第33話 ”危神”討伐⑤—終結
そろそろ第1章の終盤に差し掛かりました。第1章での戦闘シーンはもうないですねえ、残念ながら。
一同の疑問に答えるように多聞はつぶやいた。
「この世界に飛ばされて4年後、伊藤整一と言うやつが私のところに来た。それからしばらく連絡をとっていたんだ。今日ちょうどあいつが黒平原の近くを自分の魔法で作った大和で通ると聞いてな。大砲を撃ってもらったんだ。さすがに徹甲弾の威力はすごい。」
一人でぶつぶつ何かを言っている多聞のそばで頭の上でハテナマークを育てている5人。
「まあいっか。大魔帝も倒したことだし帰って酒宴だーーーー!」
「「「「「よっしゃーーーー!」」」」」
カエシリウスやガルーダまでノリノリだった。
カエシリウスが魔法で生み出した馬にまたがると6人は黒平原を疾風のごとく駆け抜けた。行きは歩いてきたから時間がかかったが馬で駆け抜けるとすぐだった。
どうやらマラーノに話は伝わっているらしい。それはそうだろう。危神こと大魔帝を爆破したときの衝撃はおそらくマラーノまで届いたそうだろうからなあ。街の入り口の旗が折れていた。
街の酒場も出血大サービスだそうで全部おごってくれるそうだ。街の人も強引に酒を押し付けてくる。
「あんまり飲めないんだよ。」
「いいじゃねえかよ。リク様よ。それより英雄には名前をつけなきゃなんねえな。何にしようか。」
「復活のリクよ。大魔帝が言っていたの。」
もういない奴がつけたのをそのまま使うのはちょっと嫌だったが、周りのやつらは悪くはないらしく、それでいいんじゃねぇの、的な視線でこっちを見ている。
「お、悪くねえな嬢ちゃん。じゃあ復活のリク様に乾杯だ!」
「おおーーーーー!」
まるで酒場の壁が壊れるんではないかと思うぐらいおおきな叫び声が上がった。
宴も中盤に向かったところで、そういえば捕まった時、カナティアと結婚するぞ、とか言ってたよな。ということを思い出し、横を見たリクはカナティアがいないのに気がついた。
どこへいったんだろうか?