第3話 ステータス
翌朝
俺は何か忘れているような気がしながらも食卓に行くと、お父さんが何故か怒っていた。
なぜだろう?
不思議そうな顔をしているのがわかったのだろうか、海里が指摘してくれた。
「昨日、マサ、自分の部屋帰ってから寝たよね。」
「それが?」
「昨日の食卓でお父さんが『正弘は俺の部屋に、海里は圭織さんの部屋に行くこと』って言ってたよね?覚えてなかった?」
「あっ!そんなこともあったな。」
「そんなこととはなんだ!ううっ・・・・・。」
「ほら、泣かないで、卓人さん。正弘、やりすぎよ!」
「ちょっとなら良かったのか!?」
そんな父のツッコミは無視された。かわいそうに。
「今日はどうする?あ、お父さんは黙っててね。話がややこしくなるから。」
「いきなり、拒否された!?まだ何も言ってないのに。」
「朝から騒がしいな、この家族は。・・・あ、もちろん良い方で、だぞ?」
俺も一応話に割り込んでおくとしよう。
「だって、お父さんがいるんだもの。」
「今俺、さらっとディスられたよな!」
「「黙ってて(ください)ね。」」
「・・・・・・はい。」
「でもお父さん、昨日『そのまま寝ようか。』って言ってなかった?」
「あ・・。」
「お父さん、自分の発言には責任持ってくださいね。」
「はい・・。」
「それと母さん、少しはお父さんに発言権あげたら?将来母親関白志望だったりする?」
「しません。」
「正弘くんの発言が普通じゃない!」
「寝たら頭が冴えた。」
「こわっ!」
そんなこともあったが、昼になる頃には家の中が静まり返った。
なぜなら、お父さんと母さんは家電店へ行き、俺と海里は図書館へ行ったからだ。別に特に図書館に行く必要もなかったが、海里が本を借りたいと言うので付き合うことにしたのだ。
「ねえ、正弘くん、なにか借りる?」
「特に借りたい本もないからいいよ。」
「もしかして正弘くん、本読むの嫌いだったりする?」
「もちろん。・・・あ、ラノベは好きかも。昔読んでたし。」
「あのねえ。嘘は方便って知ってる?普通はそういうの明かさないものよ?」
「はいはい。」
適当に流すと、石造りの荘厳な図書館に入っていった。
夏場は涼しい冷暖房設備も冬場、しかも初春は蒸し暑く感じてしまう。海里はそんなことなどどこ吹く風で新書と書かれたスペースを見ている。
「じゃあ、俺はマンガを読んでおくから、終わったらそこに来てな。」
「うん、わかった」
空返事が聞こえた。
本が好きな文学少女の前であまり話をしても空返事しか帰ってこないだろう。図書館の中の読書スペースの一番端に陣取るとそこら辺に置いてあった漫画を読み始めた。隣でシェークスピアを読んでいる人がぶつぶつ言っていた。
「いやなんであなたはロメオなのって言われても父親がつけたんだからしかたないだろうが。」
うるさい、静かにしろよ。俺は別にそこまで集中しないが、他の人に迷惑だろう。
そんなことも考えれないやつは最低だな。・・・・・おっと、柄にもなく憤慨してしまったな。
正弘はとても細かいことにいちいちケチをつける性格(今回が始まりで終わりでもあるが)なのだ。
マンガを読むふりをしながらステータスを久しぶりに見てみようと思い、戦争を描いたマンガを手にとってステータス、とつぶやいた。
<<ステータス>>
名前:平野陸、リク・ソヴァール、坂田正弘、????
年齢:13歳
性別:男
称号:和諧の転生者、元英雄
体力:200(平均:250)
魔力:☆封印☆
神力:☆封印☆
レベル201
〜〜〜〜〜能力〜〜〜〜〜
・鑑定
☆封印☆
〜〜〜〜〜スキル〜〜〜〜〜
☆封印☆