第14話 個人メドレー
俺、復活!
そして、翌日
朝食を食べ終わった後、ロビーに集まった俺らに先生が
「みんな、ちゃんと寝れたか?さあ、今日も頑張れよ。今日は個人メドレーというものをやってもらう。とりあえず、昨日の場所へ向かうか。」
と言った。
5分後、昨日の砂浜についた俺らは個人メドレーの手ほどきを受けた。
「個人メドレーというのは昨日習った4種目をすべて使って泳ぐものだ。道のりとしては行き25m→帰り25m→行き25m→帰り25mだ。
最初の行きではまずバタフライをする。25m過ぎたらそこから背泳ぎに切り替える。この時プールでやっていたら壁があるので壁を蹴ってからすすめるんだが、ここは海なので一回止まってから背泳ぎに切り替えろ。それで足がつくぐらいの所まで来たら、次は平泳ぎだ。25mをすぎるとUターンして、クロールだ。クロールはできるだけはやくして、できるなら、息継ぎも少なくがモットーだな。」
長い説明を終えると、少し息を吐いてから言った。
「じゃあ、体操をしてから始めるぞ。体育係、よろしく!」
「ラジオ体操第一、ようい、はじめ!」
「1,2,3,4 5,6,7,8,」
「では、実践練習をするぞ。まずは石井から順番に行くから準備しておけ!」
昨日一日練習しただけでは到底うまくなるはずはなく、初級のグループはかなり苦戦していた。その分新井や他の先生もかなり大声で指導していた。
「こら!田中!隣のやつにちょっかいかけるな!溺れるぞ!」
「平泳ぎはもっとしっかりかく!息継ぎできないぞ!」
「隣いるか確認しろ!」
などなど・・・。
正弘たちの上級のグループもバタフライに苦戦しているやつはいた。
中学の時、水泳部でよかった。なんとなくで入ってみたら意外に面白かったんだよな。
「お、足立や池井は泳げるんだな。ところで坂田、なんでお前はそんなに早く泳げるんだ?」
「一応スイミングスクール通ってましたから。」
「なるほどな。道理で息継ぎを2回するだけで25メートル泳げるはずだ。」
「いえいえ。それほどでも。」
25メートル息継ぎ無しで泳いでた橋長先輩とか見たら新井先生ひっくり返るかも。
「じゃあ上級の奴らは一回測ってみるか。」
「はーい!」
「じゃあ足立と坂田、泳いでみろ。」
「おいおい。トップバッターかよ。」
少しの準備を終え、新井の合図でスタートする。
「行くぞ。よーい、ドン!」
飛び込みしないでどんなタイムが出るのやら。
深くスタートし、ドルフィンキックで進むと4分の1あたりで浮上し、泳ぎ始めた。
10何年ぶりとはいえ、身体は泳ぐ感覚を忘れてはいなかった。難なく25メートルをクリアし、流れであおむけになった。
太陽、眩しすぎーーーー!
一応、昔出た記録会の専攻種目であるクロールと背泳ぎには自信があった。水泳部の先生にまっすぐ泳げと言われたことを思い出しつつ、平泳ぎへ。
ぶっちゃけ平泳ぎは休憩なんだよな。
ふと気になり後ろをさり気なく振り返ると颯太はまだ背泳ぎをしていた。
意外に遅かった。
つぶやきつつ橋長先輩に教わった平泳ぎの早くすすめるかきかたで進むと昔は感じなかったスピードを感じた。
「ここでターンしろよ!」
先生の掛け声が聞こえた。ふと下を見ると海底が見えてきた。最後2かきでターン地点まで行くとあとは全力だった。
5m先だったっけ。
水泳部顧問の平石先生に記録会前に教えてもらった方法を思い出しつつ、スピードをあげた。
「あと12メートル!!」
無我夢中で泳いでゴールすると新井先生がタイムを読み上げた。
「4分36秒!」
お待たせしました?お待たせしました・・・。お待たせしました!