精霊のお告げ2
ベルを鳴らし、扉を開けてもらうとそこにはクロフォード王太子様と、ルーベン神官長がお待ちだった。
子どものような声が頭の中で聞こえ、話ができたこと、新月の夜が明けたら雨が降ると言われたことを話すと、クロフォード様はお礼を言いながら私の手を握りしめて痛いくらいにブンブン振っているし、ルーベン神官長は自分と同じような服を来た人に忙しそうになにか指示を出している。
あまりの展開の速さに、またもや私の頭は置いてきぼり状態だ。
さらに追い討ちをかけるように、王太子殿下の後ろから、黒髪をきっちりとオールバックにし、銀縁の眼鏡を掛けたやや厳しい表情の男性が現れた。
「フェリスティア嬢、紹介します。王室の執事をしてもらっている、グレイソンです」
「ご紹介いただき恐縮です、殿下。初めてお目にかかります、フェリスティア様。王室で執事を勤めております、グレイソン・アルフォードと申します。グレイソンとお呼びください」
「はっ初めまして!よっよろしくお願いします!」
洗練された所作で私に頭を下げるグレイソンさんに、私はオタオタすることしかできない。
クロフォード殿下はと言えば、そんな私をなんだかいい笑顔で見ていて、居たたまれない。
「クロフォード様、国王様がぜひ、フェリスティア様にお目にかかりたいと」
「わかった、私も一緒に参上して報告しよう…フェリスティア嬢?大丈夫ですか?」
あまりの急展開に、頭は完全にショートした。
死んで、新しい世界に転生したと思ったら、王太子様に出会って、城に来て精霊と話して、国王様に会うって一体どんな展開…。
恐らくクロフォード様の目に写る私は、完全な石と化しているに違いない。
「急な話で申し訳ない、フェリスティア嬢。ですが、私もご一緒しますし、準備はグレイソンに任せれば大丈夫ですからご安心ください」
「フェリスティア様、ご用意のために侍女を付けさせていただきます。お部屋をご用意しておりますので、どうぞこちらへ」
グレイソンさんに慣れた様子で案内される。
どうやらまたも、私に拒否権はないようだ…。
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