表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

05 手帳の中の秘密


ハウが部屋から出るのを見届けると早速、貰った手帳を開く。

この世界の言葉を生まれてから使っていたために今まで日本語に触れてこなかったのもあって書けるか分からない。

試し書きとして自分の事についても初めのページに書いてみよう。


「ええっと…まずは自分のゲームでの姿だよね」




『MAGIC☆LOVER』について覚えていること


名前:ラブラ・ドル・ライト

ライト侯爵家第三子で末っ子。魔力属性は水。

ゲーム開始時点では甘やかされて育ったためか貴族意識が高く、平民であるヒロインが気に食わず事あるごとに冷たく当たっていたが、ラブラが誘拐事件に遭った際にそばで目撃していたヒロインが体を張って助けてくれたことにより未遂で助け出される。

ラブラはヒロインへの態度を改め謝り、ヒロインは許す上に友達になって欲しいとまで言ってくれる。

以降はヒロインを友人としてヒロインを校内カーストから庇護し、悩むヒロインの相談に乗るなど非常に仲が良くなる。

婚約者が居たかどうかは不明、そういったイベントも一切本編では見られなかった。

経緯は不明だがジェードとも友人関係だった事が彼のルートで語られている以外は彼女の攻略対象達との間の関係は明かされていない。

それどころかラブラはエンド目前の辺りには殆ど現れず、その後の彼女は謎に包まれている。



うーん……我ながら自身の未来図がないのは少し怖いが悪役令嬢の様に破滅しないだけ良しとしよう。




【攻略対象達のゲームでの姿】


名前:ラトナ・コランダム

ユヴェーレン王国第二王子で火の使い手。

サファの双子の兄として生まれ弟とは彼の弱い立場を守るべく常にセットで行動している。

火の魔力保持者なので有力な次期王位継承者候補の一人として持て(はや)す周りに応える様に育ってきた為か少々尊大な態度が目立つが悪気はなく自分の認めたもの、懐に入れたものは非常に大切にする傾向がある。

過去に大好きだった乳母がいたが、ラトナの魔法が発現した際に魔法が当たってしまい怪我により辞めてしまう。

乳母の最後に見た表情が恐怖だった故に幼いラトナには自分の力を見て恐怖から拒絶されて居なくなってしまったと思っている。

以来ラトナは献身的とも言える程ずっと一緒にいるサファに依存しがちになってしまう。

ゲームシナリオでは魔力を使う事への恐怖と人からの拒絶、この場合は乳母ときちんと話して彼の誤解を解く事。サファへの依存を克服する事、サファの過剰な心配を解いて信頼してもらう事でハッピーエンドとなる。ノーマルエンドはサファからの依存を解消できなかった───信頼を得られなかった事でサファが何かと邪魔してくるエンド。

バッドエンドは乳母の一件で事件が起こり、ヒロインと乳母を人質に立てこもる犯人を炙り出すべく致し方なく魔法を使い、立てこもる乳母の家を燃やすが犯人は逃亡、置いてかれた二人を助けるべく魔法で炎上する家の中へ探しに行く。

なんとか二人を助け出すがヒロインは乳母を庇い続けていた為に体に大火傷を負う。

幼少のトラウマが悪化し、罪悪感と離れていかれる恐怖からヒロインに酷く執着してしまう。

自分の元から離れて居なくなるという不安からヒロインを監禁、城からも離れて人が近寄らない森に家を建てヒロインと共に暮らし続けるエンド。


双子王子のルートは完全に二人の世界が出来上がった状態で始まるから、アウェイ感が凄いんだよなぁ……。

特にラトナ様はあまり話していないのもあるけれど印象に違いはないと思う。



名前:サファ・コランダム

ユヴェーレン王国第三王子でラトナの双子の弟。火属性の王家には珍しい、水の使い手。

ラトナの前述でサファに依存していると書いたが依存の度合いが強いのはラトナよりもサファの方で、一人になって自分の批評を聞くのが怖くてラトナと共にいれば責められないと依存している。

こういった思考になる起因はサファだけが兄弟の中でも水の魔力である事で、コランダム王家の本来の魔力属性は火の魔力が大元な為、自分は正当な王家の血を引いていないと影で言われてきた事である。

過去に王家の人間が強い水の魔力を持つ者と結婚していた事があった為に水の魔力も王家に現れるようになり、代々少数ではあるが水の魔力保持者が生まれるようになっていた。

しかし、王族の中では火の魔力持ちを贔屓する為にサファの立場はラトナと比べて弱かった。

火の魔力を贔屓しているとはいえ現国王であるアルミナは水の使い手。

サファはどちらかと言えば父親譲りの見目と魔力の為、派閥闘争に嫌でも巻き込まれるので更にラトナに依存する。

決定権はラトナに委ねているが必要となれば手網を取り、ラトナの保護者的な雰囲気を醸し出しているもののラトナが自分から離れる要因を彼の知り得ないところで潰していっている。

ゲームシナリオでヒロインに近づくのもラトナが彼女に興味を持って自分から離れていくのを避けるためであり最初はヒロインに対して何の興味もなく、むしろ邪魔だとすら思っている。

しかし関わっていく中でラトナでさえ分かり得ないと閉ざしていた心がヒロインの無償の優しさによって絆されていく。

次第にラトナにさえ取られたくないほど好ましく想う様になり、執着の対象がヒロインに移っていく。

しかしヒロインに執着すること自体を根本的に指摘されそういう風にしか生きてこなかったためにどうしたらいいものかと空回り。

何者かにそそのかされて幼少からのトラウマと言ってもいい独りの不安から次第にラトナや他の対象に今までラトナにしていた『自分から離れる要因潰し』をヒロインの周りにするようになってしまう。

攻略対象やラブラに実行し、事は次第にヒロインに勘づかれていく。

そうしてラトナにも実行しようとしたところをヒロインに止められ、ラトナにもバレてしまったサファはこんなつもりじゃなかったと塞ぎこみ部屋にこもるようになっていく。

ヒロインの励まし方によりエンドが分岐する。

献身的にサファを励まし、部屋から出させてサファの周りには味方しかいないのだと改心させることが出来ればハッピーエンド。

サファを部屋から出すことが出来てもただ単純に許すだけでは根本的に治らず更に重く執着させてしまい、監禁されてしまうのがノーマルエンド。

やった事自体を完全否定してしまうと更に塞ぎこみ、入水自殺を図りその衝撃か精神を守るためかヒロインとの記憶を全て忘れてしまうのがバッドエンド。


公式ヤンデレキャラだけにノーマルルートでさえバッドエンドチックなのがサファルートなのだ……。

むしろバッドエンドの方が気持ちが軽いのが不思議なくらいである。

サファ様ともあまり話していないからなんとも言えないが外面だとしても割とまともな会話ができたのではないだろうか…?



名前:ジェード・アンフィ

エレメンツに属するアンフィ公爵家第一子で風の使い手。

長兄であるが内気で臆病な性格をしている。

しかしそれを隠すため外面を繕うのは得意で、ずっと周りに合わせて生きてきた。

唯一、身体の弱い弟だけには本来の優しいジェードのままで接している。

学園に入るなりルックスや爵位ばかりをみる人達に押し付けられた『みんなの求めるジェード』のプレイボーイな性格を演じ続けている。

しかし自分の内面は普通に紳士でむしろそういった事を苦手としているため踏み入ったことはしないし軽々しく取っかえ引っ変えに付き合わない。

何もせずとも勝手なイメージでキャラが出来上がっていくので争いが絶えずジェード自身嫌気がさしていたところにヒロインを見つける。

平民であり、ある意味好奇の目で見られているヒロインに親近感を抱き、自ら近付き仲良くなるが取り巻きによる嫌がらせがヒロインに頻発するようになると危険な目に合わせないために距離を取るようになる。

しかし距離を取ってもなお変わることの無い嫌がらせから守るために近くにいるようになる。

けれど今まで自分の意見を外に出してこなかったためか守り方がわからず結局のところ悪化させるだけであった。

それでも何とかしたいと奮闘するが状況は良くならず、とうとう取り巻きによって嵐の日にヒロインが誘拐された事が発覚する。

続く嵐に探しに行く事もままならずヒロインは黒幕へ売り渡されてしまう。

ヒロインの脱出劇とジェードの奪還作戦により、無事ヒロインは救出されるが自分のせいだとジェードは自身を責めてしまう。

距離をとるもののヒロインが相変わらず嫌がらせを受けるのを守ってくれていた。

学院生活前からジェードの友人であるラブラが二人の仲を取り持ち、手を尽くしてくれたおかげで嫌がらせもおさまっていく。

ずっとヒロインは自分の為に守ってきてくれていた事も気付いていたが距離を取られていたために感謝も出来ずにいた。

そんな中、諦めの悪い取り巻きがヒロインをどうにか出来ないことを知るとジェードを襲い、彼は重傷で病院へ運び込まれてしまう。

ジェードが運び込まれた病院は彼の弟、ネフラの入院している病院である。

ヒロインが見舞いの際にネフラに会いジェードの事について聞くことが出来ればハッピー&ノーマル確定。

ネフラに会うことが出来ないとバッド一直線。

献身的にジェードの見舞いへ通いつめ目覚めたジェードに感謝を伝え、和解できる事でハッピーエンド。

見舞いに通いつめるがジェードと和解できず距離を取られ続けてしまうのがノーマルエンド。

ネフラに会わずそのまま死亡してしまうのがバッドエンド。


ジェードルートは完全に好感度を上げ、弟であるネフラくんに会えるか会えないかで全てが決まるというある意味で運ゲーなルートである。

しかもバッドエンドではジェード様はあっさりと死んでしまうのだから恐ろしい。

この前のお茶会でのジェード様にはまだゲームの面影はないけれど、本来のジェード様と思えば相違はなさそうだ。



名前:ヘリオ・ドール

エレメンツに属するドール侯爵家第二子で地の使い手。

第二子であるものの次期当主候補。

いくつか歳の離れた姉がいてヘリオが生まれる前は彼女が次期当主だった。

幼い頃は仲が良く姉に非常に可愛がられていて見目の可愛いヘリオに似合うからと女装をさせていたのは姉である。

しかし歳を重ねるごとに次期当主の座はヘリオにと言う声が大きくなっていくにつれて次第に姉はヘリオに冷たく当たるようになる。

しかし、表面上は立場があるためか変わらない様子を見せていて周りは何も知らない。

そんな中で過ごしてきた故か性格が良くも悪くも似て二面性のある性格になってしまう。

実は幼い頃に出掛けた庶民街でヒロインと出会っている。

その時は女装させられていたためヒロインはヘリオの事を女の子だと思っていた。

その後学院で再会した時もヒロインは女の子と思って接していたが誤解は後に解ける。

そんなヒロインには誤解の影響かあざといが毒舌な振る舞いをする。

しかし、理由もなく虐げられる事については自分の幼少の頃からの姉の振る舞いを見て育っているので気に入らず、なにかとヒロインを庇う。

ヒロインがそれに対してお礼を言うが単に気まぐれでやっただけだった。

同族嫌悪に近く、ヒロイン自体は好きではないし、かと言って放っておけない。

徐々にヘリオの事が気になっていくヒロインだがヘリオには冷たく避けられてしまう、しかしそれでもめげずにヒロインはヘリオと共に過ごす。

中々相手にしてもらえないヘリオの態度にやきもきしていたヒロインだったが、突如何者かによって攫われてしまう。

しつこいくらいだったヒロインの姿がない事に違和感を感じ、ヘリオがヒロインを探し当てると今にも崖から落とされそうなヒロインを見つける。

好感度が高ければ魔法によって間一髪助けられるが低いとバッドエンドで、魔法ではなく手を差し出すものの間に合わずそのまま落下しヒロインは海の中へ消えてしまう。

助けられるルートではその後犯人を捕まえ、ヘリオは攫われたことを知った時に気付いた胸の内を告白、ハッピーエンド。

助けられないルートにはノーマルエンドがあり、バッドエンド同様に駆けつけたヘリオに手を差し出され捕まえるものの黒幕に二人もろとも突き落とされるというある意味バッドエンド展開。


なんだかんだでヒロインと居るのが好きなくせに冷たくしては反応を楽しむという中々の腹黒い天邪鬼(あまのじゃく)な性格をしていて攫われたことを知るまで自分の気持ちに気付かないし始めのうちはひたすらにヒロインが貶されるため苦手な人は苦手なルートだと我ながら思う。

実際に会ったヘリオは相手がヒロインじゃないのもあってか普通のあざと天然な人だったような気もする。

彼のルートでのあの姿は対ヒロイン専用なのか…?


そして全てのルートに現れる何者かというのが大抵ラピスだったり、その仲間達でハッピーエンドの中で断罪イベントが発生するのだ。

多くは首謀者としてラピスは死刑に処されて退場してしまう。

私はなんとしてもそれを食い止めたいのだ。


─────本当の彼は何も悪くないのだから。


でもそれ以上に彼を助けたいと心が強く叫ぶのだ、訳が分からないけれど強迫観念の様な、どこか鬼気迫るほどに。

まだ出会っていないラピスのルート詳細は比較しようがないので省いておくとしよう。


「ひとまずこれでメイン攻略対象はオッケーだよね……うーん!長かった!!」


たった四人…自分を含め五人なのにかなりのページを持っていかれたような気がする。

書きなぐった時間はそこそこに経っていて、もうそろそろハウが呼びに来てもいい頃合だった。

見られるのも不味いので手帳に小さな南京錠を掛け、机の引き出しにしまうと思っていた通りにノックの音が響き、私が返事を返すと一拍置いてハウが扉を開けた。


「お嬢様、お夕食の支度が整いました」


「ありがとう、ハウ。今行くわ」


「……お休みになられていたと思いましたが起きていらしたのですね」


予想外だと言った顔で机に居た私に視線を向けた。

そんなに私は机に向かうのが珍しいだろうか…。


「もう……そんなに私が机にいるの似合わない?あんまり寝ると夜寝られなくなっちゃうから…ね?」


「左様でございましたか…ですが、あまりご無理はされませんように」


「はーい。じゃあ行こうか、ハウ」


「はい、お嬢様。」


このところどこか彼女はおかしいような気もするがこういうのは気にしてはいけない。


だって、きっと私ではどうする事も出来ないから。

大変更新が遅れましたことをお詫び申し上げます!!遅くなりました!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ