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第六話 最強、魅了される

申し訳ありません。少し時間飛んでいます。

俺とブランが出会った次の日、ブランの名前を決めた日で、女将さんに色々教わりに行った日。

その日から五つほど月を越した。


あの頃のブランは生後三ヶ月程だったらしく、今では八、九ヶ月ほどになっている。

そんなこんなで、純白の髪も順調に伸びてきているブランですが、なんと、なんと!喋れるようになったのです!

今までも言葉の意味は理解出来ていたが、発声器官が成長していなかったようで、一言目のあとは 「だ〜」とかで伸ばしたり、「たああ」とか 「あえ〜」とか、ア行以外は使えていなかった様子。

何を言いたいかというと、その事をたどたどしく必死に伝えてきたブランまじ可愛い。

その時の会話がこれ。


「あにね、シエゅ、プヤンっ、いあぁで、ちあ、んと、はあせ、あかった、の!」


意訳:あのねシエル、ブラン今までちゃんと話せなかったの!


やっぱりラ行は難しいらしい。あとブって言えない。全体的にたどたどしいが、最後の、の!は必死に頑張ったって感じで、もう目に入れても痛くないどころか全身の細胞にブランを何人詰め込んでも痛くねえわ。可愛すぎて。


何が言いたいかと言うと、言葉を話した時も感動しすぎて泣いちまった俺だけど、一人で頑張って立ち上がったり歩いた時は号泣しちまった・・・って違う!


さっきから 「シエゅ〜ごあん〜!ごあんごあんっ!」 ってご飯欲しがる可愛すぎる娘に飯(離乳食ber)を作り終えたんだ。


「ほらブラン、食べるぞ」


背の低い椅子に座りながら、こちらに向けて両手を広げてきたブランを抱っこ。

そのまま膝の上に乗っけて、よし。


「いただきます」

「いあぁきあしゅ」


異世界式食事の挨拶(ブラン記憶(ry)を完了。

レシピ:超柔らかいパンを細かく千切り、エビルカウ(超でっかくて禍々しい角を持つ金色の牛)から絞ったミルク(熱消毒済)に浸す。昨日狩った火竜の肉をかなり、それはもうかなり小さく切り、いや斬り、今朝早起きしてとってきた新鮮な野菜と共に炒める。

実は俺、料理のセンスあったのかもしれない。(油断すると血を混ぜようとする悪癖あり)


ブランの飯をスプーンで掬ってフーっと食べられるほどまで冷ます。

そして・・・


「あーん」

「んっ・・・!」


超 笑 顔。味は悪くないようだ。

そのまま数十分かけてブランは完食。急いで俺の分、冷めてしまった朝食も食い終わってよし。


「ご馳走様」

「ごいよーしゃま」


食後は適度な休憩をして、ブランと一緒に散歩する。と言っても抱っこした状態でだが。

ブランはまだ歩くのになれておらず、歩幅も小さいのでかなり遅い。

俺としてはどれだけ遅くても良いのだが、ブランは俺に抱っこして欲しいらしい。


家を出ると、そこは勿論森の中だ。それもベテラン冒険者でも入らないほど危険な『死者の森』。

俺達の住む家の左側には、頭のおかしい冒険者(俺)に魔改造された、超改造式魔鉄『完』で出来た柵に覆われる空間がある。

魔鉄とは、魔力を多分に含んだ鉄の事である。

それを頭のおかしい魔力を持つ頭のおかしい冒険者が作り上げ、魔改造したものが超改造式魔鉄『完』なのだ。魔王の一撃でも凹むことすら無いであろう強度を持つ。

これはあれだ、ブラン用のミルクを作るために連れてきた牛達(ただの動物とは言っていない)を逃がさない柵だ。

ここにいるのは計4匹。

一匹目は、エビルカウ。上記レシピ参照

二匹目は、エンジェルカウ。灰色に若干ピンクが混ざった様な色の体と翼と頭の上に金色の輪っかが浮いている牛だ。

三匹目は、デーモンカウ。エンジェルカウのドス黒い奴。輪っかはない。

四匹目、ミノタウロス。オッサンの上半身と牛の下半身を持った変なやつ。知能は低い、言葉を話せない。


名前一覧、ブラン命名。


エビルカウ―『モー』

モーって鳴いてたからモーらしい。Sランク魔物

エンジェルカウ―『モーモー』

モーって鳴いてたけどもういるから追加してモーモー。Aランク魔物

デーモンカウ―『カウ』

モーって鳴くんだけど流石にもう無理、カウだからカウ。Aランク魔物

ミノタウロス―『カウ、カウ』

カウくんと同じ理由。カウカウでは無い。カウ、カウだ。さもないとブランが発音できないのだ。Bランク魔物


以上ブランの付けた名前の牛さん達でした。

・・・・・・ブランって前、俺がつけた名前に怒ってたよな?ネーミングセンス俺と同レベルだと思うんだが『エターナルラビット』(第二話参照)とか。


牛達を見たあとは森の散歩。

途中魔物達が寄ってくるが、みんなブランと楽しそうにじゃれあって帰っていった。

この森に住む魔物達は、ブランが誰の娘なのか分かっているらしい。

襲い掛かることなど絶対に無く、むしろ転んだりしそうになると助けるくらいである。


家に帰ったあとは、風呂を沸かして(ブランに暑すぎないように)一緒に入る、そして飯を食って、今まで体験した冒険やなんやらをブランに語り聞かせる。

その途中で寝てしまうのだ、ブランは。

前世の記憶があっても、体は子供。欲求には正直なのだろう。

愛おしい娘を一撫でしてから眠る体制に入る。


「おやすみ、ブラン」

「すぅ、すぅ」


今まだずっと凍りついていて、まるで背景のようだった世界が、今はとてつもなく輝いて見える。

前世の記憶を持つ愛おしい娘と、生まれてからの記憶のない父である俺。

異端な存在でありながら、互いが互いを支え合う密接で大切な関係。

今まで生きていて、娘に・・・ブランに出会えて、本当に良かった。

あの時俺を拾ってくれた爺さんに、ブランを庇った母親に、今日も俺は感謝を捧げる。

次話は今回以上に時間が経過します。

実は今回で数年後・・・としたかったのですが、幼少のブランちゃんのかわいさ、というのを書きたくて書きたくてどうしようも無く突っ込んだ話です。

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