第6話 いじめを撃退②
すでに天井から飛び降りる練習は朝のうちに済ませていた。
いきなり天井から降りてきた二人組に驚いた茉莉と紘毅を跳ね飛ばし、海里を颯太にまかせ、外に連れて行かせると正弘は天井に目配せした。と同時にまどかが扉を閉め、隠れた。
「またお前か。いい加減にしないとお姉呼んでくるよ。」
「そうだそうだ。茉莉の姉ちゃん強いんだぞ。」
「所詮は虎の威を借る狐。」
ちょうどその時、外では颯太による海里の介抱が行われていた。
「幸い、外傷はなさそうです。これでもかけておいてください。」
自分のパーカーをかけると彼女を背負い、まどかと木陰に移動した。
「いまカメラ見れますか。」
「見れるけど暗くてなにも。」
ノートパソコンの画面を見ながらまどかが呟いた。
「ダークゲイル」
そう正弘が叫ぶと彼を中心として四方八方に烈風が吹き荒れた。壁に叩きつけられた茉莉は怒り、手短にあるバットを投げつけた。
「おっと。危ない。」
間一髪で避けた彼は
「バウンドタイタリー」
ともう一つ魔法を繰り出し、全員をその場に縛り付けた。もちろん見えざる縄で。
「やれやれ。2つも繰り出す羽目になるとはね。」
扉を開け、颯太たちのところに駆け寄った彼は海里の反応を見た。
「大丈夫。疲れて寝ちゃった。」
「そうか。良かった。帰りにドーナツショップ寄ろうか。」
「そうね。海里ちゃんの家まで案内するわ。」
電話している颯太を見つけた正弘は誰に電話しているのか聞いた。彼がさしだした携帯には新井の番号が表示されていた。
結局颯太が呼んだ新井によって茉莉や紘毅らは一斉検挙。海里はお金が帰ってきてとても喜んでいた。
また、目を覚まして目の前にドーナツがあるのを見てドーナツと正弘らを見比べ、そして満面の笑顔で礼を言った。そしてその後、彼女は驚くべき言葉を発した。
「ねえ、坂田君たちの仲間になっていい?」
「「「はい?」」」
「べ、別にいいけどなんで?」
「坂田くんたちと一緒にいたら襲われないし、安心だから。」
健気な少女の言葉に3人は顔を見合わせた。
「ま、いっか。」
「本当?やった!」
「でも1つだけ約束がある。」
「なになに?」
「俺が魔法をつかえることは内緒だ。」
「わかった。」
こっくり頷いた海里を見て、信用できると正弘は思った。
こんなことで信用しちゃダメでしょ!とかいうツッコみはなしの方向でお願いします。