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大好きなあの人の応援を!

野球の話をしています。特定のチーム、選手名出てます。



 きっと、来ると思っていた。今日は、夕飯を早めに済ませてTVの前で待機中だ。先日の三試合は私は見ていない。結果だけ後から知った形だ。そして、私の隣りには、(よし)くんがいる。どうやら、私と一緒に野球が見れる事が嬉しいらしい。

 通話の相手は絵美だ。今日は、世界野球で絵美の好きな早川投手が先発で出場する様で、きっとテンション高めで、応援しているんだろう。隣りに座る嘉くんとのギャップが面白い。こっちは、冷静に試合が始まるのを眺めている。前の三試合は自分の部屋で見ていた様だ。嘉くんのファンの小園選手はずっと、出ているので、応援もすべて見ていた様だ。

 私はあまりに野球の事に詳しくないので、中継が始まると通話をスピーカーに替えてしまった。ぜひ、二人で野球の話で盛り上がって下さい。



『え、私煩いよ?』

「知ってる。それに、耳元で騒がれるよりずっと良い」

『えー、麻衣は見ないの?』

「見てるよ、でも、野球はそんなに詳しくないので、詳しい人の解説入った方が良いでしょ?」

浅生(あそう)くん、野球詳しい?』

「カープファンだから詳しいんじゃないかな。私、洗い物だけ済ませてくるね。嘉隆くんと話していて」

『はぁい』



 逃げたんじゃないよ? 決して煩い絵美を嘉くんに押し付けたわけではない。験担ぎっていうわけじゃないんだけど、今日はお酒ではなく、緑茶と宮城と広島のお菓子を用意してみた。応援するのが、楽天と広島の選手だからね。



『浅生くんの好きな小園選手って、二番手の人だよね』

「そうそう、楽天の辰巳選手の前ね」

『今日も頑張って欲しいね』

「そうだね」



 やっぱり、絵美に比べると嘉くんのテンションは高くはない、というか嘉くん少し猫被ってるかも知れない。野球中継が始まると、テンションの高い絵美とは違って、嘉くんは冷静に試合の解説をしてくれている。遥くんが色んな豆知識を披露してくれるけれど、嘉くんが説明しているのは新鮮だ。



『あー!』

「これは、ちょっと、やばいね」



 絵美の悲鳴に私は、キッチンでお茶を淹れ直していた手を止めた。TVの向こうでは、相手チームが一点入れた形だ。流れ変わっちゃうかな。一度、流れが乱れちゃうとその後の展開がどんどん悪い方に流れる可能性もあるからね。絵美の悲痛な声と祈りとは対照的に、TVに食い入る様に見ている嘉くん。真剣な目でTV画面を凝視している。あまり、見ない一面を見た様な気がする。



 結局、早川投手は途中でマウンドを降りた。色々と波乱な場面が多く、一点差で勝利をおさめはしたが、本当に危なかった。すっかり、冷めてしまったお茶を一口飲んで、嘉くんが心配そうに眉を顰めた。



「辰巳選手、大丈夫だと良いね」

『痛そうだったものね』



 死球を受けて、倒れ込んでしまったのは、かなりの痛手だろう。何事もなく戻って来る事を期待したいね、そう言って絵美との通話は終わった。いつも野球の話が出来ないから少しでも、楽しかったら良いな。次のドミニカ戦も頑張って欲しい。




2024/11/19 活動報告掲載

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