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冬の始まりを告げる(雪国編)



 今回は、仙台で仕事があって一泊二日で宮城に来ている。仙台の地元のTV局に出演を予定している。(よし)くんは、仕事では無く、こっちはプライベートだ。仕事が忙しいけれど、旅行に行こうと言うのを実践してくれているらしい。仕事は夕方の番組出演なので、午後にTV局入りすれば間に合う。

 それまでは、ゆっくり、仙台の街並みを歩こうと言う事になった。残念な事に光のページェントはもう少し先なので、また、来たいな。蜻蛉返りなので実家に戻る事は出来そうにないのがすごく残念だ。

 昨日、仙台入りして実は、嘉くんの好きな水族館に行って来たところだ。莉子さんと美月さんも誘ったんだけど、そこは断られた。遠慮するに決まっているじゃないの、って言われた。


 ホテルに一泊して、次の日の朝、莉子さんと美月さんに散歩に行く事を、伝えておく。まぁ、まだ寝てると思うけれど。仙台は東京に比べると寒かった。嘉くんは黒のコートに私のあげたマフラーと装備は万端だ。私は、白いセーターの上にショールを羽織っていて、見ていていつも、寒そうだと何回も言われた。



「あ」

「麻衣?」

「ね、嘉くん、この虫なんて言う?」



 立ち止まった私の左手には白いふわふわの虫が乗っている。冬の始まりを告げる綿雪の様な虫だ。この、虫、地方によって色々な呼び方があるのよね。なので、嘉くんが何て言うのか気になった。



「え、初めて見る」

「え?! これって、こっちだけでしか見ないの??」



 驚いた、日本全国で見られるものだと思っていたから衝撃だった。嘉くんは不思議そうにその虫を見つめている。珍しい様だ。きっと、遥くんなら適切な説明してくれるのかな、それとも遥くんも見た事ないかな。



「これね、絵美のところだと、『雪ばば』って言うらしい。普通は『雪虫』が一般的みたいだけど」

「一般的って言う事は麻衣のところはまた違うの?」

「うん、私のところは『雪ん子』って言う」

「随分と可愛くなったね」



 おばあちゃんと子供じゃ、かなり違う言い方でお互い笑い合った思い出がある。この虫が飛び始めると冬がやってくる。そんな、冬を告げる虫だ。



「可愛いね」



 どうやら、この虫は平気な様だ、雪ん子は私の手のひらから離れるとふわりと空に羽を広げた。ふわふわと雪が降る様に飛んで行った。



2024/11/28活動報告掲載

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