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お茶会という名の女子会にて2

前回まで暗めでしたが、今回から数話はも少しポップに行きたいと思います。

「そのご令嬢もクロフォード殿下とフェリスティア様のように仲睦まじいカップルとなれるといいですわね。私、例の裁判でロザリア様が証言なさった殿下のご様子を聞いて御二人の愛の深さに感動してしまいましたの!」


イリス様とコーネリア様に励まされ、涙を拭いて気持ちを落ち着けようと紅茶を一口含んだところで、イリス様がうっとりと話始めたのを聞き、思わず紅茶を吹き出してしまった。

そんなこちらの様子に気がつくこともなく、イリス様は妄想の世界に入り込んでマシンガントークを続ける。


「たまに学院や社交の場でお見かけする殿下は、いつも凛々しい雰囲気をまとってらっしゃるようにお見受けしていたから、まさか愛する女性に対してはあんなにも甘々、ふにゃふにゃな一面をお持ちだったなんて、ときめいてしまいますわ。こういったら不敬だと言われるかもしれませんし、殿方にこういう表現をすると嫌がられるかもしれませんが、思わず「なんてかわいらしい!」と思ってしまいました。ねぇ、フェリスティア様、決して他言は致しませんこと誓いますので、どうぞプロポーズの言葉をお聞かせくださいませ!そもそもプロポーズはどちらでされたんですか?ご公務とはいえ国の各地を回ってらっしゃるんですもの。雰囲気のいい場所は色々とご存知のはず。ねぇ、フェリスティア様!いかがですの!?」


すごい勢いで迫ってくるイリス様に思わずたじろいでしまう。

そうだ!コーネリア様に助けを!と思ってヘルプの視線を送ってみる。

しかし、彼女も涼しい顔で紅茶を飲みながら、目はしっかりと「お聞かせください!」と主張していた。

四面楚歌。

どうやらさっきとうってかわって、味方はいないらしい。


「プロポーズは王城のお庭でですが、言葉は…内緒にさせてください…」


変な汗をかきながら、やっとの思いで絞り出すように答えるが、お2人からはなんの反応もない。

やはりここはきちんとお答えするのが作法なのか?

だが、あの場面を思い出すだけでも赤面ものなのに、それを自分の口で語るなんて。


「…なんて、なんて…」

「あの…イリス様?」

「なんておかわいらしいのフェリスティア様!そうですわよね!そうですわよね!殿下からいただいた甘いプロポーズのお言葉、胸にしまって御二人だけの秘密にしておきたいですわよね!あぁでも教えてもらえないとなると、かえって想像がふくらんでしまいますわ!包み込むような優しいささやきなのかしら、それとも「俺が引っ張ってやる」的な強めな感じだったのかしら、ねぇコーネリア?どう思う?」

「そうねぇ、そのどちらかと言われれば前者、優しい雰囲気じゃないかしら。単刀直入というよりはどういう所に惹かれたのかとか、どういう点が好きなのかとか懇切丁寧に説明なさって最後に「結婚してください」みたいなプロポーズなんて殿下に合ってらっしゃる気がするわ」


コーネリア様、鋭すぎる。

まさか現場を見ていらっしゃったのですか?

私は口元がひきつるのを、もはや隠しきれなかった。


「コーネリア!それは名推理よ!その告白が目に浮かぶようだわ。王城の中のお庭も四季折々の花が咲き乱れ、湖なんかもあってとても美しいっていうものね。お城で働く人達以外は立ち入り禁止の場所もあるというし、きっと殿下や限られた方しか知らない素晴らしい場所もあるはずだわ。そんな中、優しい声色でフェリスティア様だけを見つめてご自身の愛の言葉を紡がれる…あぁ…まさに乙女の夢!もう想像しただけで鼻血がでそうですわ!!」


そういうイリス様はまるでご自身のプロポーズのお話であるがごとく興奮して身をよじっている。

コーネリア様は冷静な雰囲気ではあるが、ご自身の推理するプロポーズを1人ブツブツの呟き続けていた。


「あの、イリス様、コーネリア様…どうかもうその辺りで…」


一方私は顔から首まで確実に真っ赤に茹であがっていた。

このままでは本当に恥ずかしすぎて死んでしまう。


「あらフェリスティア様、このくらいで恥ずかしがっていらっしゃっては、あのお話はどうなさるおつもりですか?」

「えっ、あの話とは一体…」

「まさかご存知ありませんか?クロフォード王太子殿下とフェリスティア様の愛の絆に感動した国内大手の出版社が、御二人の婚約に至るまでの物語を本にまとめて、今度出版するんですのよ?」


聞いてません、知りません。

本人の知らないところで、なんという計画が進んでいるんですか??

とんでも情報をもたらしたコーネリア様は小首を掲げて不思議そうにしている。


「もしや、この出版社と著名な吟遊詩人であるアデル・クリストフが契約をして、出版に先駆けて、宣伝も兼ねてこの物語を国内各地で語り歩いていることもご存知ない?」


聞いてません。知りません。(2回目)

というかクロフォード様はこのことをご存知なのでしょうか?

このお茶会が終わったらすぐにお聞きして出版と流布を止めていただかなくては…。


「コーネリアも私も、すでに4冊予約いたしましたの」

「そんな同じ本を4冊も…」

「いえ、正確には初回限定版と通常版各2冊、読み込み用と保管用ですわ」

「初回限定版…一体なにが通常のものと違うんですか?」

「初回限定版は今回出版にあたって編集を監修したシェリル妃殿下の解説本が同封されているんですのよ!妃殿下はこういった恋愛模様について見識の深い方ですから今から読むのが楽しみなんですの!」


シェリル様…。

私はこの本の出版を止めるなどということが、不可能であることを悟った。

いい笑顔で「「ねー!」と互いを見つめ合うイリス様とコーネリア様を前に、私は口から魂が抜けかかっていた。


いつもお読みいただきありがとうございます!

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