新しい発見に、心躍る歌が響き合う
がっつり、リアルの歌手名出て来ます。
作業部屋で、他愛もない話をしていた。ここは防音設備がしっかりしているので、曲を作ったり、動画サイトの配信なども出来る。私も嘉くんも一番にこだわった物件だ。でも、居心地は良くしたくて、この部屋専用にソファも用意した。遥くんは、よくこのソファで寝ている。ちゃんと、来客の和室があるのに、作業中でも寝落ち出来るからって言うのが理由らしい。それに、ここだと防音設備がしっかりしているので、生活音が届かなくて良いと言う事らしい。
嘉くん、かなり不満げだ、何故かと言うと、私とのいちゃいちゃを見せつける事が出来ないから、らしい、いや、それは遠慮しておきます。
今日は、珍しく嘉くんが歌っている。去年、流行った映画の探偵アニメのスピッツが歌う主題歌だ。スピッツは昔、高校の文化祭で歌ったな。タイトルに『空』が入っていて、選んだ曲だ。その時、生徒会側が違う曲だったけど、同じスピッツの曲を選んでいて、かなり焦った。被らなくて良かったよ。
この曲どうやらTVで歌うらしい。元々、歌える曲だったんだけどもっと精度を上げたい様です。私としては、耳がとても幸せです。
「どう?」
「すごく、上手です」
「いや、嬉しいけど、そうじゃなくて、直し必要なところあるかなって、思ったんだけど」
「えっと、出だしの入りがちょっと早いかな。トーンの高いところはあれは、アレンジ入れてるの? ちょっと、力入っているかなって思った。それ以外は問題ないよ。というか、私の意見で良いの?」
「だって、君も歌手でしょ。取り繕わない意見が欲しい。立沢さん、もっとズバズバ言うよ」
「それは、プロデューサーだからでしょ。どんな感じに歌っても、私は嘉くんのこの声を独り占め出来るだけで、良いのですよ」
「麻衣、それぶち嬉しいけど、その後、どうなるか分かって言ってる?」
あれ、地雷踏んだ? 本当の事言っただけなんだけどな。この部屋ではいちゃいちゃは禁止です。
* * *
何気なく録画した歌番組を見ていた。ドラマは見ないけれど、歌番組は色々と参考になるし、歌手の人たちが歌うのを聞いているだけで、楽しいので、録画してまで見ている。その中で、嘉くんと同郷のポルノグラフィティが歌っていた。この曲は、私が高校の文化祭で歌った曲だ。懐かしい。
「この曲ってさ、広島弁バージョンとかなかった?」
「あったね」
「嘉くん、歌える?」
「ちょっと、歌詞がどうなっているか分からないなぁ。原曲なら分かるけど、彼らの出身地の因島の言葉なら、俺のところとちょっと違うかもしれない。麻衣のところだって、仙台弁と宮城弁が少し違う様に広島もそうなんだよ」
「そっか、広島も地方によって言葉がちょっとずつ違うのは、当たり前だよね」
それでも、嘉くんの手元を見ているとどうやら、歌詞を検索してくれていたらしい。どこまでも優しい旦那様なんだ。歌詞を見つけるとアカペラで歌ってくれた。すごく、楽しそうだ。
「やば、これぶち楽しいけん」
「歌詞が違うと別な曲みたいで、楽しいね」
「それと、ちょっと調べた時に気付いたんだけど、訳詞っていうの? それ、吉田拓郎さんがしていたみたい。吉田さんの出身は広島市なんで、俺の地元の隣りなんで、言葉はやっぱり、近いかもしれない」
「歌いやすい?」
「まぁ、原曲の方が歌いやすいけど、これはこれで、楽しいので、好きかも」
TV画面のポルノグラフィティの二人は楽しそうに名曲の数々を歌っている。TV番組で三十分ライブってすごいな。この、広島弁バージョンの曲は、音源化はされていないらしい、ちょっともったいないな。これ、嘉くん、気に入った様で、動画配信で歌ったら、すごくウケた様です。
2024/11/23 活動報告掲載