流星群と宮沢賢治
ふたご座流星群が見れるらしい、東京にいると街の明かりがあって、星はほとんど見えない。これが、実家だと良く見えるんだけれどな。試しにベランダに出てみたけれどやっぱり無理だった。
「ね、嘉くん。嘉くんの実家は星が良く見える?」
「見えるよ。初めて、銀河鉄道の夜を読んで、他にも宮沢賢治のお話はたくさん読んだよ。その時からかな、星を見るのも好きになった。小学生の頃は祖父のところで、夏になると賢人と一緒に、星を探したよ」
「探す?」
「正確には、星座、星座の早見表って持ってなかった? それを見ながら星座を探すんだ。そのお陰か、中学の部活の帰り道でも、高校のバイトの帰りでも、星を探したね。早見表がなくても、簡単に星が探せる様になった」
「おお、すごい。私は空を見て探すのは星座ではなく流れ星だったな」
「そろそろ、流星群の時期だっけ。ここじゃ、残念ながら、見れないね」
ベランダで空を眺めていた私は諦めて暖かい部屋に戻って来た。嘉くんが手を広げて待っていてくれる。「私冷たいよ?」そう言ったけれど、気にしないよ、と言うと暖かい腕に包まれた。嘉くん、あったかい。
2024/12/13 活動報告掲載