第30話 ”危神”討伐②
「ええ!?タグリアの普通の人は寿命ですぐ死ぬ?!」
「はい。カナティア様。どうやら全員が300年以上生きないと死なないと思っていらっしゃるようですが寿命が300年まで続くのは神や竜に不老不死の恩賞をもらえた者、転移者、魔王だけで、それらも300年経ったら死ぬらしいということでございます。」
「そうだったの!?」
「カナティア様はいつもどこをみて生活されているんですか?もう何十年もタグリアにいらっしゃるはずですが。」
「う、うるさいわね!じゃ、じゃあなんで私の同僚の魔王は殺されたの?」
「殺したのはただの人間でも転移者でもましては竜や神でもありません。危神軍です。彼らは寿命を縮めるなど朝飯前。下っ端の魔王を殺すなどたやすいことでございます。」
その頃、陸は大魔帝こと危神に殺されかけていた。
「よし、こいつは死刑に処す。おい、ガハマ、2時間後に死ぬよう寿命を縮めろ。」
「はいはーい。おやすいごようでーす。」
ちょっとあざとそうな大魔帝側近はさらっと答えるとリクの体に呪文をかけた。その呪文の副作用によりリクはその場で倒れた。意識が朦朧とするなか、誰かに持ち上げられた。
(どこに・・いく・・ん・・・だ・・・・)
「ってことはリクももしかしたら寿命を縮められてしまうかもしれないってこと?」
「その可能性は否めません。」
「じゃあ早く行かないと!」
少し進むと、監獄と思わしき建物が岩の上にあった。
「あ、あれね!」
「先制攻撃を仕掛けましょう!」
「よし、レールガン!」
アムールとカナティアは叫んだ。2つの手の間に高圧電流が流れ、協力な磁力が発生し、アルミニウムと思われる物体が解き放たれた。
岩に命中し、爆発した瞬間二人は”グラビトン”を発動させた、と同時にアルミニウムと思われる物体が小さくなった。
爆音を聞いて駆け付けたゴブリンが怪しんだ瞬間、轟音とともにその場にいたゴブリンがふっとばされ、跡形もなく消えてしまった。ついでに監獄にも大穴が空いてしまい、とらわれていた人がなだれ出てきた。
「あとで感謝状がたくさん届くわね。」
「そんな甘い期待を抱く前に早く生きませんか。」
逃げ出した囚人たちはカナティアらには目もくれず、全力で逃げていった。
「早くリクを!」
「ああ!」
「一つ一つ監獄を覗け!早くしないと大魔帝が様子を見に来るぞ!」