第64話「違和感と和解への第一歩」
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◇
あの騒動から数日、私はES276の服用を控えていた。少し不安では有ったが第二が一応は協力すると言う事で話が付いたからだ。同時に本来人格の第一への負荷も減るとの事、しかし分からない。
第三の外装である私のためにどんな過負荷にも耐えるようにしていたはずの主人格を気遣う必要が有るのだろうか?そんな事を考えていたら勝手に自我変更が起きてた。
「だぁから、オメーは常識が有るようで無いんだよ……取り合えず登校すっからな? 今日は俺で良いんだよな?」
中で第三外装が問題無いが周りに気を使うようにとだけ言って消えるのを確認すると俺はメガネを取った。
「やっぱこれだよなぁ……メガネとかいらねえんだよ。かったりぃ……んじゃ飯食って学校行きますか!!」
俺は下に降りると朝食の用意がしてるのを見て眉間に皺をよせていた。理解出来ねえ現象が目の前に展開されていたからだ。
「ああん? なんでパンなんだよ? 米じゃねえのか?」
「え? 信矢、あなた何を言ってるの? 高校に入ってから朝は軽くパンでって……それにその言葉遣いは何?」
「ちっ、うっせぇな……米じゃねえと朝から鍛錬しても力入らねえじゃねえか……つっかえねぇな……」
「あ、あんた、その言葉遣いまさか……またグレたの? 母さんの何が悪かったの!? ねえ!?」
目の前の母親がいきなり情緒不安定になりやがった。これが今の俺なんだって……ま、三年前と同じ状態になったらこうなるか……でも取り繕う事なんて一々してられねえからな。仕方ねえからパンをモソモソ食べる。
「ああ、母さん。昼は狭霧のを食うからいらねえからな?」
「それは知ってるわよ……ここ最近はずっとでしょ。良かった。狭霧ちゃんの事は取り合えず大丈夫なのね……母さん安心したわ……」
「へっ、そうかよ……んじゃ、行って来るわ……えっと生徒会が一応有るから帰りは遅くなるかも知れねえ。ま、気が向いたら連絡すっから」
そう言うと俺は家を出た。不安顔の母さんを置いて、やっぱり外面が良い方がいいのかね……俺は俺なんだがよ。
◇
「えっと、今は……どっちの信矢?」
「俺の方だ。お前、分かって言ってんだろ? ほれ行くぞ」
「うん。メガネ取ってるし、でも朝からこっちの信矢は初めてだよね……大丈夫?」
何が大丈夫なのか分からないが問題は無い。さっさと登校する中で横の狭霧が俺と適切な距離を取ろうと四苦八苦している。意外と考えて行動してるみたいで俺としては、やっと理解したと感慨深く思う。あの中学の時のビンタから少しは変わったと思いたいが……。
「ね? 信矢? 今日はどうするの? 秋津さんのとこに顔を出すの? それとも生徒会なの?」
「取り合えずアニキんとこに顔出したいけど……やっぱ生徒会だ。午後にはメガネに代わる予定。それと狭霧、メガネが気にしてたけど足は大丈夫なのか?」
「え? あぁ……ちょっと練習のやり過ぎなだけだから、もうすぐ大会だし怪我なんてしてられないから大丈夫だよっ!! もしかして心配してくれた?」
「うっせ……行くぞ!!」
俺が少し大股で歩くと慌てて狭霧も後ろから付いて来る。さり気無く狭霧の足を確認するが足に本当に異常は無さそうだった。なんだメガネの奴の杞憂だな。確かにコイツはアホだから自分の体を考えないで練習とかしそうだが、あの顧問や周りが気付かないわけないな。
◇
「これとこれは処理出来るな……これは俺が、なしつけにいくわ。吉川!!」
「は、はいっ!!」
「この紙の内容でバレー部がグダグダ言って来たら俺が話に行くって言っておけ、会長。少し文化系の部活の奴らがチョーシこいてるみたいだから出るわ」
「あ、あぁ……頼むよ」
俺はそう言って他の生徒会役員に言うと放課後に生徒会室から出る。まずは科学部から、そのまま料理部、その後は同好会関連か……そう考えて肩をポキポキ鳴らして俺は行く。やると言ったからにはやるさ。
「そもそも何で俺が生徒会の仕事してんだよ……あの野郎、午後から出るとか言ってたのになんで出て来ねえんだよ……出て来ないんなら俺なりのやり方で解決すっか」
その日から俺の巡回は恐怖の巡回と呼ばれるようになった。まるで暴力会計が戻ってきたようだと上級生は恐れおののき、同級・下級生は最強の副会長が見回りに来るから怖いと、今までも冷たい印象だったが理不尽では無かったと言われメガネの無い日は恐ろしいなどと言われるようになった。やはり俺には向いてないと思って身周りに託けて目立たない校舎裏とかでサボろうと来た時だった。
「あ? 何してんだおまえら?」
「アァン? 誰だ……あっ、あんたは……」
「まさかっ!? 副会長? メガネしてねえから分からなかったぜ」
「お、俺らあれから何もしてねえぞ!! 本当に!!」
そいつらが最初、何を言っているのかが全く分からなかった。だがそこで外装の奴の記憶を思い出していくと、狭霧と再会した日に分からせた三人組か。
「てめえら何してんだ? まさかヤニでも吸ってたか? 体悪くするだけだぞ?」
「や、ヤニ? って何ですか副会長?」
「いや、ヤニはヤニだろ……あ? あぁ、タバコだよ」
「お、俺達そんなもん吸った事なんて……」
そうだった。ここは一応かな~り有名な進学校でコイツらは部活ドロップアウトな奴らだったはず。しかもメインかつあげでそこまで悪人じゃない小悪党。でも不良を名乗ってるのにタバコ吸わないのかコイツら。
「な、なんか副会長さぁ……雰囲気違くね?」
「そうか? ま、あれだなイメチェンってやつだ。それよりお前らに聞きてぇ事があんだが良いか?」
「なんだよ。ひっ!! なんでしょうか!?」
どうせコイツらの事だから屯ってる場所はここだけじゃねえはずだからな他のポイントも教えてもらう事にする。
「でもよ。他の奴らも居るからそんな事は……」
「弱い者イジメや、かつあげ以外の多少の事は目をつぶってやるからよ? 情報吐きな。今後もイタズラ程度なら見逃してやる? どうよ?」
だが世の中にはリスクだけじゃダメだ。リターンも重要だ。そしてこう言うアウトロー気取ってる奴とか、チンピラもどきは餌に弱い。ガチもんの奴らは違うだろうけど、この程度の学院内でイキってる奴はこう言うのが効くもんだ。
「マジ? 副会長? じゃ、じゃあさ学校にエロ本とDVD持ち込んでいいか?」
「ああ、それと鑑賞会は俺も混ぜろよ?」
俺の内側で第一、あの弱虫が『さぁーちゃん以外の裸なんてダメだよ』とかトチ狂った事を言ってるが無視だ無視、狭霧は乳はデカイしキレイだけど、エロくねえからな、俺は色っぽいのが良いんだよ。今度DL販売でそう言うの買うか。
「じゃあ他にも空き教室とかのたまり場とかでコッソリ色々と」
「ああ、それと校内でセックスとか勘弁しろ? ガチで、もみ消すのメンドイからよ。ガキでも作られた日にゃ学院内で大騒ぎだからよ」
「わ、分かってるぜ!! それに俺、彼女とか居ねえし……」
「分かった。他の奴らにもある程度は話して良いか? 今の話ってよ」
中々に話の分かる奴が居るな、最初に黙らせた奴か。そう、これで良い不良には不良のネットワークが有る。あいつらに旨味をやりながら俺も必要なもんを手に入れる。これがウィンウィンの関係だ。
「分かったぜ副会長!! こっちだ!!」
「ああ、それと俺の事は信矢で良いぜ?」
「お、おう、信矢……さん?」
「呼び捨てで構わねえ、えっ~と……お前ら名前は?」
そしてそれぞれ大地、亮、太士と名乗った。覚えずれえな……ま、良いか。その内覚えればそれでいいだろ。俺はこの三人組の案内で学内の色々なスポットを確認して行った。覗き見ポイントに教師共のヤニポイント、告白スポットに色々と放課後を有意義に使って行く。
「うし、お前ら……よくやった。また聞く事が有るかも知れねえから頼むぜ?」
「はっ、はいぃ……」
「分かったよ……それよりもさっきの条件」
「もちろん分かってる。それとよ、俺がメガネかけてる時は話しかけんなよ。たぶん問答無用で捕まえようとすっからな?」
それだけ言って三人組を解放して俺は生徒会室に戻り、報告だけして俺は校門を出た。そろそろ起きても良いのにメガネの野郎はまだ起きねえ。どうすっかと思って歩いていたら後ろから声をかけられる。
「そこの不良っぽい生徒~!! 待って~!!」
「んだよ、狭霧か。もうそんな時間か……って、誰が不良だ!!」
「ほんとはもっと早く声かけようとしたのに、ガラの悪い人たちと一緒に居たからさ……待ってた」
待ってた?昔のままのコイツなら空気読まずに突っ込んで来ただろうにな、少しは成長もしてるってか?ま、良いか。仕方ねえ中身《第一》がウルサイから家まで送る。何かさっきから気配も三つくらい見てるしな……お嬢のとこの監視の奴らか?だが、お嬢はドローンの監視と言ってたが、敵なら良いか俺が守れば良いだけだ。
「そうかよ。じゃ帰るぞ!!」
「うんっ!!」
◇
「まだ、俺のまま? オイ、メガネ!! 流石に二日連続はマズいんじゃねえの? 代われよ……ったく出て来ねえな、わ~ったよ俺が行く!!」
翌朝も俺は俺のままだった。下に降りて親父と母さんが俺を見る。母さんは不安そうにしてるし親父は黙って味噌汁を飲んでいた。今日も朝が早いようだった。昨日は俺が起きた時にはもう居なかったからな。そして親父が立ち上がるのと入れ違いに席に着いた。
「おはよ……おっ!! 今日は米じゃねえか!! よっしゃ!!」
「信矢、お前……まさか、変わった……のか?」
「ああん? 何の話だ?」
なんだ親父の奴、ずいぶんと抽象的な事言ってやがるぜ……それとも俺の事に気付いてるのか?今までメガネにもそんな素振り見せて無かったんだがな?
「いや、そうだな……今夜、話せるか?」
「あぁ……たぶん行けると思う。メガネかけてたら諦めてくれ」
「そ、そうか……分かった」
そのまま親父が出社して行くのを見て俺は久しぶりに米を食った。やっぱ日本人なら納豆ご飯だよな関西人は嫌いらしいけど、ここ空見澤は関東、それも東京のベッドタウンだからな。納豆も食べるし、もんじゃ焼き屋も有る。そんな事を考えて俺は今日も学院へと向かう。
途中で狭霧と合流して学院へと向かう。狭霧はあくまで適切な距離感を持ってきて行動している。ま、及第点だな。
「ね? 信矢、今日も……お昼、なんだけどさ、今日はこっちに来ない?」
「ああ、てか良いのか? 俺はどっちでも良いけどな?」
「う、うん。それと……えっと……」
こっちに合わせるために会話をしようと必死か、メガネや甘ちゃんと違って俺は甘やかさなかったからな、ま、努力は認めてやるか……。
「お前の弁当……無いと俺の昼無しだから、気にすんなよ。実際は、そのよ……俺も助かってるからな」
「え……うんっ!!」
なお昼休みはそれで調子に乗った狭霧に「今日は梨だよ」と言われてフォークに刺した梨をシャクシャク食べさせられていた。この口調で食わされていたら、いつものバスケ部二人にはニヤニヤしながら見られていた。
「今日は反抗期モードかぁ……狭霧良いの? 彼氏グレてるけどぉ?」
「俺様ワイルド系副会長……てかまるで二重人格みたいだね~?」
割と真実な事を言われて焦ったり狭霧が咽たりして色々大変だった。クラスメイトにはメガネ付けてる時と違うとか、メガネじゃない時はヤバい奴と認定されていて男子以外話しかけてくる事は無くなっていた。面白がって澤倉がイジってくるくらいだが、それはそれで悪くねえ気分だった。
◇
放課後は生徒会活動と称して不良モドキと絡んだり、文化部棟を指導したりして一通り校内の巡回を終わらせると今日はアニキの店の準備を手伝いに行く、七海お嬢に許可を取ってあるので生徒会活動を早めに終わらせ俺は駅前に行く。途中でレオさんに声をかけられ二人でアニキのとこに顔を出すとアニキと愛莉姉さんが待っていた。
「お、来たかシンそれにレオ、竜の野郎はバイト以外にも別件が有るらしいから今日は無理だったんだがよ」
「そうなんすか、そう言えば今レオさんて何してるんすか? ホストっすか?」
「あのねぇ、シン君……僕がこの恰好は一応派手なんだけどホストの着ているスーツとは違うんだけどなぁ……」
一応今は接客業をしているらしい。どんな接客業かは聞けなかったが本人曰く『中卒で雇ってもらえる程度のレベルの低いとこさ』と、言うけど『Vermillon Ailes』のマスターの紹介だから真っ当なとこらしい。
「それじゃあ、シン坊はグラスの確認をしておいて、レオはアルコール類をお願いね。あ、飲んじゃダメよ~? 売り物だから」
「飲まないですよ。僕も意外と酒弱いんで明日まで残るとマズいんですよ。それに真莉愛にも未成年の間はヤメロって言われてますから」
「そう言えば昔、地下室で俺とサブさん以外は飲んでましたよね? あれ踏み込まれたりしたら完全アウトでしたよね?」
そんな事を言いながらバー『SHINING』の開店準備は順調に進んで行った。殴り合いのあったあの日から急ピッチで内装工事は終わっていて今は納品されたグラスやらを整理している最中だ。アニキはバーテンダーっぽい服を着ているし、愛莉姉さんの方は……。
「何で愛莉姉さんはラーメン屋の恰好のままなんすか?」
「だって私は勇輝の実家でバイト終わって直接ここ来たからね。あと昼の喫茶店てか、定食屋でもラーメン出すからね。一応」
「そうなんすか……了解っす」
そんな話をしながら今日も開店準備が終わった。開店は六月から、らしいのでまだ二週間弱は有る。そんな感じで今日も軽く終わらせてアニキ達と軽く話して帰ろうとしていたら店の外を掃除していた愛莉姉さんが戻って来た。
「外で待ってたから捕まえて来たよ狭霧ちゃん」
「ご、ごめん。信矢……そのアプリで連絡したけど返事無かったから……その」
そう言ってスマホを見ると狭霧とそして母さんから通知が来ていた。まずは狭霧の方を見ると普通に『今どこに居るの?』で母さんからは『狭霧ちゃんと一緒に家に来るように』となっていた。
「母さんが? 狭霧んとこにも来たのか?」
「うん。だから信矢と一緒にと思って……」
「おう、何か用事あんならここは大丈夫だぞシン!!」
アニキの言葉に頷くと俺と狭霧は店を後にして俺の家に行く事に帰る事になった。狭霧は緊張しているようで気になって聞いてみた。
「お前、俺が入院してる時に家行ったんだろ? 嫌に緊張してっけど久しぶりってわけじゃねえんだろ?」
「そうなんだけどさ、シン……矢と二人で、この道を帰るの久しぶりだし、二人で信矢の家行くのも四年振りくらいだから緊張しちゃって」
「そうかよ。俺は親から何か話有るらしいけどよ。お前は気に入られてるから問題ねえだろ、アニキの件では通報したお前に感謝してたしな」
「うっ……それは――――「アニキが許したって言った以上俺は……もう何も言わねえよ。複雑だがな……だけどアニキ達に関してはこの間ので手打ちだ」
そんな事を話していたら家だった。俺たちが帰ると母さんは俺達が二人で居るのにかなり感動しているようで目が潤んでる。ったく、年取って涙脆くなったのかね。とか思っていると玄関には既に親父の革靴があった。
「お? 親父もう帰ってんのか?」
「ええ、今日は話が有るって言ったでしょ?」
「あのぉ、シンママじゃなくて……お義母さま、私は居ても良いんですか?」
「ええ、狭霧ちゃんにはぜひ聞いてもらいたいのよ……」
◇
「え? 俺が多重人格なの知ってたのかよ!?」
「ああ、千堂さんの執事の佐伯さんと言う方に説明を受けたんだよ。お前が中学三年の時にな」
親父は俺と狭霧が席に着くと夕食の前に話が有ると言って数分の沈黙の後に、いきなり衝撃的な事を言った。
「ま、よく考えたらそうか……三ヶ月近く俺は、あの二人のラボに監禁状態だったんだからな……二人に相談はするか」
「え? 三ヵ月も捕まってたの?」
「ああ、正確には中三の二学期の間中だな……俺はラボで朝から晩まで研究対象だったぜ……俺と中身……お前が言う本物の信矢の入れ替わりの条件を徹底的に研究されてな、その話はこの間アニキんとこで話しただろ?」
そこで思い出したのか狭霧がハッとしてこっちを見る。その後も親父が話すには詳しい話は聞かせてもらっておらず、俺が冬休みに帰って来た時には一切の感情は無くなってまるで能面のような状態で、受験先は涼月総合学院に入学すると言う事だけを言われて会話は全く無く、第三外装と会話をし出すようになったのは高一の夏休み頃だったと言う。確かに奴はそのくらいに完成したはずだから時期は合ってる。俺が完全に封印された時だからな。
「ああ、第三の……メガネかけてる状態のあいつが完成したのが夏休み前だからな」
「信矢、第三と言うのは、いつもメガネで居るお前なのか?」
「ああ、アイツだ。矯正された完璧な人格で中身、つまり第一の理想形なんだよ。あの状態はな……」
あのメガネは確かに完璧だ感情のコントロールや全ての状況判断がまるで機械のような正確さ、扱いやすさも含めてあの二人が色々弄ったんだろうな、便利な人格として、んで一番のはねっ返りが俺だったわけだ。
「第一、俺らの主人格の引きこもり野郎がストレスで生み出したのが、この俺だ」
「ね、ねえ、信矢……ストレスって言うのは私たちが原因だったの?」
母さんとそして親父が俺を見て不安そうにしている。ああそうだ、お前らが俺を、生み出し、そして第一の中身へのストレスの原因の一つだった。
「まあ、そうなるな。主要な原因とトドメは狭霧だったがな。狭霧がアニキに通報してキレた俺が生まれたからな」
「うん……そうだね。あの夜に、あんたは……信矢は生まれたんだね……」
そう考えるとコイツが俺の生みの親か……なんか考えると色々と複雑だな。
「信矢……今のお前はどうしたい? 俺たちを……恨んで……るのか?」
「恨むって言うか……うぜえとは思ったな。信用はされねえ、俺の行動は認めねえ、最後は干渉して俺が舎弟になったアニキ達と引き剥がそうとする。そらキレるわ」
「どうすれば良いか分からなかったよ。イジメの後からあなたが心配で……狭霧ちゃんですら拒絶して、それで不良と付き合いなんて……」
ま、正論だろうな。だけどその正論で救えない人間が居て、それが第一のアイツだった。俺もそうだがアニキ達と居た時は楽しかったし、大事な人も物も増えたし俺も成長できた……と思えたんだ。改めて俺は目の前の三人と向き合う必要が有るのかも知れねえ、他ならぬ俺自身が……。
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この作品はカクヨムで先行して投稿しています。(未公開の話もカクヨムで公開しています)
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