第18話 正体
「カッ・・・・カナティアじゃないか!」
ふとほかの面々を見ると多聞もアムールを攻撃しているし、アムールはそれをよけつつカナティアに攻撃を加えようとしているし、カナティアも陸を攻撃しようとする。
こいつら、何がしてぇんだ?
陸はそれを避けつつカナティアとアムールの手を引き、”死の恐谷”を抜け出した。
外には多聞が肩で息をしていた。
どうやら多聞は先に抜け出していたようだ。
「おい、カナティア。どういうつもりだ!」
「なにかしら。私何かした?頭に何か声が響いてきたのは覚えているけどその後はよく覚えていないのよ。」
「私もです、カナティア様がなんとか・・という心の声は聞こえましたがその後は覚えておりません。」
多聞同じ状況のようだ。
(どういうことだ?)
とアムールがつぶやくように言った。
「以前聞いたことがあります。”死の恐谷”に入ったものは必ず最初に同士討ちをし始めると。」
「それを先に言え!」
「申し訳ございません。陸様。忘れておりまして。」
わすれんなよ!超重要じゃねぇか!こいつばかじゃね?
「で、どうすればいいんだ?」
「全力で最初の難関を突破するか、それ専用の魔道具を買うかでございます。その魔道具は、王都に売っているので、全力で駆け抜けるしか方法はありませんが・・・。」
「ただ全力で駆け抜けるなら3キロを走ることになるわね。」
「却下!!!!!」
「じゃあ、全力で転移すればいいんじゃないか?カナティアは行ったことあるんだろ?そういう口ぶりだったから。」
「あるにはあるけど、転移すると指定した場所と違うところについてしまうから。あんまり使いたくないの。」
「でも、それであの難関を抜けられるなら、使おうよ。」
「分かったわ。ただ、どうなっても文句言わないでね。プレイス・トラベル!これは場所ごと移動する転移魔法よ。早く乗って。」
「ありがとう。」
と言ったら、カナティアの顔がかぁっと赤くなった。
「ん?どうしたんだ?顔が赤いぞ。」
「な、なんでもないわよぉ。それより、着いたわよ。やったわ!成功よ。指定したところとあんまり変わらないところに行けたわよ。」
「あそこに小屋があるそ。入ってみよう。」