第32話 ギルド⑦
色々あって投稿が遅れました。
緊急事態宣言も解除されて、お店もだんだん開店し始めてきましたが、まだまだ病魔にはお気をつけください……
「今からランクを伝えてギルドカードを渡していきたいと思います。
こちらのギルドカードは、ギルドに登録した証となっております。
また、ランクというのは、SからFまであってSが最高のランクです。現在Sランクにいる人はこの世界でたった5人しかいませんし、それぞれが一国を余裕で滅ぼせるだけの戦力を持っています。
この登録試験では冒険者になれるかどうかや、なったときに始めるランクを測っています。登録時のランクで過去最高なのはDランクですがFランクと診断される人が大半です。
Bランクからは貴族様などからの指名依頼などが増え、Cランクから緊急依頼に呼ばれることもあるようになります。
また、パーティーを組んだ場合はそのチームの平均のランクがパーティーのランクとなります。質問がある方はどうぞ。」
話を区切ってミランは続けた。
「ではまず、アリサさんから。」
手に持っていた紙を一枚捲って言う。
聞く人の胸がドキドキと鳴りそうな雰囲気である。
「あなたは、治癒の速度や効果、回数などからDランクと判断しました。では、これがギルドカードです。」
そう言って渡されたのは白色のカードだった。
「うわぁ…」
「ギルドカードは身分証明書などに用いられるので決してなくさないようにお願いします。なくした場合は罰金が課せられることになっておりますので。」
「すごいじゃん!有沙!」
海里が早速有沙と喋りだした。
「ありがとう…。海里もがんばってね。」
「次はミサトさんとマサヒロさんですね。あ、タイシさんは後ほどマスターから言われると思うのでお待ちください。」
俺の番か。海里とどっちが上だろう…。それにしても神村、すごい気に入られてるんじゃないか?
「マサヒロさんは、魔法の技術はもちろんのこと、立ち回りについてもあのラッセルさんを無傷で倒したのもあるので、Cランクにさせていただきました!」
確か今までの最高はDだったから………
「おおお!こりゃあすげえ!」
側にいた神村たちだけではなく、リクトもラッセルも、ギルド内にいた全員がその事実に声を上げて驚いていた。前代未聞の出来事であった。
「正直実力的にはBランク以上あると思いましたが、Bランクになるにはそれ用のクエストをこなして頂かないと到達できない決まりになっていますのでこのランクにさせていただきました。ですが、マサヒロさんは緊急依頼の対象になります。ご了承ください。」
「そして…」
まだ感嘆の声があちこちで聞こえる中、海里のランクが発表された。Dだった。
「やっぱまさくんは強いなぁ~。」
「さすがだな、正弘!」
「いやいや」
口では否定しつつ、内心は嬉しい正弘であった。
そこまで終わったとき、ギルドマスターが奥から出てきた。
「タイシはDだ。お前はまだまだ甘いし拙い。もっと精進してまたかかってこい。」
ミランは海里と神村に白色の、正弘には紫色のカードを配った。
「そんで、マサヒロだっけか?俺とちょっくらやらないか?」
そういってギルドの奥の練習場を指す。
「えっいやあの…」
「いいじゃねぇか?それともなんだ、逃げるのか?」
「いやそういうわけじゃ…」
考えあぐねながらミランの方を見る。
「マスター?シゴトが残ってますよね?」
目は笑っていないところがすごく怖い。
「すみませんでした」
さっきまで威勢のよかったマスターがすごすごと退散していった。俺は、やはり受付嬢は怖いのだと再確認した。
ギルドマスターが去り、ミランさんが尋ねてきた。
「それで、リクトさん。パーティーはどうしますか?」
「そうだね。じゃあ、この4人に僕を入れた編成にしておいてください。」
「わかりました。それではパーティーランクはDとなります。ただし、緊急依頼が出た場合は、リクトさんはもちろんマサヒロさんもお願いします。」
情報を記入していた冊子を閉じてミランは言った。
「では、冒険者としてこれからの活躍を期待しています。」
お辞儀をするミランを尻目に、正弘たちは受付を離れた。
「じゃあな、リクト。また俺たちと組んでくれよ」
「うん。またね、ラッセル、ヘレナ。」
ラッセルやヘレナもクエストボードの方へ立ち去っていった。
「さて、じゃあみんな。さっき言ったあの壁に自分の名前を書こうか。」
その言葉を皮切りに、正弘達は自分の名前を日本語でしっかり書いた。
異なる世界で新しい生活を始める第一歩として。