第6話 中学初日
久しぶりに投稿しました。書き溜めがそろそろなくなってきたんで、少しペース落としています。
隣の部屋を覗くと海里はすでにいなかった。学校の制服に袖を通すと、カバンを肩にかけ、部屋を出た。
いい匂いが漂う。
「おはよう。ねぼすけさん。」
「朝から元気だな。」
「普通よ?」
ほぼ食事を食べ終わった海里がこちらを見て言う。口の周りにジャムがついていた。
「どんだけ急いで食べたんだ。」
「普通よ?」
「早く食いすぎだろ。」
高く跳ね上がった見事な寝癖を気にしながら席につく。すでに朝食は配置済み。毎日ご苦労なことだ。
「まだ?」
「食い始めた途端にいうな。」
「だって遅いんだもん。」
「お前が早いんだよ。」
学校が同じということは必然的に一緒に学校に行くことになる。同時に家を出た二人は学校に向けて歩みを進めた。地元の公立なので周りにはちらほら同じ学校の制服を来ている人もいる。
「13学区は古い建物が多いのよね。だからなんか古臭い感じ。」
「そうか。」
「まさくんのいた10学区はいいよね。先進的で。」
(学区とか知らねえよ。)
今更ながら地元のことをあまり知らなかったことに気付かされ、焦る・・・・というわけではない。
教室につくと、小学校とはまた違った雰囲気が流れていた。大半はそのまま中学に行くとはいえ外部から入ってきたものたちも少なくない。
彼らはのんびり育ってきたエスカレーター式のものにはない緊張感を漂わせていた。
「おはよう、颯太。」
「・・・。」
教室に入ってすぐに目についた颯太に挨拶を投げると振り返らず、無視された。
「おい、つれないな。」
「・・・。」
「無視するなよ。」
颯太が振り返った。
「俺に聞いてるのか?俺は颯太っていう奴、知らねぇぞ。そもそもお前は誰なんだ?俺は神村だが。」
振り返った顔は颯太のそれではなく、少し日に焼けた明るそうなものだった。
(そういえば、颯太と俺ってクラス、違うんだった〜〜〜〜!)
「すまん、ミスった。俺は坂・・・・石井正弘だ。で、横にいるこいつは・・・・」
と言い、横を見ると、誰もいなかった。
どこにいるのかを探すと他のグループで談笑していた海里と目が合い、何故か白い目を向けられた。
「誰のことだ?お前の横には誰もいないぞ。」
「いや、やっぱりいい。」
「いいのか?・・・それより、俺のことはかみちゃん♡とよんでくれ。」
「かみちゃん♡」
「冗談だよ!ツッコめよ。かみでいいよ、もう。」
「そうか。俺のことはマサ、とでもよんでくれ。」
「これからよろしくな。」
「ああ。」
このとき、俺達は分かっていたかもしれない。これは深い縁になるということを。
本当にわかっていたのかな?
閑話2、もそろそろかな?と思ってる方もいると思いますが、(いるのかな?)まだです、すいません。