第3話 いじめを撃退
放課後、3人で家に帰ろうとすると、まどかがいないことに気づいた。
颯太と二人で教室に戻ると、そこにはいじめっ子の紘毅とまどかがいた。まどかは紘毅の3人の部下に押さえつけられており、颯太と俺が来た瞬間、体育倉庫の方へ走っていった。
「おい、まどかを殴られたくないなら、これからは俺たちに関わらないことをここで誓うんだな。お前もだぞ?正弘。」
当然の如く断った正弘に対し、紘毅は怒りを露わにした。
おそらく今まで反論されたことがないんだろう。
「ふざけるな!」
そういってまどかを立たせると服を脱がせた。
そこまでくると正弘も颯太も堪忍袋の尾が切れた。
「おい。颯太、奥からバットもってこい。」
「どうするつもりだ?」
「魔法を使う。」
「バレたらまずいぞ。」
「すでに先生には俺が魔法をつかえることを報告済みだ。正当防衛なら使ってもいいと許可をもらってる。校長先生からな。」
「了解。」
奥に駆けていった颯太の足音をききつつ紘毅らを振り返った正弘はまどかの無事を確認すると
「どういう風に料理されたい?」
憎悪に満ちた声を投げかけた正弘はすでに小学生ではなかった。タグリアを駆け抜けた英雄、リク・ソヴァールだった。
「ほいよ!」
後ろから渡されたバットを受け取ると、扉を閉めさせた。闇の中で攻撃したほうが効果があるとタグリアで学んだ。もちろん闇目にすぐ慣れる。
「おい、どういうつもりだ。」
「俺は暗いほうが好きなんだよ。あまり、特大なのは使えないけど、気絶するぐらいかな?さてと。まどかをいじめたお返しだ。それとたくし上げたまどかの服、さっさと降ろさないと攻撃が倍になるぞ。」
「そんなことするか!」
「そうか。なら残念だ。コース!これでおまえの寿命を縮めたぞ。お前はあと30年しか生きられない。過去の自分を恨むんだな。」
「何をほざいている。来ないならこっちから行くぞ。さっさとくたばれ!」
紘毅は腕をふるい、目の前にいる敵に拳をぶつけようとした。
「遅い!」
正弘はバットをみぞおちに突き刺したところで勝敗が決した。紘毅が気絶したのだ。3人の部下は震え上がり、その場に崩れ落ちた。
「た、たのむから俺の寿命を縮めるのだけはやめてくれ・・・。」
(全く。こんな腰抜けらにいじめられている卓真がかわいそうだぜ。)
「はあ、コースブロークン。」
呪いを解いた彼はついでに残りのやつを気絶させてロープで縛っといた。
「おい。颯太、ボイスレコーダーは?それと、魔法の件は他言無用な。」
「迅速果断。問題ない。」
「まどか。大丈夫か。」
「まあ大丈夫。でもまさくんの呪いって結構怖い・・。聞いたことはあったけど30年とか縮められるんだ。」
「まあね。じゃあ新井先生にこいつらを献上してくるか。ついでにボイスレコーダーと。」
体育倉庫をでた彼らを迎えた真っ赤な夕日に軽やかな笑い声が吸い込まれていった。