれ、そこ、遥くん、アルバムの撮影で行った事無かったっけ? その事を言ったら、やっぱり、お土産にポストカードをもらったって言ってた。

 私も、ちょっと、気になって、コンパクトな文庫サイズのお城の写真集を買ってみた。インスピレーション沸くと良いな。それと、仕掛け絵本も買ったみた。遥くんは、謎解きの本を何冊か買った様だ。



 その後、喫茶店は、遥くんのオススメで、紅茶がポットで出てくるお店だった。これは、長居確定だね。遥くんにオススメの紅茶を聞いたのは、私だけだった。六花ちゃんも良く飲むので、即決していた。高いお茶を選んで、確信犯と遥くんに突っ込まれていた。こう言う機会じゃ無いと頼めないから! と嬉しそうだ。あはは、確かに。普通にアッサムのミルクティーにした。

 そして、遥くん奮発して、お菓子はアリスのティータイムに出てきそうな、お菓子や軽食が三段に重なっているセットで、イギリスで食べたの以来だ。



「これ、下から食べるんだよね。サンドイッチ、スコーン、ケーキの順番」

「良く知ってるな。ここは、そこまで、敷居高いわけじゃ無いんで、普通に食べて良いと思うぞ」



 イギリスで食べた時に、そう教わった。でも、マナーに従って私は、サンドイッチから食べる事にした。うん、遥くんもちゃんと下から食べている。敷居が高いわけじゃ無いので、食べ切れない私の分も食べてくれた。



「前から思ってたんだけど、麻衣ちゃん、スコーン好きなのか?」

「え、なんで」

「いや、よく頼んでるから。今も美味そうに食ってる」

「うーん、好きなのかな?」

「自分でも疑問系なのかよ」

「だって、気にした事無かったからね」

「なる」



 言われて気付いた。前に、仙台の喫茶店に行った時も私、スコーンを頼んでいたね。サクサクとふわふわの二つの食感が好きなんだよね。それに、ランチにすると全部食べ切れないからね。クロテッドクリームっていうんだっけ、これ好き。



「六花ちゃんは、本好きなの?」

「はい、色々と読みますよ。遥おじさんが置いていった本は読破しました」

「遥くん、どんな本置いていったの?」

「芥川龍之介とか川端康成とか、宮沢賢治もありました!」

「国語で習うラインナップだ」

浅生(あそう)さん、銀河鉄道の夜が好きなんですよね」

「うん、ああ、これ知ってる? 嘉くんの『サドル』って曲は、宮沢賢治からきているみたいだよ」

「わ、これ、知らない情報だ。そうだったんですね。でも、私が聞いても良かったんですか?」

「多分、忘れているだけで、別に公になっても問題ない話だと思うよ」



『サドル』が自転車のサドルでは無いことは、嘉くん自ら説明している。内容も気付く人には、『銀河鉄道の夜』だって、言う事も分かりやすい。だって、電車が出てくるからね。



 楽しいお茶会だった。最後に、持ち帰り用に、嘉くん用のお土産にスコーンを買った。クロテッドクリームは、デパ地下ででも買って帰ろうと思う。



 2025/11/01 活動報告掲載

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