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神聖の転生者  作者: 薄明
閑話2.異世界のその後
83/231

///7 クイズ


『この先に踏み入れる者は今から出される質問に応えてもらう。それに適する答えを導き出した者のみ入室を許可しよう』



「しょうもないラノベにありそうな展開だな!!」

「どうせ、あれだろ?なぞなぞとか出してくるんだろ?この森作ったやつバカだったのか?」

「まあまあ、聞いてやろうじゃねぇか。実は、普通の問題だったりするかもしれないし。」

「いや、ねぇだろ。この部屋作ってる時点でちょっとおふざけが入ってるわ。」

「そうだな。それと俺たちがしゃべっている間、なんでこいつ待ってくれてるんだよ!!」



その場に再び先程の声が聞こえた。



『相談は終わったか?それでは始めよう。第一問、ジャジャン!』



「遊んでるだろ?遊んでるんだろ??なあ。効果音付きとか。」


『たぬきの宝箱には何が入っている?制限時間、1分!』



「なぞなぞじゃねぇか!!期待を裏切らないやつだな!」

「た・ぬきだからた・からばこ!だから、中には何も入っていない!から!!」


『正解!!正解したあなたには10ptさしあげよう。さあ、他の方も頑張ってくれよ!!』



「やったー!!へっ、お前なんかには負けねぇぜ。勝負だ!!」

「お前はなんでガキになってるんだよ!?さっきの解答の仕方、なぞなぞ知らないやつの答え方だぞ!!のってんじゃねぇよ!」


「負け惜しみか~~。」

「まだ、負けても勝ってもねぇよ!!」


『挑発は終わったか?それじゃあ、次いくぞ!第二問、ジャジャン!!』



「もう効果音はいいよ!それと何ptたまったら勝ちなんだよ!!」


『江戸時代末期、幕府がアメリカに派遣した咸臨丸に乗っていた幕府の役人のうち、船酔いしていたのは誰か?』



「知るかーーーーーーー!」

「あ、それは知ってるぞーー!勝海舟だ!」

「なんでお前そんな細かい所知ってんだよーー!」



『ほっほっほっ。正解じゃ!お主に10pt追加して20 VS 0!どうしたどうした!!追い込まれてるぞ、烏山ぁぁ!!』



「いきなりキャラ変えるなーー!何者だよてめえ!それと、何で俺の名前知ってんだよぉ!」

「あ、俺がそこのモニターに名前登録しておいた。」

「お前、何しでかしてくれてんだよ!個人情報駄々洩れじゃねぇか!!」

「ここ異世界だしいいじゃないか。さて、次の問題に行こうか。」


「この壮絶な言い合いを全部無視するな――!お前はなんでノって『速めにいかないと間に合わねぇ。第三問!!』全然読みが合ってねぇよ!それと何に、何に間に合わないの?」


『徳川家康が関が原の戦いを起こすためにつかった口実に使われたのは誰か。』



「なぞなぞはどこに行ったの?なあ。俺もう分かんねぇよ。解答権放棄しようかな、ってか一旦こたつの中に戻ろ。」



『あ、解答権、放棄するってーー!じゃあ、そっちの子の勝ちね。扉よ。開け、ゴマ!』



すると扉が開いていく・・・わけではなく、カチッという音がして鍵が開いた。実際に開けるのは自分の手で方式らしい。


「そんな簡単な呪文かよ!それともはや性別すら変わってるんだけどー!」

「やったぜ、俺の勝ちだ!烏山、ざまあ!!」

「何も悔しくねぇわ!!むしろ疲れた、はあ。息合いすぎなこの対応、もしかしてこの声の主どっか隠れてるんじゃね?」



『ギクッ!!』


「あ、今ギクッって言った!」


同時に部屋の横からガタッという音が聞こえる。

「そこだな!」

烏山はぺらりとめくれた黒い皮をひっぺがした。



『いや~ん、めっかっちゃった!』



「言うてる場合か!お前、誰だよ。散々俺たちを騙しといて。なあ、弘樹。あれ?弘樹」

烏山が横を向くとそこに弘樹はいなかった。


前を向くと、引き戸が半分開いて中に一歩踏み出そうとする弘樹の姿があった。


「お前、何勝手に行ってんだよ!」

「え?だって、お前負けたじゃねぇか。」

「強制的に打ち切りにされただけだよ!!」



そう言って弘樹の見る部屋の景色を顔を突っ込んでみると、そこには先程より少し小さな扉があった。



「マトリョーシカか!!どうなってるんだ!?」

さっきのクイズを出した奴の方を見ると、もうそこに奴はいなかった。


「いや、マジでどうなってんだよ!!」

「烏山、お前も大変だな。でもちょっとうるさいから落ち着け。冷静になれ。」

「もう、なんて日だ!!」

「それ、人のネタだろ?パクんなよ。かっこ悪いぞ。」

「お前からはじめてまともなツッコミもらえたわ。もういいよ。」

「どうもありがとうございましったーー!」



こうやって俺たちの最初で最後の漫才は無事に終わりを告げた。



「って俺たち、何やってんだよ!!」

そのツッコミが入ったところで部屋の中央付近が光り輝き、一本の剣が勝手に地面から出てきた。そしてその剣が二つに分かれた。あっという間の出来事だった。


『その剣は笑いをエネルギーとする聖剣だ。お主たちの笑いに惹かれたそうな。エネルギーが満たされているのならば魔王を倒せるはずだ。以後精進して鍛錬に育み、世界を襲う脅威に打ち勝て。』



あのクイズの奴からの声が来た。弘樹とおそろいってのが癪だがこれで元の世界に帰れるのならありがたくもらっておこう。でもとりあえず今からやりたいことはこたつで寝ること。おやすみ~~。



























そう言って烏山は和室へ行き、倒れるように寝た。

やっと、主導権が俺に回ってきた。いつのまにかツッコミが烏山の方へいっていた。危なかった。でも、これで色々守られたな。あれ?何か忘れてるような気もするが、俺も寝よう。おやすみ~~。



せっかく得た主人公権をそんなに使わずに斉田はこたつの中へともぐりこんだ。



















一方その頃、衣良喜の班は。弘樹たちとはぐれた場面まで戻る。

「ねえ、弘樹たちは?」

「あれ?そういえばいつの間にかいなくなってた・・。」

「仁美〜!気づいてよ〜!リーダーなんだからー!」

「あ、そっか。私リーダーか。」


「先生、どうしますか?」

「うーん。いつもの判断は弘樹たちに任せてたからなあ。」

「とりあえず宿まで戻りましょう。彼らも多分宿を目指して戻ってくるはずです。宿で待ちましょう。」

「おー、香菜かっこいい!」

「そうかなー。えへへ。」

七花のお世辞に少し照れたような香菜。


香菜の提案に基づき、四人は宿に向けて歩き出した。

「まさか弘樹が迷うとは・・。」

「迷ってないもん!そんなにダサくないもん!」



仁美のつぶやきに七花はつい必死で否定してしまった。



「なに?七花、弘樹くんのこと好きなの?」

「え、あ、別に。ただの、幼馴染だし・・・。」

「あれ〜?口ごもってる〜!」

「う、うるさい!」

「お〜、赤くなってる〜!」


女三人集まり、恋の話が振ってくれば話のネタはつきない。衣良喜は面白くなさそうだが。


「で、で、仁美は好きな人いるの?」

「いないわよ。このクラスなんていい人いないもん。」

「またまた〜。芦田くん眺めてニヤニヤしてたくせに〜!」

「ニヤニヤって人聞きの悪い事言わないでよー!別にそんなことしてないし。」

「お〜。」

案の定、人に押し付け合いが始まった。



(せめて男子がもう一人ほしい・・。)



女子三人のトークに飽きが来始めていた衣良喜の思いと重なっていつのまにか白い霧が辺りを立ち込めていた。周りの環境の変化に気付かず女子トークに花を咲かせる3人の注意を促すと衣良喜は前を見つめた。だが霧は一向に晴れる気配を見せなかった。



「見えねえ。」

「どうするの?」

「どうしようか。」

風により、どうにか足元が見えるようにはなっていた。



それを頼りに少しずつ歩みを進める。するといつの間にか足元が石に変わっていた。

「さっきまで土だったのに。なぜだ?」

「先生がわからないことを私に聞かないでくださいよ。」



4人が歩くとともにどうしてか霧が晴れていく。すると目の前に岩が現れた。



「なんでこんなところに岩があるんだ?」

「この辺は林だからあるんじゃないですか?」

「ですね〜。」

「岩にしては少し直線的だけどな。」

「しかもなんか飛び出してるし。」

「ま、いっか。迂回していこう。」

「あれ?行きにこんな岩あったっけ?」

「なかった気がする・・。というか方向あってるの?」

「あってるんじゃない?出発の時太陽の方向から割り出したから。」



少し危機感を抱く衣良喜に対し、かなり楽観的な3人。



「あれ?この岩、動いてないか。」

「気のせいでしょー。」

「ねーねー。弘樹くんとはいつ出会ったの?」

「うーん。幼稚園のときからかな〜。」

「おお〜古い付き合い〜。で、好きになったのはいつから〜?」

「だから好きじゃないって!」

「照れてるのが本音出てるじゃん!」


「いい加減にしろ!」

女子3人のトークに衣良喜が我慢の限界に達したのか、怒鳴った。いままで一度も怒らなかった彼に怒鳴り声に女子3人は縮み上がった。



「さっきから話聞いてなだろ。おまえら。」

「は、はい。ごめんなさい。」

「気を抜いているみたいだがいつ魔獣が襲ってくるかわからないんだぞ?そのことを理解して脳天気に話しているのか?」

「・・・。」



話しながら彼は少し声色を柔らかくして諭した。3人はおとなしくなったのかなにも喋らなくなった。少し言い過ぎたかと衣良喜は後悔しながら歩く。


先程から気になっていた岩に触れてみた。岩にしては柔らかい感覚に違和感を覚えるのとそれが動くのはほぼ同時だった。



「離れろ!」

「え?!」

「わーーー!」

衣良喜の掛け声で一斉に走り出した。


岩だと思っていたものは生物だったのだ。それもよく見たら赤黒い。魔物である。


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