第20話 夢
回想編、的な?
結局、銀閣・清水寺もまどか・海里の彼氏争奪戦と颯太の冷やかしなどに襲われながら見て回った正弘はホテルにつく頃にはヘトヘトになっていた。
「今日はこのあと夕食で、そのあと入浴、そして就寝だ。いいな。必ず寝ること!まあ今日は恋バナもゆるそう!ただし先生も混ぜること!」
教師陣のジョークに笑いつつ、解散。
部屋は変わらず。そして
「遊びにきたよー!」
大声で遊びに来るまどかと海里。
「よう。今日は何をしようか?」
「セッサンでもやろうか?」
「トランプで良いんじゃない?」
「じゃあ、トランプやろう!」
「わかった。」
その夜、正弘はある夢を見た。その夢とは、タグリアで危神を倒した後に住んでいたところで過ごしたものだった。ちなみに、死んだのもそこだ。
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危神を倒した後のリクは国王から貴族に任命され、住居は名前のない森一帯が与えられた。人はその森を”英雄の森”と呼ぶ。また、英雄の森に住むリクは『闇の賢者様』とも呼ばれていた。
リクがカナティアと結婚した後、”英雄の森”には最低限の人数しか入れなさそうな小屋を建て、そこに二人で住んでいた。
ある日、カナティアが言いにくそうな顔をして、こう言ってきた。
「あのね、リク。わ、私、に、妊娠してるみたいなの。」
「えぇぇぇぇぇぇ!まあ、そんな気もしてたけど。とりあえず、おめでとう!これからも一緒に子供を育てていこうか。」
「う、うん!」
その日から数ヶ月後、無事に長男が生まれ、カイトと名付けられた。カイトは小さい頃はやんちゃしてて、魔物に襲われかけたが、弟のカタラタスができたときぐらいからは妙にクールになり、落ち着いて考えることができるようになっていった。
弟のカタラタスは俺を尊敬してるらしく、魔物から自分の身を守る技を教えてー、とかよく言う。だが、どっちも俺の息子だから才能はあり、魔法学院に入ると、すぐに学年トップになった。
あとは・・・・そう、そういえば、前カイトが魔法学院時代の同級生と結婚したんだよな。とうとう俺の息子も結婚するようになってしまって、俺なんか結婚から数えたらもう今年で100年以上も経ったんだからな。
(あんな童貞のキモ男だった俺がこんなにすごくなってしまったな・・・)
カイトやカタラタスはもう家(というより自作の小屋)を出ていってしまったが、カナティアと二人だけでも十分に楽しい。
閑話休題。そもそも俺は何を考えてたんだったっけ?
・・・・・・ああ、思い出した。”英雄の森”のことだったわ。だから、とりまこの森一帯に結界を作るか。
「ベイ・シーマ!」
すると、光の膜が木々を覆っていった。
ベイ・シーマ:結界を作る魔法である。異世界人かその血縁者しか入ることができない。
と、結界を作ったところでカナティアが来た。
「ねえ、リク。この森に配下の魔物をおいて訓練場にしようよ。」
「誰のための?」
「それは、私達の孫のための。」
「それはいいかもな。じゃあ、さっそくしようか。」
「それと、この森を平和にする魔物の王を決めようよ!例えば、竜とか。」
「ん〜、そうだな、何にしようか。竜2匹ぐらいでいいか。よし、まとめよう。
低位の魔物
↓
中位の魔物(中ボス程度)
↓
高位の魔物(竜多数、その他怪物)
↓
竜王(無竜王、全竜王)=ラスボス
↓
神竜(倒されても消滅させることはできず、永遠にいる。)=裏ボス
と、弱い順にまとめるとこういうことになるな。まあ、この森は英雄がいなくなった後、勇者を召喚したときに、ここで裏切り者を倒すとか、レベルを上げるとかしかできないように全国王に言ってもらおう。
もし、これから勇者召喚することがあったら、ここに転移してもらうことにしよう。そのためには能力石碑も作って置かなければ。」
(ついていけないわ・・・・私が提案したのに。なんでこんなに詳しいの?)
リクは前世でため込んだ知識をフル活用して考え抜く。
「だから、カナティアはあるべき場所にそれぞれの魔物を配属させていってくれ。竜は俺が作って、神竜は俺から言うから、置いといていいぞ。」
「わかったわ。頑張るわよ!」
「あとは・・・大きい広場を作ってそこに石碑を作ろう。それで、そこにひとつだけの狭い小屋を作っておこう。そうだな、ちょうど35人ぐらい入れるように設定して・・・・・と。よし、俺は終わったぞ!カナティアはどうだ?」
「私も終わったわ。あとは、神竜だけ。」
「わかった。そこからは俺がやる。」
幸い神竜にはツテがある。というより神竜王とは親しい仲なのだ。
「おい、神竜よ。ここに勇者が来たら殺してもいいから勇者にバレにくいように育め。よろしく頼む。」
そう言って、大衆から英雄と呼ばれているリクは頭を下げた。膝ぐらいの高さまで。
『英雄よ、頭を上げてくれ。わかった。俺にここの管理を任せてくれ。」
「言われなくてもこっちから願う!ありがとうな。」
『まあ、俺はここの森の王となるんだから何も言わねぇぞ。』
「ああ、よろしく頼んだぞ。俺がいなくなってもここを守り続けてくれ。」
『わかった。任された。契約成立だな。』
俺とカナティアは小屋に戻ってお茶を飲んでいた。
「これで完璧だな。勇者か英雄が来てもここで訓練をして王城に行けばいい。後で、俺は国王のところに行ってくるが、カナティアはどうする?」
「私は、ここで家事でもして待っておくわ。」
「わかった。じゃあ、一旦休憩したところで行ってくるわ。すぐに帰ってくるから。『転移・王城』」
「気をつけて行ってらっしゃい。」
数秒後、王城の入り口についた。
「っ!これはこれはリクさま。今日はどうしましたか?」
「ああ。今すぐ王とカエシリウスに会いたい。ただ、雑用に近いかもしれん。今日が無理なんだったら、別にいつでも良いぞ。」
「いえ、英雄様を待たせる訳にはいきません。・・・今、連絡をしました。謁見の間にお越しください、とのことです。そこにお二方がいらっしゃいます。」
「わかった。場所はわかるから案内はいらんぞ。すぐ行く。『転移・謁見の間』」
「お気をつけて。」
目を開けると前に王が座っていた。横にはカエシリウスがいる。
「今日はどうした?」
「私が住んでいる場所を英雄・勇者の召喚場所に使ってほしいのです。」
「それはなぜだ?」
「はい。英雄の森を私は竜王がトップとなるダンジョンのようなものに改造しました。なぜなら、次に英雄・勇者として召喚されるような方に戦いの基礎も知らずに死の恐谷などに行って無駄死にしてほしくないからです。
森には他にも召喚された人の能力がわかる魔道具も設置し、簡単な小屋も用意しました。その小屋の中になぜ、ここにいるのかなどの理由が書かれた紙を置くつもりです。また、英雄の森を召喚場所にすることで将来裏切るような者が出るのを防ぐ効果もあります。この案はどうでしょうか?」
「わかった。こちらからもよろしく頼む。敷いては、この国の領地内にお主にとって簡単そうなダンジョンも作っておいてくれ。材料はあげれるものは儂が提供する。」
「私からもそれでいいと思う。だから、私を継ぐものやアムールなどの宮廷魔術師には英雄・勇者を召喚するときは英雄の森に召喚して、本人らが麓の村に来るまでは一切手を出させないように言っておく。」
「ありがとうございます。」
「用件はそれだけか?」
「はい。」
「では、カナティアが寂しがっていると思うから早く帰りなさい。」
「わかりました、お義父さん。」
「うっ。」
「では、また来ます。『転移・英雄の森』」
家に帰るとカナティアが夕飯を作っていた。
「早かったわね。どうしたの?」
「お義父さんにカナティアが寂しがってるから早く帰れと言われたんだ。」
「まあ、お父さんったら!」
「ただいま、カナティア。」
「おかえり、リク。」
その後、王城に行ったときのことを話しながら飯を食べ、早々に寝た。
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そこで目が覚めた。