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おっさんの徒然エッセイ

危険な筋トレについて

本文にも書いていますが、とんでもフォームに見えたり、一見間違ったフォームに見えても、目的を持って敢えてそうしている方もいますから、そうした方を批判するものではありません。


奴隷が見て、そうした前提を踏まえても危険なトレーニングをしている方への注意喚起です。





 コロナを経てトレーニングブームで増えたジム利用者も減っていたものの、最近は回復してきたなー、なんて思う奴隷です。



 さて、ジムでトレーニングにしていると、とんでもフォームをはじめ、間違ったフォームでトレーニングしている人をよく見ます。

 奴隷自身も、敢えて個別の筋肉にアプローチするために変則的なフォームでトレーニングすることもありますから、変わったフォームが全て間違いでは無いんですが、それを踏まえても、というか根本的に間違っていて、筋肉になんのトレーニング効果がないどころか、関節を痛めるだけのフォームの人がいたりするんですね。


 ということで、久々の奴隷乙劇場は間違いだらけの筋トレの危険性とその改善についてのお話です。



 1 重力方向が意識できていない


 重力方向というのはウェイト(重り)を持ち上げたさいに、どの方向に重力が働いているかということですね。

 フリーウェイトでダンベルなんかを持ち上げたさいは、当然にダンベルの真下、垂直方向に働いているんですが、ケーブルマシンなんかだと、ケーブルが引っ張られている方向に働いていることになるので、斜め上方向だったりすることもあります。


 重力方向を意識しなければいけない理由は、ウェイトをコントロールして重力に逆らうことでトレーニング効果が高まるからなんですね。

 例えば、ダンベルを持って腕を折り曲げて(カール動作)ダンベルを持ち上げた場合、重力に逆らい上に移動していますから、上腕の筋肉に負荷がかかります。

 対して、ダンベルを持ったまま、腕を左右に振っても、重力方向とは関係なく、ただ横にスライドさせているだけなので、重りを支えている、肩、肘、手首の関節に負荷がかかるものの、筋肉には特段影響は無いんです。

 また、サイドベントといって、片方の手にダンベルを持ち、体を横に倒して脇腹を鍛えるトレーニングがありますが、たまに両手にダンベルを持って交互にやっている方がいるんですが、これでは持ち上げる反対側のダンベルの重さで負荷が軽減されてしまいます。


 腕を上げたさいや降ろしたさいに重力方向と一直線に肩、肘などの関節が連なってしまう方がいますが、重力方向の線上に関節が入ると、筋肉から負荷が抜けて関節に負荷が乗って危険なんですね。

 ショルダープレスというばんざいするみたいにウェイトを上げる肩のトレーニングがありますが、肩の真上に上げてしまっている人がいて、まさしく、ウェイトの真下に関節が来てしまいますから、肝心の三角筋でなく、関節で重さを支えてしまい、肩の故障に繋がるので、持ち上げるさいは拳一つ分くらいは外に上げるようにしましょう。


 ケーブルマシンをはじめ、マシントレーニングする場合もウェイトがどの方向に引っ張られているかを考えて、しっかりと負荷を乗せられる角度、関節に乗らないフォームを意識しましょう。

 

 この他にも重力方向を意識していないトレーニングは沢山目撃しましたが、重力がどの方向に働いて、それに拮抗して筋肉に負荷を乗せるにはどうしなければいけないか。よく言われる、関節を伸ばしきってはダメというのも、実のところ、こうした理由だったりするんですが、重力に拮抗して筋肉に負荷を乗せるためには関節の寄与を下げる必要があるんですね。

 そして、それは関節の故障を防ぐことにも繋がるんです。



 2 フォームの意味を考えずトレーニングしてる


 キックバックというトレーニングがあります。

 二の腕(上腕三頭筋)を鍛えるトレーニングなんですが、このトレーニングでは上体を斜めに倒して上腕を背中側に引き、肘を曲げて、肘を約90°に曲げてから、ダンベルなどを後ろ側に振り上げるんです。

 この時、ダンベルを降ろしたさいは関節に入らないように真下まで降ろさず、肘より後ろのところで止めます。そして伸ばしきる寸前まで腕を上げて上腕三頭筋に負荷をかけていきます。


 さて、ジムでキックバックしている大学生くらいの男の子を見たんですが、ダンベルを肩口くらいまで上げて、振り下ろして、反動で後ろに上げてたんですね。

 これでは真下に降りる度に負荷が抜けてしまうし、振り下ろした反動で前後に上がるために、上腕二頭筋(力こぶ)にも三頭筋にもどちらにも効きません。

 むしろ、肘を中心に振り子運動してますから、肘への負担がかなり高く。肘を壊す可能性があります。

 流石に「それは危険だからやめた方がいい」と言いかけましたが、大きなお世話と自重しました。


 このように、トレーニングのフォームに沿っているように見えて、その実、そのトレーニングの意味を理解していないために、意味がないトレーニングや危険なトレーニングになっているものをジムではよく見かけます。


 ペックデックマシンという、ジムではよく見るマシンも、多くの方が巻き肩や猫背のまま扱っていて危険なトレーニングになっています。


 そもそも、腹筋のトレーニングを除けば、ウェイトトレーニングやマシントレーニングは背筋を伸ばし、肩甲骨を寄せて降ろした状態で行います。

 この姿勢をとることで、大胸筋や広背筋、僧帽筋に正しくアプローチできるんです。

 巻き肩や猫背でペックデックマシンを扱って大胸筋を鍛えようとすると、肩が入った状態でウェイトを押してしまうため、背筋と腕の力でウェイトを押してしまいます。

 反対にウェイトを戻すさい、腕で支えきれないと押した時と反対に背筋が上手く機能せずにウェイトに肩を引っ張られて肩関節を痛めたり、背筋を痛める可能性があります。

 ジムでこの状態でトレーニングしているおじさんがいて、あれは肩を壊すぞって思ってたんですね。

 そしたら、そのおじさんから話しかけてきまして。

 「見ているとずいぶんとトレーニング馴れしているようですが、教えてほしいことがあって、実は以前、トレーニングで肩を痛めて、何がいけないのか教えてください」

 なんて言われましてね。

 まぁ、専門のトレーナーに一度指導して貰ったほうがとは前置いて、トレーニング中の姿勢の悪さ、特にペックデックマシンが明らかに肩を痛めるフォームだったと話したら、驚いていましたね。


 マシントレーニングはマシンを扱うだけで誰でも簡単にトレーニング出来ますが、それでも間違った使い方をしている人は沢山います。

 そのマシンがなんのトレーニングを簡略化する目的で作られたか、元々のトレーニングがどんなもので、どういう動作で、それはどの関節と筋肉が関係しているか、ざっくりでいいので考えてからトレーニングすると効果が上がり、怪我のリスクを減らせると思います。


   

 3 筋意接続(muscle mind connection)ができていない


 これは上の二つに共通することになりますが、トレーニング中に筋肉を意識できていないと思える方がいるということですね。


 フォームが明らかに、そのトレーニングのメインターゲットに効かない、それどころか関節などに負荷がかかる状態というのは、ターゲットの筋肉がしっかりと動いているか、負荷がかかり効いているかを集中して感じとっていれば、自分でフォームが間違っていると気付くはずなんですね。

 あとは扱っている重量が極端に低い(体つきやトレーニングの挙上の感じで)または反対に重すぎる(これも体つきやフォームが極端なチーティングになってるなどから)方。インターバルが長すぎる方なんかも、自分の筋肉の限界を正しく判断できていないと思えるんですね。


 奴隷の場合。加齢で怪我のリスク管理のために重量は低くなり、反対にレップ数やセット数を増やし、インターバルは極端に短くして、一つの部位に5種目から6種目ほどのジャイアントセットで、最後の種目は低重量でひたすら高レップの100回挙上法(1セット100回をギリギリ挙げられる重量で連続100回上げる種目)でパンプを強くして筋肉を張らせています。

 たまに、限界重量までチャレンジして、神経の発達と維持のためのトレーニングもしていますが、基本的には軽めなんです。

 

 例えば胸のトレーニングなら。



 ハンマーカール 10キロ20回3セット

 ベンチプレスマシン 80キロ10回3セット

 ベンチプレスマシン 50キロ10回3セット

 ダンベルフライ 10キロ20回3セット

 ダンベルプレス 10キロ20回3セット

 ケーブルクロス 10キロ30回2セット

 ダンベルプレス 8キロ100回1セット

 

 これをショートインターバルで連続して行い30分くらいでこなします。

 これでもパンプや疲労が足りないと感じた時はメニューを足すか、扱う重量を上げて。

 反対に体調などで、キツイ時は減らしたりします。 

 40代の中級トレーニーで、骨格筋量75%、体脂肪率12%の奴隷としては、上に上げた内容で、やや少ないくらいですから、実際にはもう少しトレーニングボリュームを上げて筋肉の張り方などから都度メニューを足してやることが多いですね。

 インクライン、デクライン、を交互に行い、収縮種目、ストレッチ種目も交互に行います。

 筋肉のつき方と収縮の仕方から、満遍なく刺激を与えるためにはどうすればいいかを考えて行っているんですね。




 筋トレする人を脳筋なんて揶揄することがありますが、筋トレは頭を使って考えながら行う必要があります。

 まぁ、筋トレのことばかり考えているという意味では脳(内が)筋(トレの事ばかり)とは言えるかも知れませんが。

 少なくとも、何となく動画などでやり方を見て、うろ覚えでやって良いというものでは無いんですね。

 人間の体は千差万別です。

 骨格もそれぞれ異なりますし、筋肉のつき方も違います。柔軟性の違いで関節の可動域も違うんですね。

 動画の通りやっても怪我するだけで効果がないこともあるんです。

 アームカールという手にウェイトを持ち、腕を曲げるだけのトレーニングですら、手の角度の違いで上腕二頭筋の長頭、短頭、そして上腕筋、それぞれの寄与率が大きく変わりますし、上腕を体側の前に出すか後ろに引くかで、収縮とストレッチの割合が変わります。ここに重力方向の問題が絡むので、フリーウェイトでダンベルで行う場合と、ケーブルマシンで角度をつけて行う場合で効き方が変わるんですね。

 解剖学的な知識を全て網羅する必要はありませんが、YouTubeなどで、こうした筋肉の起始停止や、どの筋肉や関節、靭帯が関与しているかを詳しく解説している動画などを見ることをオススメしますし、パーソナルトレーニングを受けるさいは、こうした個人ごとの違いに合わせてメニューを組んでくれる方の指導を受けることができることが最善ですね。



 筋トレは適度に行うことは健康寿命をのばしますが、間違って行うと重大な怪我から後遺症に苦しむことや、場合によっては命に関わることもあります。



 筋トレ系の有名な日本人のYouTuberが先頃、自身の動画で過去の過剰な筋トレが原因で脊椎側弯症を発症したこと、そのために視神経が狭窄し、片目の視力低下を招いていること、医師から筋トレのドクターストップをされたことを告白していましたが、これは奴隷を始めとしたトレーニーにとっては他人事ではないんですね。

 彼はトレーニングを始めた頃、知識もなく、ただがむしゃらに無理なトレーニングをしていたと言っていました。


 何年か前に、中国で運動をろくにしたことの無かった女性二人が、思い立ってスクワットをして、二人で競い合うようにやった結果、やり過ぎてしまい、筋肉がたんぱく質に融解し、高たんぱく血症で病院に搬送された事件がありましたが、一歩間違えれば、この二人は死んでいました。


 トレーニングを行う時には、正しい知識を学んで適度に行うように心がけましょう。


 健康(筋肉)のためなら死ねるにならないように気を付けなければいけませんね。

 

 奴隷を含め。



皆さんが目撃したとんでもフォームトレーニングなんかを教えて頂けると嬉しいです。

あとはジムで出会った迷惑な人なんかも。


奴隷はジムで複数のマシンにタオルなどの私物をおいて取り置きして、サーキットトレーニングしているマナー違反のおじさんにびっくりしましたねー。

そのおじさんがパーソナルトレーニングのお客さんがトレーナーに指導を受けてマシントレーニングしてるところに、「何時までも話してて何時になったらマシンがあくんだ」とクレームいれてて、さらにびっくりしました。

流石に見かねたので「パーソナル指導中で多少長くなっても、規則の範囲内(約15分)でマシンを使っているから問題ないだろ。あんたは取り置きして、30分以上複数のマシンを専有していたりするが、ジムによっては出禁レベルの迷惑行為だぞ」と言ったら退散して行きました。

彼は頼まれてもいないのに女性トレーニーに勝手に指導したり、「俺は長年いろんなジムでトレーニングしてるんだ」と自慢気に言ったりと、ある意味、迷物な人物ですが。

まぁ、奴隷は基本的には直接、やり取りせずに迷惑な方の対処はジムの職員さんに任せるんですが、流石にねー。

ジムの方に「ありがとうございました」と言って貰えましたが、奴隷自身も気を付けなきゃなーと思いましたよ。



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[良い点] 筋トレは「やればやるほど効果が出る」とは言いますが きちんと頭を使って正しいトレーニングをしないと効果が薄かったり、かえって自滅を招いてしまいますね。 ポジティブなイメージの強い筋トレの怖…
[良い点] こんばんは! いつもお世話になっております。 私も同感です。 各エクササイズの意味も筋肉への効かせ方も理解せず、たーだ「フィーリング」でやっておられる方・・・ けっこういるんですよね…
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