第25話 黒平原での戦法
「ん?ここか?黒平原というのは?」
「ああ、そうだ。」
「何もねぇな。これじゃあ、何も言えねぇ。」
「言う必要ないわよ。」
「王国で一番なにもないところであり、一番恐れらている場所よ。」
カナティアがそう言った途端、地面が盛り上がり巨大な生物が姿を現す。
カナティアがすぐに防御態勢に移るもその生物の攻撃スピードのほうが早く、一行は襲われかけた。
火炎魔法で真っ黒焦げになるところをアムールが張ったバリアで救われた。
「あれは火炎魔法を主につかうトロールですね。面倒くさい。」
焼き鳥にはならなかったものの、いつ焼かれるかわからない、と話しているとおもむろに多聞が口を開いた。
「戦術ならおまかせください。」
「カナティア様、陸様と後方に待機、アムール様は私と囮になってください。もちろんバリアは張ってください。私達がカナティア様からみて正面にやつの横っ腹をさらけ出しますのでその瞬間に全力で攻撃してください。ただしチャンスが車では隠れておいてください。」
さすが元二航戦司令、頭だけは働くらしい。
アムールの体力増強魔法により、多聞は体力を一時的に復活させ、二人はチラチラと光を発しながら逃げ出した。多聞も自分の艦載機をあげ、飛び回らせた。案の定トロールはそっちに引き寄せられた。
陸はカナティアと砂山に隠れて機会を伺った。
彼らはうまく円を描き、俺らの隠れている砂山近くまで引き寄せた。トロールは一心に二人を追いかけ、砂山の前まで来た。
「ファイヤーランサー!」
と、そう叫んだカナティアの手から無数の火のついた鋼鉄の矢が放たれた。
その後、
「オールランサー!」
カナティアは叫び、火、氷、金、闇属性などの無数の矢が放たれた。トロールが反撃する間もなく大量の矢が突き刺さり、まるでハリセンボンのようになった。
「意外とちょろかったわね。」
息を吐くように呟いた瞬間、地響きが起こり、地割れが起きた。とっさの判断で転移魔法を使ったアムールにより、多聞とアムールは無事、俺たちの元に戻ってきた。8つの目が見守るなか、針山のようになったトロールの体が沈み、代わりにもっと大きいトロールが現れた。
「あれは・・。もはやトロールじゃなくてドラゴン!」
「ここは俺が師匠から教えてもらった特大魔法で倒す!ダークネス・エラプション!ダークネシス・アイシクル!」
陸がそう唱えた瞬間、龍の鱗が突如として燃え始め、その奥にある龍の皮膚が凍ると同時に、頭上につららと思われるものが落ちて刺さり、絶命した。
「やったの?意外と弱かったね」