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スキル開花

はじめまして。

少しでもおもしろいなと思ってもらえたら登録してください!

 ここは、モンスターが日常的に闊歩する世界、「フェンジー」。

その世界で田舎の村「ハクラン村」に生まれた男の名は、ハルト。親は農家で、彼もまた、農家を継ぐことを覚悟していた。


彼は小さいころから家業の農業に従事していた。

 「おはよう!ハル!!」

朝から元気に元気にこちらへ向かって走ってくるのは村の近くに住む幼馴染のメイリィである。

 「おはよう、メイ!いい天気だね!今日はどうしたんだい?」

「家で穫れた野菜を持ってきたんだ!ハルの家のミルクも一緒にもらいに来たんだよ!」

彼女の家は歩いて15分ぐらいの距離ではあるが頻繁に訪れてくる。


15歳とは思えぬほどにスタイルの整った体で胸も大きい。ん?まてよ。

「メイ、またおっぱい大きくなったんじゃないか?」

「っっ!!ハルの変態!!変なとこばっかり見てるんだから!!」

純朴な村娘であるメイリィは村一番の整った顔立ちをしており、物腰も柔らかく、村の若者みんなのあこがれの的である。その彼女が顔を真っ赤にしながら話題となった部分を手で必死に隠そうとする姿もまた、眼福である。このように日ごろから仲睦まじく、過ごしていった。


それから、ハルトが16歳の成人の議を終えて数か月たったある日、それは起こった。


――買い物をするために行っていた街から村へ戻ってきたハルトは村の喧騒に妙な違和感を感じた。


その時だった。

 「凶狼だ!みんな早く逃げてくれぇぇ!うわぁぁぁ!」

グシャっと鈍い音をたてながら、今まさに崩れ落ちそうとしている村の衛兵が走りながら絶命した。


「どうしてこんなとこに凶狼が!?」

ハルトは叫んだ。

 凶狼は危険度:Aランクのモンスターであり、山奥などの人が足を踏み入れないような危険なエリアを縄張りにしている。

 

 

考えるよりも先に足が動き、村の奥のほうへとかけていった

ハルトの家は村の端のほうでこの時間は両親ともに、畑仕事に従事しているはずであった。


 村の入り口から20分ほどの距離にある自宅を一心不乱に向かった。わずか5分ほどで着いた道のりは、目的地にたどり着くまでの濃厚な逡巡によって途方もないく長い距離に思えた。


ようやく自宅の前にある畑まで辿り着いた。

「!?」


そこには、いるはずの両親の姿は見当たらず、ただ血の海が広がっているのであった。

近くに寄っていくと、かつて自分を育ててくれた両親の姿と思わしき肉塊が転がっていた。


「――――っっっっっ!!うあぁ、あああぁぁぁあああ!」

その場にひざから崩れ去った。ただひたすらに受け入れられない現実と悲哀、そして心の奥底から湧き上がってくる際限ない怒りの感情に包まれた。


その時、頭の奥のほう、−脳よりずっと奥、思考の根源のような所−から囁かれた。

「−反逆スキルを獲得しました。感情の大きな変化に応じて、全能力が大幅に上昇します。」

その無機的で、事務的な声は最低限度の情報だけを残して、止まった。


ハルトは怒りに燃え、その囁きに割くだけの思考力が残っていなかった。

「−憤怒スキルを獲得しました。激しい怒りに応じて、攻撃力が超上昇します。」


いままで、畑の仕事しかしておらず、街に出て行った友人達にも負けるほど、貧弱だった彼は剣を持ったことは愚か、鍬を振り回す程度しかしてこなかったのだ。

そんな彼は両親が先ほどまで使用していたであろう鍬を手に取って、その場から立ち上がり、この現実を引き起こした。当人を探した。

しかし、その手間は一秒たりともかからなかった。

「みつけた。」

目の前には凶狼がいた。さっきよりも一回り大きな体躯のモノだった。

凶狼自らかみ砕いた血肉の海は、人を誘うための罠であったのだ。


「許さねぇ。てめぇがしたことは絶対に許さねぇ。」

 目の前の、親の仇を目前にして彼の怒りは最大限に高まった。その憎悪のあまり、唇をぎゅっと噛みすぎてしまったハルトの唇から漏れ出す鮮血は、目から流れる涙と相まって怒りが具現化したような、そんな血がしたたり落ちていった。


「ワオオオォォォォ――ン???」

凶狼の咆哮がこだました。本来、このモンスター程の咆哮になると衝撃波が生まれ、常人では耐えられないまま、絶命する恐れがある。


しかし、ハルトは「反逆スキル」によって強化された守備力と俊敏力によりその衝撃波の余波がかからない位置まで退避していた。


その前哨戦ともいえる、強力な牽制を追撃のチャンスと認識できた。ハルトには実戦経験はないがどのように動き、最適に生き物の命を奪えばいいのかが手に取るように分かった。

地上から大きく跳躍し、凶狼の体高を超えるほどの位置から一気に鍬を振り下ろし、首元めがけて一直線に攻撃した。


その攻撃にいち早く、生物の勘が働いた凶狼は間一髪で急所を外した。

しかし、その代償は大きく、自慢の大きな耳を根こそぎ奪い取られた。

「−−−――クゥ」

かろうじて致命傷を逃れた凶狼は唸り声をあげながら、その場から後ずさりし、踵を返す様相を見せた。


しかし、その隙を見逃すはずもなかった。跳躍から降りた直後に凶狼が見せた隙にすかさず反応し、凶狼の強靭な後ろ足の隙間を抜けて凶狼の下に潜り込んだ。

「死んで償え。」

先ほどの一撃で持ち手部分しか残らなかった鍬の柄部分で喉仏めがけて一撃を与えた。凶狼の大動脈がぶち切れて、大量の血飛沫が上がった。その返り血を浴びたハルトはまるで本当の鬼のような姿に見えた。


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