第22話 嵐山公園
少し短いと思っています。
「間もなく嵐山、嵐山です。本日も嵐山急行をご利用いただきありがとうございました。」
「降りますよ。」
「お前は引率の教師か。」
「悪くないですね。」
嵐山で降りると駅の前に小学生がたむろしていた。正弘たちはそこそこ遅く着いたみたいで—――――それでも集合時間前だが—――――正弘たちがつくとすぐに集合がかかった。
「集まってくださいーい!」
学年担任の若い女の先生が声を張り上げる。全員を整列させると一組を先頭にあるき出した。
「嵐山まできて渡月橋だけってのもね。」
「仕方ないですよ。小学生なんですから。」
「おまえやけに大人びてるな。」
「そうですか?」
ぞろぞろと嵐山駅から道路の脇を歩く。
途中、遠足の小学生を乗せたバスが追い越していった。
「あいつらいいなあ。」
(全く。俺のときはバスだったぞ。でもあれはあれでつまらん。)
渡月橋の近くの料亭で昼ごはんにした。古くからある老舗らしく、佇まいが他と違った。
「すごいですね。」
「ああ。」
窓からは渡月橋が望め、川がゆっくりと流れていた。
今日は嵐山公園で飯を食べ、その後屋形船に乗ったが、乗った途端に雨が降り出して景色があまり見れず、文句が出た。
「明日で修学旅行は終わりだから、帰る用意を忘れんなよ。もし忘れてたりしたら恥ずかしいぞ!夕食は18時だから準備係は10分前に来ること!じゃあ解散!」
一斉に部屋に戻るため、階段は混んでいた。
颯太は正弘に耳打ちするとその団体から抜け出した。中央階段から少し離れた階段にはほとんど人がいなかった。
「昼間のうちに調べておいたんです。ここはあんまり人が寄り付かないらしいですね。暗いからわかりにくいですし。」
「すごいな、お前。」
「あはは、ありがとうございます。明日にはもう帰るんですよね。
ああ、もうすぐ卒業式です。中学生になってクラスが違ってもよろしくお願いします。」
「ああ、よろしく。」