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魔法少女ブツリ

いい加減他の小説更新しろという自責の念を上回る仕事量! その折、唐突に走る電流! 脳裏を駆け巡るプロット!

なお勢いはG1TFくらいのノリです

 

 

 

 

 物部理梨(ものべ りり)は、第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」の一人である!

 悪魔界「サイロンズ・ゲート」より現れたる悪魔たちと、大体週一で戦うミニスカ戦士の一人である!

 今日もまた、ある時は幼女先輩たちの応援に応え、またあるときは大きなお友達たちの野太い声援(とギリギリを狙う視線)を全身に受け、ねちねちと嫌がらせめいた作戦を行う悪魔たちに敢然と立ち向かっていた――――!

 

 そして今日もまた彼女、「キュラフィジカル」こと理梨は悪魔たちに、自身の武器を向けていた!

 

「キュラット・レイン!」

 

 第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」たちの共通必殺技――――すなわち変身アイテムである「タクトルネックレス」を、若干、猟銃のようなシルエットに見えなくもない「キュラットステッキ」に装填し、相手に向けて振り、光線を放つ! 無数の光の雨が結集したそれは、まさに光のウォーターカッター!

 なお、何故か発動を決めた瞬間から背景世界が虹色に包まれているが、これは第一魔法少女隊「ザ・サイリアス」の戦闘経験より、技の影響が周囲に及ばないよう開発された魔法結界だった!

 

 「キュラフィジカル」の光線は、しかし敵である悪魔、「死のアヴァリティア」には通用しない! サングラスめいたメガネをかけ、不気味につりあがった口をしたような、そんな妙な仮面の男が指先を光線に向ける! あわれその先の物体は、わずかに一瞬で爆発四散! というより霧散!

 

「く……いくら私の魔法が、第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」の中で最弱だとしても……! こんな悪魔相手に傷一つつけられないなんて!」

 

 自分の背後を見る彼女は、現在かなり絶望的状況であることを自覚していた! 第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」のリーダー「キュラプロフェット」は気絶! 彼女を庇った副リーダー「キュラケミストリー」は、アヴァリティアの申告によれば『時間を殺されて』その場から動くことができないときていた!

 

「せめて「キュラメンテ」か、「キュラドライバー」でもいれば……っ」

『フフフ……、いい加減無駄だと理解してくれたまえ、第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」』

「街中のアイスクリームを食べた瞬間、すべて解けてべちゃべちゃになる呪いだなんて……! なんて恐ろしい呪いなの! 死のアヴァリティア!」

『フハハハ! 中々悪くない負の感情が集まっているようで、結構結構」

「絶対許さない……! せっかく、楽しみにしてたハ○ゲン○○ツの塩バタービスケットの恨み! せっかく、ようやく食べることが出来るって所だったのに!」

『ははは、悪感情痛み入るが……。いや、そんな個人的な恨みをぶつけられてもなぁ、ぶっちゃけ(そもそも今回の我が召喚者(ヽヽヽ)の作戦は、街全体を飢饉にすることだったけど、それは家内に「私が飢えた国で育ったって理解してるの、ティアくん! もう知らないんだから!」なんて怒られたから中止したし)』

 

 ぼそぼそと何やら言い訳めいたことを語っていたが、そんな「死のアヴァリティア」の言葉など、彼女の耳には入っていなかった!

 ただひたすらに彼女は、同じ部活の、ややモブっぽいけど意外と優しい男子生徒が、自分の頼みを聞きいれて買って来てくれたかのアイスクリームが、目の前で酷いあり様になった事実が怒り心頭だった!

 ちなみに二人ともべちゃべちゃになり、現在彼女の制服は彼の母親がきれいにしてくれてるのはナイショだ!

 

「でも、どうしたらいいの? キュラプロフェットの『ハーティスティック・キュラレットパイラ』も、私達全員の『キュラレット☆スーパーレインボウ』もアヴァリティアには届かない! なんで今日に限って下級悪魔じゃなくて、幹部悪魔が出てくるのよ……」

 

 

 

「――――ざまぁないわね、第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」」

 

 

 

 どこかから響く謎のハスキーボイスに目を見張る「キュラフィイカル」! 視線をさまよわせ、そしてはっとした表情で見上げた!

 

「あ、貴女は……ッ! 敵か味方か『キュラサイコ★サン』!」

 

 敵か味方か、という彼女の申告正しく、キュラットドールズたちのモチーフになっているフィギュアスケートベースの衣装を悪い感じの色合いにし、更に不気味な仮面まで付けている「キュラサイコ★サン」!

 ちなみに後ろのサンは、「~さん」とか「~=サン」とかのサンではなく、太陽の方だったりする!

 

 巨大なオオカミのような生き物の上で、彼女は戦場を見下ろしていた!

 

「貴女には身体強化の魔法があるのではなくって?」

「ある、にはあるけど、私が使えるのはそれしかない……! 悪魔相手に、どんなに身体能力が高くても、絶対に勝てない! 何か方法があるの、「キュラサイコ★サン」!」

「そんなんだから貴女、幼児向け雑誌の扱いが一番地味なのよ。「キュラドライバー」ほど人格破綻しろとは言わないから、せめてもうちょっと頑張りなさいよ……。

 でもそこの悪魔、今はかなり能力を制限されて召喚されてるの。だから、あなた達程度でも勝てると踏んでいたのだけれど、これじゃお話にならないわね……。私の「目的」を叶えるために、もう少し使えるコマになってもらいたいところだわ」

『ホントでヤンスね、マイ★サン』

 

 オオカミの意外と軽い口調に肩をすくめる「キュラサイコ★サン」!

 

「じゃあ、一つだけヒント――――つまり貴女は、その拳が魔法であれば、悪魔を殺すことができるつもりでいるのね?」

「できる、かもしれないわ! 少なくとも、この迸る怒りの感情を! あの人気投票一位をかっさらって殿堂入りでもしてそうな鼻っ柱に、泣くまで! 叩き込めるッッッ!」

『マイ★サン、明らかにあの一人だけ出る番組間違えてるでヤンス』

「オルちゃん煩い。

 だったら話は簡単じゃない? つまり――――貴女が拳を振るえば、かならずそれに魔法が上乗せされるような状態が作れればいいんでしょう?」

 

 それだけ言うと、「キュラサイコ★サン」はオオカミ共々姿を消した! その姿の消し方は悪魔達が退却するときのような黒いスモークに包まれて消えるようなものだった!

 

 「キュラサイコ★サン」の言ってる言葉の意味を斟酌している「キュラフィジカル」だったが、しかし「死のアヴァリティア」が待ってくれる道理はない! 彼女が説明している間に、下級悪魔よりも更に位の低い使い魔、黒い全身タイツにしか見えない悪魔たちを召喚していた。

 

『さあ襲いかかれ、我が従僕たちよ!』

 

 「死のアヴァリティア」の言葉に、一同が寄生を発しながら「キュラフィジカル」をかこう! なにせこれら悪魔たちに対しても、魔法がなければ対峙することができない! 「キュラフィジカル」の得意な魔法「フィジカルアップ」は、身体能力を上げるコトはできても魔法を付与したことにならないので、せいぜい出来て彼らをけちょんけちょんに殴り倒す程度なのだった!

 なので現在、「キュラフィジカル」が殴る→「キュラドライバー」がまとめる→「キュラケミストリー」が一網打尽にする といったような連携が使えないのだ!

 

 必然、魔法の力でなぎ払うとなると、最低でも「キュラット・レイン」を行う必要があった!

 だが、流石に一番弱いとはいえど必殺技は必殺技!

 魔力消費からして、あまり使いたくないのが彼女の本心だ!

 

「く……、「キュラット・レイン」!」

 

 しかしそれでも、使わざるを得ないのだ! 彼女は仲間のために戦っていた! そして必ずやかの人気投票殿堂入りでもさせられてそうな仮面をつけたあの大悪魔に、怒りの制裁を加えなければならない!

 「キュラット・レイン」を上空に放つと、それは文字通り雨のように分解して降り注ぐ! 元々「キュラット・レイン」は恵みの雨! 敵が多い以上は収束して使うより、範囲攻撃が妥当という判断だった!

 だがいかんせん、彼女の「キュラット・レイン」は弱かった! 伊達に第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」の中で、最も魔力のない魔法少女ではない!

 

「全然効いてない、く……。

 『フィジカルアップ!』」

 

 絶望的な状況。敵の攻撃をかわしながら、しかして彼女は諦めていない! そんなにアイスクリームの恨みは恐ろしいものか? 否、恐ろしいものなのだ!

 なお、そこに自分の頼みを聞いてくれた男の子に悪いという感想もちょっとだけあるあたり、終盤頃に向けた何かのフラグな気がしないでもない!

 

 それはともかく、しかし、驚くべきコトに! 彼女の拳は、一撃で屠った!

 

「えっ」

 

 面食らったのも無理はない!

 なにせ本人はいつも通りに殴り飛ばしただけなのに、本来ならもっと強固な手応えをもってして耐え忍ばれるはずのそれが、なんでこんな威力を叩きだしたか!


 そして彼女は、「キュラサイコ★サン」の言葉の意味を悟る!

  

「……そうか! 恵みの雨は浄化の雨! 私達は今、雨の中で戦ってる!

 この雨をまとった拳は、すなわち魔法の拳ということなのね! 理解したわ!」

 

 大正解である!

 周囲の野次馬たちの中で、意味深げに黒いセーラー服の少女が微笑んでいた!

 

 回答さえわかってしまえば、後は「キュラフィジカル」の敵はない!

 

 殴る! 蹴る! 純粋な物理暴力、強化されたその身体能力(パンチ力10t、キック力30t)の前に使い魔など恐れるに足らず!

 あまりに一方的な展開に、「死のアヴァリティア」はたじろぎ始めた!

 

 だが、そこは魔法少女としての限界が来た!

 

「う……、魔力がッ」

 

 身体を抱える「キュアフィジカル」! そう、魔力が低い彼女にとって「キュラット・レイン」を二連発しただけでも、本来はかなり無茶をしている!

 だが、せめて。せめてこの残り少ない余力にあっても、第三魔法少女隊「キュラット☆ドールズ」の一因として、あの悪魔に一撃を!

 

 地面を殴り、空中に浮かび上がった瓦礫を、彼女は殴り、蹴り、そして一つの塊へと練成(物理)した!

 対する「死のアヴァリティア」はといえば! 平身低頭である!

 

『あの、呪いは解くんでマジ簡便してください、あの、せっかく物理ダメージ入らないように分身体現世に出してるっていうのに、それちょっと反則違いますかね? えっと、ほら、自分、今日も家内と仲直りするときに顔面ぶっ飛ばされてるですし』

「即興必殺! 名づけて――――――」

『ダレカー! タスケテー!

 ラプラボロス様ぁあああああ!』

 

 

「キュラット・ジャンクアイスクリームプレス!」

 

 

 アイスクリーム要素はどこいった!

 しかし出来上がった塊を見れば、なるほど確かにアイスクリームのような微妙に歪な球体をしていた!

 

 その灰色の物体で、文字通り悪魔をプレスしたその姿、その勇士!

 

 結界空間が消失し、町の人々が勝利に歓喜し! 幼女先輩がうれしさの余り絶叫を叫び散らす中!

 

 

『やっぱりアレ、絶対別作品出てた方が自然でヤンスよね、マイ★サン』

「オルくん、「キュラドライバー」に比べればまだまだマシよ」

 

  

 黒いセーラー服姿の彼女は、ため息をついた!

 

 

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