目が覚めて
「あ゛〜〜〜…疲れた…」
そう言いながら自宅へと帰るのは小鳥遊梨華(二十六歳 社畜)
本日もサービス残業と共に終電ギリギリに帰ることとなりました
自宅へ着くとベッドへと倒れ込んだ彼女は『スーツのまま眠ろうかな』と一瞬考えたが、後々面倒だと考え直し、部屋着へと着替えた。食事を作るほどの気力は湧かず、近くのコンビニへ行くほどの体力も残っていない彼女は瞼を閉じたのだが、どうにも寝付けず、ホットミルクを作り、『どうせ動いたんだし』と思うとシャワーを軽く浴びてからもう一度ベッドへと入った
翌朝、連日の残業が響いたのだろうか、上司にグチグチと言われながら何とかとった久しぶりの有給にも関わらず、目を覚ましたのは昼過ぎであった
身体を起こすと空腹にみまわれた彼女はコーンスープとトーストを食べた後、ゲーム機を手に取ると、テレビに繋げて早速プレイした
しかし、プレイし始めてからおよそ1時間後に強い眠気に襲われた彼女は、そのまま瞼を閉じた
朝の日差しがカーテンの隙間から差し込み、 外からは小鳥の囀りが聞こえる。
私は部屋に誰かが入ってきた音で目を覚ます。
「お嬢様、起きて下さい。本日より国立魔法学園へ登校するのですよ。新学期の儀に遅刻をしてしまったらどうするのですか?」
誰だろうか?私はお嬢様では無いのに。っていうかそもそも私、一人暮らしだったよね!
そう思い、飛び起きると目の前には見知らぬ部屋、見知らぬ人が飛び込んできた。ベットから降り…ん?このベット、広くない?それにこの布団、何か明らかに高そうだし…
「ん!?」
ふと鏡を見ると社畜の様な手入れのされていないボサボサでパサパサの髪と目の下の隈は無く、カラスの濡れ羽色の黒髪黒目、雪のような肌に林檎のような赤い頬を持つ“美少女”が此方を見ていた
「待って待って待って待って!!!!!!」
「?どうされましたか、お嬢様…」
「へ?い、いいえ、なんでも無いわ」
少し考えを整理している間に着替え、食事、新学期の儀への準備(持ち物)の用意が終わり、あれよあれよと言う間に馬車に乗ることになった。そして、『国立魔法学園』へと馬車は向かう
(いや、待って!!私まだ状況整理出来てないんだけど!?)
朝起きて自分の現在の姿を見てからというもの、この身体の持ち主のこれまでの記憶が頭の中で流れてくる
(う〜ん…この子、どっかで見たことあるんだよな〜…)
う〜ん、う〜んと唸っていると段々思い出してきた
(はっ!!これって此方に来る前にやってたゲームの世界じゃね?しかも私が唯一やり込んだ乙女ゲーム『学園の魔法』の主人公のビジュアルじゃん!)
その後、夢かと思い頬をつねるも痛いだけなので、これは現実なのだとさとる
(あぁ、小鳥遊梨華、(恐らく)享年二十六歳、何故かやり込んでたゲームの世界に入り込んだ上、主人公になりました。お父さん、お母さん、これからどうすれば良いのでしょう。最後にお別れだけは言いたかったです…)
記憶を取り戻し、これからどうしようかと絶望していると攻略対象と悪役令嬢についても思い出してきた所で少し思った
(あれ?これって必ず攻略対象と一緒にならなきゃダメなの?別に良くね?……うん!良いよね!面倒くさいし!)
そう、この方、『どうせ乙女ゲームだし誰かのことを攻略しなきゃいけないよね。誰でも良いし順番に行こう!』という考え方でゲームをやり込んだ人物であり(やり込んだと言えるのかは置いとくが)、超が付くほど辛いこと以外はポジティブシンキングができるのである
(このゲーム、毎回悪役令嬢が悲惨な最期なのよね〜。美しくて気高い孤高の狼みたいで唯一の推しだったのに毎回毎回悲惨な最期だから救う方法が無いかやり込んでたわ…)
何とかして彼女を救う方法が無いかとあれこれ考えているうちに一つの可能性に至った
『これ、私が主人公なら攻略対象と付き合わずに彼女と付き合えば良いんじゃね』と…
いや、そこで『だったら攻略対象と付き合わなくてお終いにしろよ』と言うツッコミが聞こえた気がしたが、例えそうツッコまれても必ず付き合ってやる!という謎の真剣さがある元社畜(二十六)
(こうなったら私があの悪役令嬢を幸せにしてみせる!って言うか私が自分の幸せの為に彼女と付き合って見せる!)
地震が来ても揺るがない強い意志を持って伯爵令嬢、『クリュッセル・ナージャ』十六歳こと、『小鳥遊 梨華』二十六歳、『国立魔法学園』へ新たな一歩を踏み出しました
記念すべき第一話でございます。
さて、主人公はどうなるのか?
(オチはまだ考えてない見切り発車です)
ここまで読んで頂いた読者様には、どうか最後まで見守って下さることを願います。次回は出来上がり次第投稿します。
追記:すみません!主人公の家の爵位間違えました!
正しくは 公爵ではなく伯爵です。




