///1 始まり
ここから始まるのは閑話です。第1章の物語を違う視点から見た感じです。
第1章よりは結構短いです。
時間が複雑すぎるので主人公の年齢でその都度、示していくつもりです。
俺はクライン。
『ブーズ』という酒屋というよりかは酒場だな、を営んでいる。
俺はマラディ族の母の子供で俺にもマラディ族の血が流れている。その俺の母は7年前に40歳という若さで死んでしまった。その時、母が残した言葉が「いつかクラインもこうなるけど、その時は恨まないでくれよ。」だった。
その時はどういう意味かと考えたが、分からず、結局図書館に行ってマラディ族と調べてみたところ、マラディ族はタグリア神でも解けない呪いに蝕まれていて寿命が35歳に縮められていて、病気に対する耐性が低いから何か大きい病気にかかると、1年も経たずに死んでしまうらしい。
だから、母はまだ長生きな方だったということだ。
酒場を営んでいる経緯は、俺の母が死んだあと、そのときにはもう父がいなかったので、俺は一人、マラーノという都市へ修行に出た。何の修業をするのかは決めていなかったが、冒険者で良いかなと思っていた。
その時、たまたま酒を飲みたいと思い、この店に入ったのが始まりだった。俺はひと口でここの酒が気に入り、この店の長に頼み込みながら1年間通い続けているとやっと、弟子にしてもらえた。
それからというもの、俺の生活はガラリと変わった。まず、朝起きるのは5時になり、そこから接客の仕方や酒の入れ方、つまみの作り方と全てから教えてもらった。それを約2年続け、店長はその座を退き、俺に継がせた。
二代目店長として1年目は精一杯やっていたが、2年目、つまり今年の春からは慣れてきて、常連とも親しくできるような関係になった。ちなみに、元店長も常連のうちの一人だ。
毎日、どんな客が現れるのかが今の楽しみだ。
今日は誰が来るのだろうか。
「よう、クライン。元気にやっとるか。」
「はい、師匠。今日の客も面白そうな人ばかりだといいですね。」
「そうだな。じゃあ、俺はコイプル酒とオーク肉を頼もう。」
「わかりました。」
ちなみに、コイプルとは紫色の大きい粒がたくさんついている果実のことだ。
「客にはタメ口を使ったほうが親近感が湧くから使えと言っただろうに。」
「いや、師匠は師匠ですから。」
「はあ、まあ、俺はもう引退した身だ。あまりくどくど言わないでおこうか。」
「それが得策だな。ネイブルは少しうるさいからな。クレインに対して。」
「俺はそこまでうるさくないぞ、アムール。てか、久しぶりだな。宮廷魔術師さまさまがどうしたこんなところに。」
「俺にも休みが必要なんだよ。はあ、肩凝ったー。王城のなかは堅苦しいやつばっかだからな。ここは気楽だから来たんだよ。あ、クライン、俺もネイブルと同じヤツ、頼むわ。」
「わかった。」
と言い、俺は厨房に戻って料理を作ってから店内に行くと、新しい客が来ていた。
まず、クラインが弟子になったのが22歳の時です。
次に、彼が店長になったのが24歳の時です。
今は26歳という設定です。
ここからも話とともに時間が進んで行って、時々戻るのでわかりづらいと思いますがご了承ください。