第8話 告白
「結局彼は彼女と結婚したらしいです。ねえ。圭織さん。」
「はい。」
亡くなった父親を思い出したのか鼻の先が赤くなっていた。
ろくにお母さんの顔を見なかったがそう言われてみれば似ている気もする。こんなに若かったっけ。
「平野・・陸・・・でしたよね。」
「はい・・。」
「悪いね。正弘くん、こんな重い話を聞かせてしまって。」
「あの・・・。先生・・。」
「どうした。」
「僕が魔法をつかえるって言いましたよね。」
「ああ、最初は信じられなかったがな。」
「あの・・・・。」
これは果たして言っていいものなのだろうか。
正弘は悩んだ。言えばどうなるか。言わなければどうなるか。でも言っておきたかった。なにもできなかった前世のお詫びとして。
「どうしたんだ。坂田くん。」
「俺・・・。実は・・。」
意を決して言うことにした。どういう結果になるかは神頼みだ。
「実はタグリアから帰ってきたんです。」
「・・。どうしたんだ。急に。」
予想どおり新井は眉をひそめた。
「おかあさん。いえ、姉貴。前世は迷惑をかけました。」
「どういうこと?まさか・・・。」
「はい。僕は平野陸であり、坂田正弘です。」
「どういうことだ?」
「俺は確かに石に頭をぶつけ死にました。ですがタグリアに飛ばされたんです。転生、っていうんでしょうか。」
「冗談はやめてよ・・。」
圭織が泣きそうな顔で言った。でも嘘を言っているわけではないから続けた。
「そこで魔王のカナティア、山口多聞、アムール、カエシリウスなどと出会いました。そして危神こと大魔帝を倒し、その褒美としてこの世界に戻ることを許されたんです。」
「そんな・・・。」
「じゃあ・・。」
そういうと正弘は平野陸のプロフィールをさらさらと言った。
「平野陸享年18歳好きなアニメはオタクの学校ライフ、好きなキャラクターは〇〇、好きな食べ物はマグロの中トロ、嫌いな食べ物はトマトとゴーヤ。」
一気に基本情報だけを言い終えると驚いている二人が目に入った。
新井はただ単純におどろいていただけだった。だが圭織の驚きようはすごかった。まるでダイオウイカでも見つけたような顔だった。
「ってことは君は本当に平野陸なのか。」
「はい。」
「陸!」
限界に達したのか圭織が抱きついてきた。
「だからあなたタグリアのことを調べていたのね。」
母さんが言葉を失った原因はこれか。
そういや俺って帝国とか魔国とか神国とか一回も行ってなかったな。行っときゃよかった。
あれ?俺って確か異世界転移使えるんじゃね?
‥‥‥まあ、いいか。
とうとう全部ゲロっちゃいました。