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冬の始まりを告げる



 流石に朝は少し寒くなって来た十二月の始まり、日課の散歩を初めて五年以上経過した。天候の悪い日でなければ、散歩は続けている。東北に比べれば冬は降雪量が多くないので、散歩するのは問題ない気候なのは助かる。夏は朝でもそれなりに暑いけれど。

 今日は、隣りに(よし)くんが一緒だ、週の月水は一緒に散歩に付き合ってくれる。それ以外は、嘉くんはジョギングだ。相変わらず寒そうな格好だね、って嘉くんに言われた。白いフリースのパーカーはもこもこしていて、とても暖かいよ、そう言うとこれだけだと寒そうだと言われた。そこまで、寒いわけじゃないんだけどな。歩くと暖かくなるから、これくらいがちょうど良い。下は最近お気に入りの裾が広がったデニムのスカートだ。


 嘉くんは、かなりカジュアルだ。ジャージとか結婚してから着る事に驚いた。その紺に白いラインの入ったジャージの上に私と色違いのフリース、中は私よりも一枚多い。ジャージの中にも暖かいシャツを着ている。私が贈ったマフラーをしてくれている。私にはマフラーはまだ、出番はないだろう。手袋もしていない。嘉くん、手袋もすればいいのにって言ったら素手で手を繋げないから、しないって言われた。私、どっちかって言うと手は冷たい方なんだけどな。


 近所の公園を一周するのが、散歩コースだ。結構、広い公園でコースによって歩く距離が変わる。空気も緑があるので、街中よりもずっと良い。ジョギングのコースはまた違う様で、散歩よりも距離は長い。自転車でも走れる様で、嘉くんはたまにサイクリングをしたりもする。私は自転車、高校生の頃以来乗っていないな。高校の頃だと少しの積雪なら、平気で学校に通っていたんだけど、今は無理だろう。滑って転んだのも良い思い出だ。


 公園に植えられている、木々もすっかり葉を落として、秋が終わりを告げて、冬がやってくる。本格的な冬はまだ先だが、新しい新居に移ってから、初めての冬がやって来る。見える景色はちょっと寂しいけれど、冬の始まりは嫌いでは無い。



「紅葉終わっちゃったね」

「まぁ、先週、宮島に行って来たから、紅葉は見たけれどね」



 先週、私たちは、仕事があって、広島に行っていた、そのときに、時間を作って宮島に行って来た。人の多い観光地を避けて、紅葉を遠くから眺める。それでも、とても綺麗だった。こんな、楽しみ方もあるんだね、と言うと景色はどこも綺麗だよ、って言う事だった。うん、確かに、松島も人の多いところに行かなくても、楽しめる。それは、宮島も一緒だろう。



「日も短くなって来たから、朝が余計大変だなぁ」

「今まではどうしてたの」

「冬に近付くつれて、散歩コースが少しづつ短くなってました。朝が辛すぎるんです」

「出る時間を遅くしていたのか」

「そう言う事です」



 それでも、頑張っていたよ? 朝のきんと冷える空気も冷たいけれど嫌いでは無い。出るまでにすごく勇気が必要だけれど。本当は冬の間、引き篭もりたいくらいだ。それも、思うだけだけどね。


 紫色に染まる空を見上げて、少しづつ太陽が昇る。ああ、この景色も夕方の黄昏時と同じくらい好きだ。夕方とはまた違った空だ。立ち止まって空を見上げると、嘉くんもつられて空を見上げた。その景色を二人で見れる事が嬉しい。言葉にしなくても分かる。これだけは、嘉くんが何を考えているのか理解できた。きっと、この空を見上げた瞬間、新しい歌詞が思い浮かんだのだろう。



「綺麗だね」

「ん、うちに帰って忘れないうちに書き溜めておきたい」



 その言葉に私はスマホを取り出すと、この景色を閉じ込める様にシャッターを切った。これなら、忘れる事はないだろう。少しだけ、歩く速度を上げて私たちは帰路に着くのだった。



2024/12/01活動報告掲載

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